表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
28/36

第24話:アメジストの予言&極上スパ大繁盛! 偽聖女と使節をスカッと返り討ち

「オホホホ! この薄汚れた温泉を、私の聖なる『神聖水』で浄化して差し上げますわ!」


高飛車な少女・クロエは、胸元から出しいかにも怪しげな銀の小瓶を掲げると、誇らしげに源泉へと注ぎ込もうとした。


「これさえ入れれば、この温泉は神聖国の管理下に置かれ、私の聖女としての力で――」


『あ、ちょっと待ったー!』


言い終わるより早く、ティアラの上のフローライトくんから、鋭い真実のサーチライトがバシッとクロエの手元を照らし出した。


『その小瓶の中身、ただの市販の安物化粧水に劇薬の香料をドバドバ混ぜた偽物じゃん! 温泉に入れるどころか、皮膚についたら激しいかぶれと痛みを引き起こす危険薬品だよ!』


「な、なんですって……!? な、なにをデタラメを――」


『ふふ、デタラメかどうかは……「3、2、1」――はい、ご自分のお手元をご覧なさいな?』


新入りのアメジストさんが、妖しく紫色の光をパチッと点滅させた。

予言通りのカウントダウンが終わった瞬間、小瓶の液が手に少しついていたクロエが、「ぎゃああああっ! 熱い! 手が、手が赤く腫れて痛いですわぁぁぁ!」と悲鳴を上げてその場に転がり回った。


「クロエ様!?」

慌てるルシアン大使に、私は呆れ半分で溜め息をついた。


「本物の『魔導スパ』というものは、人を傷つけるものではありません。――こういうものを言うのですよ」


私は合図を送り、地元の人々と一緒に準備した特製の『天然魔導泥パック』と『薬湯風呂』を、使節団の後ろに立っていた疲れ切った護衛騎士たちへ差し出した。


「長旅でお疲れでしょう? 試してみてくださいな」


「えっ、自分たちに……? あ、ありがたき幸せ……」


半信半疑で顔に泥パックを塗り、薬湯に足を浸した護衛騎士たち。

次の瞬間――彼らの顔が、トロけるような恍惚の表情へと変わった。


「な、なんだこれは……!? 肩の重みが一瞬で吹き飛び、全身の血行が……!」

「す、すごい! 肌がツルツルになって、長年の刀傷まで薄くなっていく……! まさに奇跡の湯だぁぁぁ!」


「ちょっとお前たち! 何を敵の湯に浸かって感動しているのですか!」と怒鳴り散らす使節団の二人を無視して、護衛騎士たちは一斉に私へひざまずいた。


「サクラコ皇后陛下! 我ら、このような偽聖女ではなく、貴女様に一生ついていきます!!」

「サクラコ様万歳! アルピナのスパリゾート万歳!!」


あっという間に部下たちに見限られたルシアン大使は、顔を土気色にして青ざめた。


「く、くそっ! こうなれば力ずくで利権の書類にサインを……っ!」


懐から不当な契約書を取り出そうとした大使に向かって、今度は黄金のシトリンちゃんがジャラジャラとそろばんのイメージを響かせた。


『甘い甘い! ウチの目を誤魔化せると思うなよ! アンタの右の内ポケットに入ってる「温泉を横取りして他国の悪徳商会に高値で横流しする裏取引書」、全部透けて見えてますわ! 国家反逆罪&詐欺罪で違約金10億ゴールド、毎度あり!』


「な、なぜそれを……!?」


隠し持っていた不正の証拠まで暴露され、完全に詰んだ二人。

そこへ、静かに歩み出でたのは――絶対零度の殺気を纏ったギルベルト陛下だった。


「神聖国の使節、ならびに偽聖女クロエ。我が帝国の領土において不当な詐欺行為を働き、さらには皇后を侮辱した罪、決して許さぬ」


陛下が冷酷に指を鳴らすと、控えていた帝国の暗衛(影の騎士)たちが瞬時に現れ、悲鳴を上げる大使とクロエを容赦なく拘束した。


「神聖国本国へは、今回の件の賠償金として莫大な国境関税の引き上げを要求する。二人とも、地下牢で一生後悔するがいい」


「ひぃぃぃっ! お許しをぉぉぉ!」

「嫌よ! 私は聖女ですのよ――っ!」


みじめな叫び声を残し、引きずられていく邪魔者たち。

一件落着した現場で、サファイアさんがいつものように楽しそうにパチパチと光を弾けさせた。


『あははは! 大勝利ー! 主様、表面上は冷酷な皇帝を気取ってるけど、脳内では「サクラコを侮辱したゴミどもを片付けられてすっきりした。……それより、さっき護衛騎士どもがサクラコに見惚れていたのが気に食わん。早くサクラコと二人きりで混浴に入らねば」って、独占欲が超爆発してまーす!』


「サファイア……余計なことを言うなと言っているだろう……っ」


案の定、耳の裏まで真っ赤にしてそっぽを向くギルベルト陛下。


「ふふ、ギルベルト様。邪魔者もいなくなりましたし……そろそろ、二人でゆっくり温泉を楽しみましょうか?」


私が悪戯っぽく微笑んで手を差し出すと、陛下は意を決したように、でも愛おしそうに私の手をギュッと握り返してくれたのだった。


(第24話おわり)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ