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番外編3-2 レオンの変化



「なあ、シャル。」


殿下とお茶をしているシャルに気になっていることを聞こうとした。


「ちょっと、シャルは私の妻だよ。軽々しく呼ばないでくれないか?」


殿下はシャルのことになるとすごく狭量だ。


「じゃ、何て呼べばいいんだよ。」


俺は、面倒くさくなって投げやりに聞いた。


「アル様、私が愛しているのは、あなただけです。


あなたしか見えていないのは伝わりませんか?


今更シャルロット様なんて言われたくないですし、今まで通りで構わないでしょう?」 


はい、はい。


お熱いことで。


「まあ、シャルがそう言うなら・・・そんなにかわいい顔で言われるとーー」


殿下がシャルの手を取り、抱きしめようとしている。


俺は、長くなりそうな気配を感じてすぐに止めた。



「それでですね。聞いてもらえるかな?シャル。」


殿下は、不満そうに俺を見るが、話を戻す。


「何があったの?アル様はそこに座って。」


シャルもだんだん殿下の扱いが分かってきたな。


それよりも聞きたいことだ。


「女性にお礼をするとしたらどんなことがいい?俺全然思いつかなくて。」


「えっ」


シャルは急に椅子から立ち上がった。


そんなに驚くことだろうか。


失礼すぎないか。


「レオンからそんな話が聞けるなんて、意外だな?」


殿下までからかってくる。


「真剣に聞いてくれよ。どうしていいか困っているんだよ。」


俺も椅子に座り、落ち着いて話を聞こうとした。


「どんな御礼なの?」


俺は、辺りを見まわし、ミレーユがいないことを確認してから話し出した。



訓練でけがをしたところを手当てしてもらったこと。


手当てで汚れたハンカチをもらってしまったこと。



なるべく、誰だかわからないように平静を装って話すよう心掛けた。


だって、知られるのなんか恥ずかしいだろ。



話し終わると、殿下もシャルも何かをこらえるような顔をしている。


謎だ。


「事情は、分かったわ。じゃあ、まず、お礼をしたい人のことをよく見ることから始めたら?


そして、その人の興味のあること、好きなことを見つけていくといい御礼ができるんじゃないかな。」


なるほど。シャルのアドバイスは理にかなっている。



そうして俺は、ミレーユをさりげなく観察することにした。



へえー。花が好きなんだな。王城の庭園の花をよく見ているのを見かけた。


あれ。侍女同士で話す時、あんな顔で笑うんだ。楽しそうだな。


シャルに真剣に紅茶を入れて出している。仕事しっかりこなしているんだな。



見ていると、初めて気づくことがたくさんあった。


そして、見ているうちにミレーユの笑顔から視線が外せなくなっていることに気づかなかった。



見ているだけで、まだ何もお礼が思いつかないある日。



訓練でちょっとへまをして、右足を思いっきり打ってしまった。


模造剣だったからよかったものの、真剣だったらと反省ばかりである。


俺ももっと強くならなくちゃな。


そんなことを考えながら、殿下のところに向かう。


すると、後ろから叫ぶような声が聞こえた。



「大丈夫なんですか?」


真っ青な顔で走ってくるミレーユ。


前にもあったな?


「やあ。ミレーユ。久しぶり。」


何気なさを装って、声をかける。


「久しぶりじゃないです。毎日見ています!


・・じゃなくて、どうしたんですか。その足。また怪我しているでしょう?」


ミレーユは慌てて詰め寄る。


俺は、その言葉に一瞬思考が止まる。


俺は、こっそり観察していたから毎日会っていたんだけど、気付かれてたのかな?


まあいいや。


「どうして分かった?」


「当り前じゃないですか。すぐ分かりましたよ。いつもと違うこと。右足引きずっているでしょう?」


「よく分かったな。そうなんだよ。ちょっと訓練でへまをして。まあ、そのうち治るさ。」


俺は、結構自然治癒派だ。うちがそうなのか?いや、親父と俺だな。


そんなことを考えていたら、ミレーユが泣きそうな顔になっている。


「ど、どうした?どこか痛いのか?」


俺は、焦ってミレーユの全身を見回した。いつも通りだ。


「何言っているんですか。痛いのはあなたでしょう?もう、また来てください。」


なんか、俺って常に怒られてないか?


まあ、へまをしたことも事実だし、お礼できてないし、言うことを聞くか。



あまり深く考えず、またミレーユの部屋の前に行った。


足のすねだったので、ズボンを少しめくった。


そのとたん、ミレーユはばっと顔をそむけた。


ちょっと無防備すぎたか?


ミレーユの顔が赤い。


「やっぱり具合悪いんじゃないか。熱でもあるのか?」


心配になって顔を覗き込むと、さらに首まで赤くなる。


なんか、可愛いな。


いやいや、心配しているんだろ。落ち着け。


「いいから。シップを貼りますよ。もう動かないでください。」


「はいはい。」


おかしい、また怒られた。


そうして、口調とは裏腹に丁寧に包帯まで巻いていく。


なんかいいな。こういうの。


また、けがをすれば、来る理由ができるのか?


黙っていると、おかしなことまで考えてしまう。


「ハイ出来ました。」


それにしても、手当てうまいな?


俺は気になったことを聞いてみた。


「ミレーユは手当てが本当にうまいな。よくしているのか?」


すると、手当てした道具を片付けながら、答えてくれた。


「割とよくするんです。騎士団の方なんかもよく頼ってくれて。慣れちゃいました。」


俺にだけ、ああいう顔をしているわけじゃないのか。


その後、時間が気になった俺は、お礼を言って殿下のところに急いだ。



他の騎士団員も、ああして手当てしてもらっているのかと思うとーー


なぜかもやもやしたものを感じながら・・・



気づかないのがレオンのいいところ!

そんなレオンが大好きです。

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