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5-2 もう誰にも文句は言わせない


拍手はいつまでも鳴りやまなかった。


ダンスを終えた私たちを、会場中の人々が笑顔で見つめている。


その視線に、思わず顔が熱くなってくる。


「さすが殿下。」


「お似合いだな。」


そんな声も聞こえてきた。



アル様は私の手を取ったまま、ゆっくりと会場の端へと歩いていく。


まだ胸の鼓動が収まらない。


「シャル。」


「はい?」


名前を呼ばれて見上げると、アル様が少し困ったように笑っていた。


「目立ちすぎたかな。」


「え?」


思わずきょとんとしてしまう。


「でも、あれくらいしないと、皆に伝わらないだろう?」


「何がですか?」


そう聞くと、アル様は少しだけ顔を近づけた。


「君が、私の婚約者だということだ。」


胸がどきんと鳴った。


「もう誰にも文句は言わせない。」


その言葉に、胸がじんわりと温かくなった。



その時だった。


「殿下。」


聞き慣れた声が背後から聞こえた。


振り向くと、そこにはエド兄様とレオンが立っている。


二人とも、どこか楽しそうな顔をしていた。


「見事なダンスでした。」


レオンが軽く頭を下げる。


「ありがとうございます。」


私が答えると、エド兄様がにやりと笑った。


「それにしても殿下。」


「何だ?」


アル様が警戒したように眉を上げる。


「さっきのは、ほとんど公開求婚でしたね。」


その一言で、レオンが吹き出した。


「そん……!」


アル様が言葉に詰まる。


私は恥ずかしさでどこを見ていいのかわからない。


「違うのですか?」


エド兄様は楽しそうに続ける。


「会場の真ん中で跪いて、婚約者に最初のダンスを申し込む。」


「しかもあれだけ堂々と宣言して。」


レオンまで頷いた。


「確かに、社交界ではかなりの意味を持つ行為ですね。」


アル様は一瞬だけ黙り込む。


そして、ふっと笑った。


「そうだな。」


そのまま私の手を軽く握り直す。


「だったら、公開求婚ということにしておこう。」


「えっ!?」


今度は私が驚く番だった。


周囲からまた笑い声が上がる。



「シャル。」


アル様が優しく私を見つめた。


「これからも、私の隣にいてくれる?」


その言葉に私の胸がいっぱいになる。


「はい。」


私は迷わず答えた。


「ずっと、隣にいます。」


その言葉を聞いて、アル様は安心したように微笑んだ。


その様子を見ていたエド兄様が、満足そうに腕を組む。


「まあ、とにかく。」


「これで社交界にもはっきり示されましたね。」


レオンも静かに頷いた。


「ええ。誰ももう、シャルを侮ることはできないでしょう。」



会場では再び音楽が流れ、次々とダンスが始まっていた。


卒業パーティーは、ようやく本来の賑わいを取り戻したようだ。


私は改めて周囲を見渡す。


たくさんの笑顔。


祝福の視線。


そして、隣にはアル様がいる。


さっきまでの不安が嘘のようだった。



「シャル。」


「はい。」


「今日は、まだまだ踊ってもらうからね。」


アル様が少し悪戯っぽく笑う。


「覚悟しておいて。」


私は思わず笑ってしまった。


「ええ。」


「喜んで。」

どんどん盛り上がっていきます。

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