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番外編 3-1 レオンの恋の始まり

どうしても、レオンのその後を書きたかった。



シャルが殿下と結婚した。


もう、俺がこの想いを向ける相手はシャルではないと、頭ではわかっているつもりだ。


少し前まで見ているのも苦しかったのに、最近はやっとあきらめもついてきた。


だって、あんなに仲がいい場面を毎回見せつけられては・・・


殿下も誰に対しても、鉄壁の守りでシャルを囲っている。


俺は、その外側で二人を守っている。


そうして変わりない生活を送っていくはずだった。


あの日までは・・・




俺は、いつものように騎士団で毎日訓練をしていた。


殿下を守れるようにいつも激しい訓練をしている。


だから、けがなんて気にも留めなかった。



あれ?あの子は。あの時、怯えていた令嬢か?


向かいから静かに歩いて来るのを見つけた。


「ちょっとどうしたんですか?血が出ていますよ。」


そこから、慌てて俺に駆け寄ってきたのは、シャルの侍女をしている、確か名前をミレーユといった。


ミレーユはローゼンベルク家の執事マイケルの妹だ。


ファーウスト家に監禁されていた時に俺たち騎士団がずっと見張りを続け、保護した令嬢だった。


可哀そうに心労からかかなり痩せて、言葉少なかった印象がある。


だから、俺はなるべく丁重に連れ出すように心がけた。


そんな彼女もシャルの侍女として、今では元気になり、城でもよく見かけるようになった。


いつも静かに礼をして通り過ぎるだけの令嬢。


そんな印象だった。



それが、今日に限って血相を変えて走ってきて、俺の手を取った。


ドキッ


女性に手を取られることなんてないからか、心臓が暴れている。


俺はとっさに視線をミレーユからそらしてしまった。


「どうした?」


俺は、なるべく気取られないように低い声で訊ねた。


「どうしたじゃないですよ。何ですかこのけがは?血が出ているじゃないですか?どうしてそのままにしておくんですか?」


今まで聞いたことがないくらいに早口でたくさん話している。


なんか、可愛い声だな?


いやいや、急におかしいだろ。


「こんなの訓練ではいつものことだ。ほっとけば治る。」


動揺からかちょっとそっけない言い方になってしまった。


俺、父上そっくりだな?


このままじゃだめだ。気をつけよう。


「駄目です。ばい菌が入ってうんだらどうするんですか。ちょっと来てください。」


「いい。自分でやる。」


俺は、とっさに手を外してしまった。


あっ。失敗したか?好意でしてくれているのに泣いたらどうしよう。


すると、ミレーユは俺を少しにらみつけるように突っかかってきた。


「本当ですか?じゃ、いつやるんですか。信じられません。」


予想外だ。


そんな顔ではにらみつけても、可愛いだけだぞ。


ミレーユは、自分のハンカチを出し、俺のけがしたところに優しく押し当てた。


急に無言になるので、どこを見たらいいのか困る。


「ハンカチが汚れるだろう。」


「いいんです。たくさん持っていますので、そちらは差し上げます。」


なんか、ここまでされたら、言うことを聞いた方がよさそうだ。


そうして、俺はそのままミレーユの部屋の前まで連れてこられた。


侍女の部屋の前って、俺なんかが来てもいいのだろうか。


ミレーユは部屋から消毒や包帯などを持ってきてくれ、あっという間に丁寧に手当てをしてくれた。


器用なんだな。


それに、細い指。


ややや、駄目だろ。俺。


なしなし。無だ。


意識するな。相手は侍女だ。


「ありがとう。今度御礼をするよ。」


俺は、恥ずかしさからその場を足早に後にした。



ミレーユが、顔を赤くしてーー


レオンを手当てした手を、そっと握りしめていることも知らずに。


レオン編もやはり1話では終わりません。

続きます。

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