↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
74/200

話し合いはつづくどこまでも

第七十三話 向こう側の統一


 それから。


 少し時間が流れた。


 第三世界と第四世界では。


 相変わらず。


 統合後の話し合いが続いていた。


 方面。


 配置。


 砦。


 領地。


 誰が先に入るか。


 遅れて入る者をどうするか。


 決めても。


 追加情報が出る。


 また話す。


 そんなことを。


 何度も繰り返した。


     *


「北西でほぼ決まり?」


 カイが聞いた。


「たぶん」


「たぶん?」


「第四側の最終確認がまだ」


「まだやってるんだ」


「やってるよ」


「長いな」


「長いよ」


 俺は。


 もう。


 会議という言葉を聞くだけで。


 少し疲れるようになっていた。


 でも。


 少しずつ。


 形にはなっている。


 第三と第四。


 北西方面を中心に。


 なるべく近い位置へ。


 早く入れる者から先行。


 後続が入れる場所を残す。


 砦は。


 近い同盟を中心に。


 取りすぎない。


 揉めたら話す。


 第三世界らしい。


 そう思っていた。


     *


 その日の夜。


 世界間掲示板に。


 見慣れない数の通知が出た。


「何これ」


 開く。


 第一世界だった。


 投稿が。


 異常な速さで流れている。


『開戦』


『中央同盟崩壊』


『西部も動いた』


『第一、北部侵攻』


『盟主落ちた』


『もう終わりじゃない?』


 俺は。


 画面を止めた。


「周」


「はい」


「第一で何か起きてる」


 周も見る。


 新しい固定投稿が上がる。


【第一世界・第一同盟より】


『統合まで暇なので』


『天下統一を目指します』


 俺は。


 しばらく。


 読んだ。


「……暇だから?」


「そのように書いてございます」


「天下統一?」


「はい」


「暇だから?」


「はい」


 もう一度。


 見た。


 やっぱり。


 そう書いてある。


     *


 最初。


 冗談だと思った。


 でも。


 第一世界では。


 本当に。


 戦争が始まった。


 最大同盟。


 第一同盟。


 世界開始から。


 ずっと上位にいた同盟。


 その同盟が。


 近隣の主要同盟へ。


 次々と宣戦布告した。


 理由は。


 統合まで。


 やることがない。


 それだけだった。


     *


『中央第二同盟敗北』


『盟主降伏』


『北部同盟も撤退』


『砦全部第一に取られた』


 通知が。


 止まらない。


 第一世界の戦争は。


 俺たちの知っている戦争とは。


 少し違った。


 速い。


 迷わない。


 同盟単位で。


 目的を決める。


 部隊を集める。


 攻める。


 負けた側は。


 土地を捨てる。


 砦を明け渡す。


 次へ行く。


 それが。


 延々と続く。


「こんなに早いの?」


「経験の差もあるのでしょう」


 周が答える。


「半年先行してるから?」


「それもございます」


 第一世界は。


 俺たちより。


 半年長く。


 戦争をしてきた。


 たぶん。


 戦うことに。


 慣れすぎている。


     *


 三日後。


 第一世界の。


 主要同盟の一つが。


 消えた。


 正確には。


 敗北して。


 分解した。


 所属していた君主の多くは。


 第一同盟へ移るか。


 別の小同盟へ。


 散った。


「一個なくなった?」


「はい」


「大きいところだよね」


「第一世界でも上位だったようです」


 俺は。


 ランキングを見る。


 第一同盟だけ。


 明らかに。


 膨らんでいた。


 人数。


 城。


 砦。


 領地。


 全部。


 増えている。


「これ」


「はい」


「本当に統一する気じゃん」


     *


 一週間後。


 第一世界の主要同盟は。


 さらに減った。


 戦って。


 負けた。


 吸収された。


 また戦って。


 負けた。


 また吸収された。


 残った同盟も。


 第一同盟と。


 まともに戦える規模ではなくなっていた。


 世界間掲示板には。


 第一世界の君主が。


 普通に書いている。


『統一見えてきたな』


『統合前に終わらせたい』


『第二と当たる前に一回世界取っとくか』


『記念になる』


「記念って」


 俺は。


 思わず。


 笑ってしまった。


 でも。


 笑い事ではない。


 統合後。


 俺たちが。


 いつか。


 この第一世界と。


 同じ場所へ行く可能性がある。


 そう考えると。


 少し。


 怖かった。


     *


 そして。


 第二世界も。


 動いた。


 第一世界の統一戦争を見て。


 刺激されたらしい。


『第二も統一した方がよくない?』


 最初は。


 そんな書き込みだった。


『戦争する必要ある?』


『ない』


『上位同盟まとめれば終わる』


『統合前に戦力集約できる』


『第一が一つになるなら、こっちもまとめた方が効率いい』


 俺は。


 画面を見た。


「第二っぽい」


「非常に」


 周も。


 すぐ同意した。


     *


 第二世界では。


 戦争が始まらなかった。


 会議が始まった。


 でも。


 第三世界の会議とは。


 まったく違った。


『第一が統一するなら第二も統合が必要』


『上位四同盟で合併案』


『盟主権限は持ち回り』


『役職は戦力順』


『砦管理は旧同盟ごとに区域分け』


『不要な重複役職は削減』


『反対の場合は独立継続可能』


『ただし統合後の支援対象外』


 俺は。


 黙って。


 読んだ。


「早いな」


「はい」


 話が。


 早い。


 必要なもの。


 不要なもの。


 残すもの。


 切るもの。


 最初から。


 整理されている。


     *


 三日後。


 第二世界の。


 上位二同盟が合併した。


 さらに。


 二日後。


 別の上位同盟も加わる。


 名前が変わる。


 人数が増える。


 砦が共有される。


 役職が整理される。


 それだけだった。


 戦争は。


 一度も起きていない。


     *


 第一世界。


 戦って。


 統一する。


 第二世界。


 合併して。


 統一する。


 方法は。


 まるで違う。


 でも。


 結果は。


 同じ方向へ進んでいた。


     *


「これまずくない?」


 俺は。


 周へ聞いた。


「何がでしょう」


「第一と第二」


 画面を指す。


「統合したら」


「はい」


「一個の巨大同盟同士になるんじゃない?」


 周は。


 しばらく。


 答えなかった。


「可能性は高いかと」


「俺たちは?」


「第三と第四は」


 周が。


 言葉を選ぶ。


「まだ複数の同盟がございます」


「だよね」


 第一。


 一つに近づいている。


 第二。


 一つに近づいている。


 第三。


 たくさん。


 第四。


 もっとたくさん。


 しかも。


 俺たちは。


 砦を公平に。


 土地を公平に。


 配置をどうするか。


 まだ。


 話している。


     *


 第三・第四合同掲示板でも。


 当然。


 話題になった。


『第一、かなり統一進んでます』


『第二も合併してる』


『うちもまとめた方がいい?』


『それは違うと思う』


『統合前に無理に一つにする必要ない』


『でも将来的に第一第二と当たったら?』


『その時考えればいい』


『遅くない?』


 久しぶりに。


 会議が。


 少し荒れた。


 戦力を。


 まとめるべき。


 無理に。


 まとめる必要はない。


 どちらも。


 分かる。


 俺は。


 何も書かず。


 しばらく。


 画面を見ていた。


     *


 その横で。


 カイは。


 編み物をしていた。


「カイ」


「ん?」


「第一と第二、天下統一しそう」


「へえ」


「第一は戦争」


「うん」


「第二は合併」


「うん」


「俺たちどうした方がいいと思う?」


 カイの手が。


 止まる。


 少し。


 考える。


「今まとまらないと困る?」


「将来は困るかもしれない」


「今は?」


「……今は別に」


「じゃあ今はいいんじゃない?」


「簡単に言うな」


「だって」


 カイは。


 また。


 糸を動かす。


「困ってからでも話せるだろ」


「遅かったら?」


「その時は」


 少し笑う。


「頑張る」


「雑だな」


「まだ戦ってないし」


 俺は。


 第一世界を見る。


 第二世界を見る。


 第三と第四を見る。


 第一は。


 戦うことで。


 一つになる。


 第二は。


 効率で。


 一つになる。


 俺たちは。


 話し合いながら。


 まだ。


 いくつもの同盟に分かれている。


 それが。


 正しいのか。


 遅れているのか。


 今は。


 まだ。


 分からなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。