4-6 ファーウスト公爵家への断罪は?
マイケルは公爵の視線を受け止め、震える声で続けた。
「そんな、非道な指示を出したのは、
・・・そこにいる、ファーウスト公爵その人です。」
マイケルの証言は、アル様とエド兄様が集めた証拠と完全に一致していた。
マイケルの妹を監禁し、マイケルに指示を出し、従わせたこと。
一家総出でローゼンベルク家が不利益を被る噂を流したこと。
その上で、
一つ目。
ランベルト商会の利益の一部を、ファーウスト公爵家が作った架空会社へと横流ししていたこと。
暴利をむさぼっていたのは、ファーウスト公爵家の方だった。
二つ目。
シャルロットをランベルト商会に向かわせる途中で誘拐し、王太子妃としての尊厳を踏みにじること。
更に、王太子妃としてマーガレットを推薦する画策をしていた。
そして三つ目。
事実と違う裏帳簿をローゼンベルク家のものとすり替えて、この場で脱税の容疑で訴えること。
このことにより、ローゼンベルク家の信用をなくさせ、社交界のみならず没落させようと計画していたのだった。
「そんな...宰相が...?」
「ローゼンベルク家を陥れるために...?」
次々と驚きの声が広がっていく。
始め、ファーウスト公爵は床に座り込み、全てをあきらめたかのように動かなかった。
しかし、その拳は強く握られ、血がにじむほど唇をかんでいる。
「これだけ多数の証言が採れている。申し開きはないな。」
ミハイル王が静かに促す。
すると、最後のあがきと、立ち上がった。
「何で、いつもローゼンベルク家なんだ・・・!
苦労も知らずに。
領地は栄え、ダイヤモンドは社交界のステータスとなる。
娘は努力もせずに王太子の婚約者。
人々はみんなローゼンベルク家ばかり賞賛する。
・・・・
許せなかった。
私だって、宰相として長年頑張ってきた。
国のために。
それなのに・・」
「その言葉には誤りがある。」
アル様が静かに怒りを抑えて話し出す。
「シャルロット嬢は努力をした。
ダイヤモンドを領地のために活かす方法を考えた。
何より、周りの人が笑顔になる様に努力したんだ。
何もしなかったんじゃない。
それに、そんなことのために、シャルを。
シャルを失うところだったんだ。」
続けて、レオンも前に出る。
「シャルロット嬢は、私の家族も救った。
自分の利益は何一つなくとも。」
お父様まで話し出す。
「実は、私は数年前までファーウスト公爵の言うように大した苦労も知らずにいた。
しかし、私の娘が私の目を覚まさせてくれた。
たった7歳でだ。
それからは、家族みんなでどうしたら領地が良くなるか、領民が笑顔になるか、周りのみんなが幸せになるか。
いつもそんなことを考えられるようになったんだ。
それも家族みんなでだ。
だから、先ほどの言葉は一部訂正していただきたい。
努力はしてきた。
賞賛は努力の結果、後からついてきたものだ。
賞賛が私たちの目的ではなかった。」
お父様が話し終わった後、会場はし~んと静まり返っている。
「...すまなかった」
ファーウスト公爵は崩れるように膝をついた。
「アウレリウスよ。
お前は大きな罪を犯した。
宰相の立場でいながら、その権力を自分のために使ってしまった。
人の命と家族を危険にさらした。
しかし、お前が私のために、国のために働いてくれていたことは事実だ。
何よりお前とは長い付き合いだった。
いうなれば共に国を支えてきた仲間だ。
それだけにとても残念だ。
証拠も証言も揃った。
ファーウスト公爵家は降格し、爵位を男爵とする。
領地は没収し、地方への移住を命じる。
これからは、夫婦で実績を積み、また私の力となってくれることを望む。」
ミハイル王は王としての裁量を下した。
亡くなった方もいなかったので、妥当なところだとは思う。
私としては、人の人生がこの場で決まってしまったことを思うと複雑だ。
しかし、まだマーガレットのことが決まっていない。
どうなるのだろう?
そう思っていると、ミハイル王が驚くべきことを提案してきた。
「学園での被害についてはシャルロット。
君が一番被害を被っている。
マーガレットの罪について思うところを話してみよ。」
私は、今までのことを思い出すべく、目を閉じた。
アル様の手を握りながら。




