隠密行動?
次の日の朝、主時は爽と待ち合わせするために地下鉄の改札前にいた。2人はいつもここで待ち合わせをして、登校している。地下鉄の駅なので当然地下にあるのだが、それが今日のような雨の日はありがたい。
「主時、おはよ」
待つこと数分。爽がやってきた。目にクマを作って。
「おはよ…昨日あの後なんかあったのか?」
「あった。白髪の少年覚えてるか?」
「あぁ、いたな。白い繭から針出す奴」
「昨日あいつと戦った後、どうなったか知ってるか?」
「どうなったって…あ」
主時は思い出してしまった。気絶してるのを確認して道端に放置していたことに。
「やっぱり忘れてたか…」
「うん、忘れてた」
「それで、帰りに様子見に行ったんだけど、そしたらいなくてな」
「ほう、まずくないか?」
「そう思って一晩中探したんだけど見つからなかった」
「うん、非常にまずいな」
「あぁ、結構まずい」
「どうする?」
「諦めよう」
「よしそうしよう」
そうして2人は、都合の悪いものを見なかったことにして改札の中へと入って学校へと向かった。
学校に着き、教室に入ると見慣れた光景が目に入った。入学して早半年ほどたつ。最初は中学との違いに悩まされていたが、今となっては2人にとって慣れたものだ。当然、今目の前で机といすが積み重ねられて1つのタワーができている光景に関しても。
「いや、何やってるんだ…?」
前言撤回。流石にこれには慣れていなかった。
「お?やってきましたかお2人さん」
タワーのてっぺんから声が聞こえてきた。
「吉時、やっぱお前か…」
「何やってんだお前」
「いやー、よくバカは高いところが好きっていうだろ?だからちょっとバカらしく高いところ行こうと思って」
主時と爽はそれを聞いて頭を抱えた。もはや頭痛すらしてくる。彼はバカを一種の使命か何かだと思ってるのだろうか。
「そんなに高いところ行きたいんだったら屋上行け。この学校屋上の鍵の管理雑だから多分空いてるだろ」
「それだ!ほんじゃ行ってくるぜ」
そういって吉時はタワーから飛び降りて屋上まで走っていった。
「片づけは俺たちがやれってか…」
2人はもはやどうやってバランスを保っているのかもわからないどの机とどのイスがペアなのかも不明何ならそもそもこの机といすたちは全部このクラスのものなのかすら不安なタワーを片付けることになった。
そして時間を進めて放課後、主時と爽は例のファミレスにいた。
「なぁ、主時。一応俺たち調べるだけ調べとくかってことできたじゃん」
「そうだな。こういうのは創生と秋弥の専門とはいえ、少しぐらいやっといたほうがいいだろ」
「だったらさ、別に今日じゃなくてよくない?」
「そりゃそうだけど、明日土曜日だぞ?学校休みなのにここまで行くのも面倒じゃん」
「それもそうか。でも、流石に今日は疲れた…」
爽が机に突っ伏しながら疲れ果てた声で言った。寝不足の状態で朝からタワーの解体。しかも今日の体育は持久走。いくら異能使いとはいえその力を人前でむやみやたらに使うことはできない。完全にダウンしてしまっている。
「そうだな。流石に俺も少し疲れた…」
「俺の疲れた理由の半分お前が昨日白髪少年放置したからだぞ」
「それは申し訳ない。けど、マジであいつどこ行ったんだ?」
「あーあ、なんか都合よくそこらへん歩いてたりしないかなー」
そんなことあるはずないとふと窓の外を見た二人。なんていうことでしょう。そこには例の白髪の少年がいるではありませんか。
「あ、いた」
「急ぐぞ」
2人は慌てるあまり転びそうになりながらファミレスを後にして、尾行を開始した。尾行すること数十分、廃工場へとたどり着いた。
しかし、ここで一つ問題がある。2人にとってアジト内への潜入捜査がありえないほど難易度が高いということだ。潜入捜査というだけあり、バレたら即終了である。2人の異能はステルス性能はそこまでない。バレたらスピードで振り切るしかない。
だとすれば、2人のスピードなら逃げ切れるのではと思うかもしれない。だが、違うのである。
「この廃工場、少々小さめだな」
「あぁ、主時と別行動しても廃工場内だったら俺も異能が使える距離だと思う」
「よし、行くか」
アジトを見つけたらこの二人は、片方は3分以内に。もう片方は貧血で倒れるまでに、正面からぶち壊そうとするのである。治安が悪すぎる。
廃工場内で警報音が鳴り響き、中にいる人たちが拳銃を持って周囲を警戒している。その警戒している人たちを通りすがりに気絶させる2つの影がある。
「俺は上から調べる。主時は下から頼む」
「あぁ、死ぬんじゃねぇぞ」
「フラグ立てるな」
こうして2人の隠密行動という名の正面突破が始まったのである。




