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第19話:口コミ(アフィリエイト)を舐めないで? 悪徳商会の模倣品を一網打尽

「ハハハ! 見ろ、この売上を! 粗悪なクズ石を形だけ整えて叩き売れば、利益率は10倍以上だ!」


帝国の裏通りにある『ガバルド商会』の隠れ家。

実家のバルトフェルト伯爵と悪徳商会の会長は、山積みになった金貨を前に酒杯を交わしていた。

彼らが市場に流したのは、私のブランドを酷似させた安価な「生活便利魔石」の模倣品(パクリ商品)。コストを限界まで削るため、安全性テストも行わず、出力調整もいい加減な粗悪品だ。


「サクラ・コめ、『後悔する』などと強がりを言っていたが、市場を我が商会に占拠されてしまえばおしまいだ! 皇后の威光も形無しだな!」


勝ち誇る彼ら。しかし、彼らは前世の現代日本において、SNSと口コミがどれほど恐ろしい威力を持つかを知らなかった。


---


その頃、皇宮の私のオフィスでは、シトリンちゃんとフローライトくんが模倣品のいっを検分していた。


『あーあ、ひどいなぁこれ。安全回路を全部削ってるよ』

ティアラの上のフローライトくんが、模倣品に紫色の光を照射する。


『お姉ちゃん、こいつら「1回か2回動けば客の使い方が悪いことにできる」って考えて作ってる! 3回以上使ったら過熱して爆発する危険物だよ!』


『せやな。安全性ゼロ、耐久性ゼロ、顧客満足度マイナス100点や!』

黄金のシトリンちゃんが、そろばんの玉を弾きながら冷ややかに笑う。


『商売の基本は「信頼」や。ウチらはお墨付きをつけた本物を取り扱う商人に、ちゃんとした利益マージンが行き渡る「紹介報酬制度アフィリエイト」と「品質保証ギルドネットワーク」をすでに帝国全土に構築済みなんやから!』


そう、私が仕掛けた罠とは、【認証マーク制度】**と**【口コミ還元ネットワーク】だ。


本物の『生活便利魔石』には、フローライトくんの光による「絶対に偽造できない認証紋章」を刻印。さらに、商人が本物を顧客に紹介して販売するごとに、適切な紹介料マージンが還元される仕組みを作ったのだ。


「商人さんたちにとって、いつ爆発して信用を失うか分からないガバルド商会の粗悪品を売るメリットはゼロです。本物を売った方が、安全で、利益も高くて、顧客に感謝されますからね」


私が紅茶を一口すすると、サファイアさんが爆笑した。


『あははは! 主様、サクラコちゃんの完璧なマーケティング戦略を聞いて、脳内で「俺の妻は経済の神か? 尊い、美しすぎる。この知的な笑みを浮かべるサクラコを今すぐ抱きしめて褒めちぎりたい」って、誇らしさと独占欲で胸が張り裂けそうになってるよー!』


ギルベルト陛下は、真っ赤になった耳を隠すようにコホンと大きく咳払いをした。


「……サクラコ。では、いよいよ『回収』のフェーズだな」


「はい、陛下。リスク管理の総仕上げです!」


---


翌日、帝国全土で衝撃的なニュースが駆け巡った。


**『ガバルド商会の模倣魔石、過熱・爆発の危険あり! 商業ギルドが公式に注意喚起!』**

**『本物の皇后陛下ブランドには「輝く認証紋章」あり! 不安な商品は全商人ネットワークで即座に無料検品!』**


「なっ……何だと!?」


ガバルド商会に、怒り狂った購入客と商人たちが押し寄せた。

「欠陥品を売りつけたな!」「金を返せ!」「爆発してケガをするところだったぞ!」


さらに、商業ギルドの全商人が一斉にガバルド商会との取引を停止。紹介報酬制度の恩恵を受ける商人たちは、自主的に「本物の安全性」を口コミで拡散し、模倣品の危険性を街中で周知してくれたのだ。


ガバルド商会には、大量の返品要求と損害賠償、そして行き場を失った粗悪な不良在庫の山だけが残された。


「ひぃぃぃ! 違約金と補償金で、1億ゴールド以上の赤字だぁぁぁ!」

「バルトフェルト伯爵! お前の娘の仕業だろう、何とかしろ!」

「ひ、ひえぇぇ! 破産だ、我が家は破産だぁぁぁ!」


---


数日後。

謁見の間には、すべてを失い、ボロボロの衣服で平伏するバルトフェルト伯爵一族とガバルド商会会長の姿があった。


「サクラ・コ……! 頼む、実家のよしみで、この借金を帳消しにしてくれ! 皇帝陛下に頼んでくれぇ!」


みっともなく地面に擦り寄る元父親に、私は冷たい視線を向けた。


「お断りします。私は前世……いえ、昔から『自分の利益のために他人の努力を盗み、安全を軽視する人間』が一番嫌いなのです」


玉座から見下ろすギルベルト陛下の紅蓮の瞳に、絶対零度の殺気が宿る。


「帝国の民の安全を脅かし、詐欺および粗悪品の流布、さらには皇室の事業に対する営業妨害――罪状は明白だ。バルトフェルト伯爵家は即刻爵位を剥奪、全財産を没収とする。ガバルド商会も解体だ」


「な、そんな……っ!?」


『へい、毎度ありー! 補償金の計算、完了したで!』

シトリンちゃんが黄金の光をパッと弾けさせた。


『没収した全財産を差し引いても、残りの負債は8000万ゴールド! 主様、こいつらを魔力鉱山で強制労働させたら、ちょうど300年くらいで返済完了ですわ!』


「……採用だ。一族もろとも、魔石鉱山へ送れ」


「嫌だぁぁぁ! 助けてくれ、サクラ・コぉぉぉ!」


絶叫するクズどもは、容赦なく近衛兵たちによって引きずられていった。かつて私を無能と蔑み地下牢へ追いやった者たちは、自らの強欲によって、永遠に暗い鉱山で泥にまみれる運命を辿ることになったのだ。


『大勝利ーーー! ざまぁ見ろなんだからねっ!』

『お姉ちゃんを泣かせようとする奴らは、僕の結界でペチャンコだよ!』


ティアラの上で、フローライトくんとダイヤくんが大はしゃぎで光を踊らせる。


「サクラコ、見事な手腕だった」

ギルベルト陛下が玉座から下りてきて、私の腰をそっと抱き寄せる。ポーカーフェイスの裏の本音は、サファイアさんが逃さず暴露した。


『主様、脳内で「トラブルも片付いた。ビジネスにかまけて俺を放置していた分の『おしおき(甘やかし)』を、今夜は心ゆくまで堪能させてもらう」って、夜の作戦会議で頭がいっぱいでーす!』


「へ、陛下……っ!?」


赤くなる私を愛おしそうに見つめながら、冷徹皇帝は満足げに、深々とした微笑みを浮かべるのだった。


(第19話おわり)

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