“潜入 3”
僕は……耳は普通だと思う。
おそらく、注文の品に気をとられていたためか今までまともに聴こえていなかったそれが確かかどうかはおいて、普通にそこここでされている空世たちの会話の中に普通世のトップ集団らの中で“恩恵”を受けているとおもわせるような内容が飛び込んできた。
“ね;”
“う~~ん、確かに”
“名前出されても、政治に興味ないからな。俺には判らないや”
Nさんのいうように僕も政治には疎いがちょっぴりなら判る。が、明らかに名前を聞けば政府だと判るような名前ではなかった。つまり?
“通名とかなんですかね……”
“……俺の知っている名前もないな、”
“ぇ。誰も判らないって……俺もだけど;Jさんさえ判らないって、それって変ですよね”
“う~~~ん、面倒だが確かめるしかないのか;”
“KKさん、判らないの?”
“な、なにが?”
彼はそれどころではないようだった。
“な、なにしているんですか;”
“、う、うん。染みが、ここの、……気になっちゃって、ほら、みて、これ、染みでしょ?”
テーブルについた、明らかに模様などではない1つの染みにみえるようなもの。どうやってついたのかは判らないけれど、……流石、KKさん。見逃すハズも無くテーブルに備え付けのナプキンにコップの水をつけ拭いているが……なかなか消えないようだった。水じゃ、無理じゃね?
“……つか、俺らここでどんな会話すりゃいいのよ;丸聞こえじゃん”
多少、こそこそ話してはいるものの……たぶん読める空世にはとても浅はかな行為だろうとは思う。けれど、周りには敵対視してくるような姿は見られない。今のところは。マスターが、僕らから発せられるものをその場に順応させられる会話でも変換?して、張りめぐらせてくれているのだろうか?
“俺が消すよ、KKさん、まかせて”
そう云ったNさんは、何やら内ポケットから小さな瓶を取り出した。
“う、うん、”
“それ、ナプキン、かして。……これで消えるハズ”
彼はナプキンを受取り小瓶の蓋を開ける。1滴ほどナプキンにたらしKKさんが気になって仕方の無い箇所をこすった。そして、1秒もかからずそれは消えた;
“……すっげー”
“なにそれ、シンナー?”
“……にしては、匂いが違いますね”
“そ、それなに?、わ、私にください、それ”
“~はっは。企業秘密なのであげられない”
“KKさん、聞いたことある名前ないの?”
“ぇ。なに、Oさん、いきなりその返しは;”
“ありますよ、私。あの名前のあがっている人たち”
“ぇ。”
“どんな人たちなの……つか、フルネームじゃなくても判るポジションにある人なの?”
ちょっぴり不気味な笑みをKKさんが浮かべた……。染みに気をとられながらも聞いていたのか……んー侮れん。
夢醒めの悪い朝でした。近いうちなにもないといいけど……;




