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3-8 学園内での断罪

お読みいただきありがとうございます。



「みなさん!聞いていただける。」



私は、アリアンナ様とルシア様に学園の広場まで呼び出された。


お昼時のため人通りも多い。



「皆さんにシャルロット様が王太子殿下の婚約者としてふさわしいかどうか判断していただきたいのです。」


ルシア様が真剣な顔でみんなに訴えている。


周りの方たちも何が始まるのか興味津々なのか、どんどん集まってくる。



私は、何を言われるのか、緊張で指先が冷たくなってくる。



「私、聞いたのです。」


アリアンナ様が訴えるように強い視線で周りを見回す。


「シャルロット様が王太子殿下というこの上ない素晴らしい婚約者がいるにもかかわらず、別に想いを寄せている方がいるのだと。」



「何だって?」


「ひどい女だな。」


「一緒に行動しながら裏切っているってことか?」


だんだん、声が大きくなっていって収拾がつかなくなっている。



誤解だわ。


そんな、アル様の婚約者としてきちんと振舞っていたはずよ。


それに、思いを寄せている人って誰よ?


いつの話?



頭の中がパニックになって冷静な判断ができない。



そんな時、



「皆さん。私から説明させていただいてよろしいでしょうか。」



いつの間にか、私の前にリリーが立ちはだかっていた。



「その話は誤解です。


先日一緒にお昼を食べている時に、シャル様のお兄様が優しくて素敵だという話をしていたのです。


その時に、お兄様として最高に尊敬できる方だと。


そんなお兄様を、家族を大事に思っているとおっしゃっていたのです。


さすが、シャル様。


家族思いの素敵な方だと、私も更にシャル様が大好きになってしまいました。


ですから、シャル様が王太子殿下以上に思っていらっしゃる方はいません。」



さすがはリリー。


落ち着いた声でゆっくりと話す様子に、周りの方も静かに耳を傾けている。



その場が一気に誤解だったという認識に変わった。


「なんだ。兄弟としてか。それなら普通だろう。」


「むしろ、そんな風に思ってもらえる家族、うらやましいな。」


「いつも見ているけど、王太子殿下とお似合いだもんな。」



ようやく息ができる。


「リリーありがとう。」


「助けてもらったお礼だよ。」



ふと、アリアンナ様とルシア様を見れば、にやりと笑った。


アリアンナ様が一瞬、遠くに視線を送った。


おかしい。


すると。


「皆様。納得するのは、まだ早くてよ。」


「そちらのリリアーナ様。


最近持ち物をよく無くされたり、汚されたりしているそうね。


どうですの?」



「・・・・・」


リリーが悔しそうに下を向く。



「そんな意地悪なことをしているのがシャルロット様だとしたらどうでしょうね?」



「私がどうしてそんなことをしていると思うの。」


根も葉もないことだ。


私、そんなことしていない。



「だって、リリアーナ様。


成績が大変よろしくて、近々生徒会にも入られると噂ですものね。


そうなれば王太子殿下も優秀な王妃の方がよろしいのではないかと思われるのではなくて。


それを恐れて、リリアーナ様をけん制なさっているのではないかしら。


そんな方が未来の王太子妃としては失格だと思いませんこと。」



まるで、意地悪をしたかのようにどんどん誘導されていくようだ。


せっかく私の方が有利になってきたというのに、一気に周りの目が冷たくなる。



どんな言葉を返したらいいか考えていると、リリーがこぶしを握っていることに気づく。


「シャルはそんなこと、する人じゃない!


誰にでも優しく思いやりのある素敵な人なんだから。」


リリーは、悔しそうに涙を浮かべながら話す。


その言葉に周りも息をのんで聞いている。



私は意を決して、顔をあげて話し始めた。


「リリーは私の最高で一番の親友です。


私は今までこの学園で話をできる女性のお友達はいませんでした。


皆さんもご存じのことだと思います。


しかし、リリーは今の私を見てくれました。


そんな大事な初めてのお友達をいじめようとは思えません。


もし、王太子殿下が私よりリリーを選ぶのであれば、それはリリーの方がふさわしいということです。


その時は、親友としてリリーを祝福し、陰で支えていきたいと思っています。」




「ちょっと待ってくれないか。」



いきなり、アル様が前に出てきた。


いつの間に来たのだろう。



「シャルとリリアーナ嬢が仲が良く、よくお昼を共にしていることをご存じだろうか。


悔しいことに、たまには町にも一緒に出掛ける仲だ。


親友だという話について私も認めると証言しよう。」



アル様が、証言してくれたことによって私がいじめたという話は完全に否定された。



しかし、アル様の話はまだ続く。


「その前提で聞いてほしい。


先ほど、シャルがリリアーナ嬢と私が婚約云々という話を出したが、それこそ絶対にありえない話だ。


私はシャルを手放すつもりはない。


私とシャルの婚約は誰が何と言おうと継続する。


絶対だ!」



アル様は何の話をしているのだろう。


今はそれどころではないのでは?


例えなのだから・・



それでも、アル様の話は続く。


「シャル。


どうしてそんな話になったのかな?


この後ゆっくり聞かせてもらうからね。」


一転して、優しそうに話しかけられたが、目が笑ってない。


なんか、まずい。




こうして、私にかけられた疑いは、どうにか、晴らすことができた。






でも、この時話の輪から離れたところで見ている金髪の令嬢が一人。



悔しさに、扇が折れるほど握りしめていた。

 


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