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3-9 大ピンチ!助けて。

緊張が続きますが、3章ももうすぐ終わります。




「シャルロットお嬢様、少しよろしいでしょうか。」


執事のマイケルが私を呼び止めてきた。



ローゼンベルク家には、執事が二人いる。


トーマスはお父様と共に領地経営に欠かせない仕事をしている。


忙しすぎて、なかなか他のことに手が回らない。


今は『ローゼンベルクカット』のダイヤモンドを領地の主流として扱っている。


ことのほか、売れ行きが良くなったため、ランベルト商会とのやり取りが頻繁になった。


そこで、そちらを主に担当してもらうことになったのが、マイケルだ。


何かあったのだろうか。



「申し訳ありませんが、新作のジュエリーについて販売先の相談をお嬢様とされたいと商会の方から言われました。


つきましては、明日午前10時に直接ランベルト商会にいらしていただけないかということでした。


いかかでしょうか。」



「明日は、学園も休みの日だから大丈夫よ。


分かったわ。


明日午前10時にランベルト商会ね。


馬車の準備もお願いね。」



マイケルが一瞬表情を硬くした。



「分かりました。


そのように手配いたします。


お時間いただきまして、ありがとうございます。」



珍しいわね。


今まで、ランベルト商会の方から出向いてくれることがほとんどだったのに。


まあ、その後販売先に移動したりするのかもしれないわね。






私は、この違和感をそのままにしたことを死ぬほど後悔した。






次の日、来客に耐えうるがなるべく町の中で浮かない程度のドレスを着て、馬車に乗った。


ゆっくりできる時間。


先日私を助けてくれたリリーとアル様とレオンにお礼をしたいな。


せっかくだから、何かお菓子でもプレゼントしようかな。


何を渡したら喜んでくれるかな。



手作りカップケーキなんてどうかな?


フルーツやナッツなどいろいろ入れたらみんな楽しめそう。


アル様は何が一番好きかな?




そんなことを考えていたら、馬車が急に止まった。


どうしたの?




外が騒がしい。


おかしい?




バタン!


急に馬車の扉が乱暴に開かれた。


「おとなしくこっちに移動しろ。」



黒づくめの男がギラギラした目をして馬車に入ってきた。


こわい。


抵抗したら殺されるかもしれない。


御者はどうしたの?


怖すぎて声も出ない。



私は、男の言うとおり、馬車を出て隣に停めてあった壊れそうな粗末な馬車に乗り換える。


周りには、黒づくめの怖そうな男たちしかいない。



馬車に乗ったとたん、目隠しをされ、手足をロープできつく縛られる。


痛い。


でも、それより恐怖の方が勝っている。


どこに連れていかれるんだろう?


私、どうなるの?


このまま、どこかに売られるの?


それともーーーーーー


自然と涙が出てくる。


でも、声を出したらどうなるかわからない。


嗚咽が漏れそうになるが、我慢した。



しばらくしたら、男たちに物のように担がれて馬車から降ろされた。


そしてどこかの建物の床にどさっと置かれた。


痛い。


背中とおしりを打った。


何人もの男たちの声に恐怖が増していく。



そんな中、こんな声が聞こえてきた。



「本当にこんなガキでいいのか。」


「黙れ。あの方の命令だ。」


「いいから、ここで、静かにしていろ。」



怖くて緊張の解けない時間が過ぎていく。



「アル様。


お願い。


助けに来て。


お願い・・・」



無意識にそう思っている自分がいた。




そうした時間は実際には短かったのか、長かったのか?




「そこまでだ。」



男達の声と同時に聞こえてきたその声。



見なくてもわかる。



「・・・アル、さま・・」



バタバタと動く音がする。


私の目隠しと手と足のロープがほどかれた。



アル様がいる!



私は思わずアル様に抱き着いてしまった。


そして、安心から大きな声を出して泣いてしまった。



「あと少し遅れていたら…」


囁くような声が聞こえてくる。



泣いている間、アル様も何も言わず強く私を抱きしめてくる。


背中に回ったアル様の手が震えている。



「遅くなってごめんね。」


少しして、アル様が背中をさすりながら優しく話しかける。



アル様は、最近私の周囲に不穏な動きがあると気づいていたらしい。


そして今日、私の行動が普段と違うことにも。


そこで、行ったはずのランベルト商会に問い合わせをした。


そこで私の不在を知った。


驚いてすぐに探してくれたということだった。



「助けに来てくださりありがとうございました。」


ようやく落ち着いて私はアル様から離れて、お礼を言った。


「それでも、怖い思いをさせてしまったね。


本当にごめんね。」


私の涙を指で優しくぬぐってくれる。


「絶対アル様が助けてくれるって信じていましたから。」


アル様をじっと見つめて話す。


「もう、こんなことはおきないよ。


私が絶対守るから!」


決意に満ちた表情で私の手をぎゅっと握る。


「よろしくお願いします。」


私もアル様の手を初めて自分から強く握り返した。




その後ろでじっと私たちを見つめるレオンの姿があった。


唇を引き結び、何かをこらえるようにその手は強く握られていた。



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