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3-6 あなたはもしや転生者?



「本日はご招待いただきまして、ありがとうございます。」


ピンク色の髪に水色の瞳のリリアーナ様が恥ずかしそうに挨拶をしてきた。



エド兄様の妹思いの心配性が発動され、なんと今日はリリアーナ様とお茶会の日。



「よく来てくれたね。クラウゼン嬢。


今日は楽しんでいってくれ。」


エド兄様は、妹の初めてのお友達だと勘違いして嬉しそうに声をかけた。


私、話したことがあるくらいでお友達認定されていませんよ。


そうは思ったが、言えない。


ボッチだなんて、もっと言えない。


「それじゃ僕は仕事があるから失礼するよ。


ゆっくりしていってくれ。」


リリアーナ様にそう言うと、私の頭を一撫でしてから部屋を出ていった。


「尊い。」


なぜか、エド兄様が去っていった方を見て瞳を潤ませて拝んでいるリリアーナ様。



気を取り直して、小さめの応接室の席についていただいた。



そして、私は侍女のアリサにあらかじめ準備しておいたお菓子とお茶を出してもらった。


「あら。これって?」


そう。


リリアーナ様の言動から気付いたこと。


「尊い!」


「推しが・・」


それは、転生者じゃないかってこと。



直接聞くのはリスクがありすぎる。


否定されてしまえば敵になるか味方になるか分からなくなる。



そこで、今回私は賭けに出た。



「これ、ポテチですよね?


うわー。


この世界で初めて食べる。


うれしい。」



もちろんこの世界にポテチはない。


だから、転生者かどうか見るために、わざと出したのだ。



これで確定した。



『転生者』だ!



しかし、正直私はこの後どう出たらいいか迷っていた。


私が転生者だということを伝えてもいいものか。



「シャルロット様。


実は私、ここが乙女ゲーム『想いよ 届け』の世界だと知っているんです。


つまり、私転生してヒロインになってしまったんです。


シャルロット様もそうだったんですね。」


リリアーナ様は早口でそう伝えると、静かに私の返答を待っている。



「どうしてそう思ったんですの?」


わざと肯定せずに質問を返した。



「最初はゲームのシャルロット様の印象とあまりに違うことから違和感を持っていました。


でも、そのあと私がつい言ってしまった前世での言葉を話しても疑問に思う様子もありませんでした。


そしてこのお菓子。」



潮時か。


リリアーナ様はやはり優秀だ。


私の表情、言動から推測し、確信をもって話したのだろう。



「・・・そうです。


私も転生しています。


悪役令嬢『シャルロット・ローゼンベルク』として。」


私も緊張を隠しながら、視線を逸らさずに静かに答えた。


「いつ転生に気づかれましたか?


これだけゲームと違っていることを考えるとかなり早かったのではないですか。」


「その通りです。


7歳で自分が悪役令嬢だと気付いた時には、絶望しました。


だから、自分の力で断罪から逃れようと努力してきたんです。」



ここまで来たからには、正直に話をすることにした。


「知っています!


だって私も何度もゲームをプレイしましたから。


断罪って嫌ですよね。


当たり前ですよね。


ゲームの世界では断罪されていなくなってもざまあ見ろって思って、それだけでしたけど。


実際には、死んじゃったり、独り身で追放されちゃったり。


自分がその立場だったら何が何でもそうならないようにあがきますよね。


シャルロット様、今まで大変でしたね。」



リリアーナ様は痛ましそうな顔で私の手を握った。


温かい手だった。


うれしかった。



「・・・・・・・」


視界が滲み、自然と涙があふれてくる。


この世界での不安を初めて分かってもらえた。


この世界で一人でがむしゃらに頑張ってきたことを認めてもらえた。


そのうれしさで涙がとめどなくあふれてくる。



「・・・ありがとう。」


それしか言えなかった。




しばらく、静かに泣いていたが、ようやく落ち着いてきた。


「ごめんなさい。


伝えてくれてありがとう。


これからも私と仲良くしていただけますか?」


人前で泣いてしまったことが恥ずかしかったが、思い切って伝えた。



「もちろんです。


シャルロット様はもう一人ではありませんよ。


もっともっとたくさんお話ししましょう。」


リリアーナ様は笑顔でうなずいてくれた。




それは、この世界で私に初めての女の子の友達ができた瞬間だった。



「そうだわ。お友達にもなりましたし、これからは私のことリリーと呼んでくださいね。」


「では、私のこともシャルと呼んでください。」


そうして、これからも時々お茶をしたり、学園でもお昼を食べたりすることを約束した。





その頃、エドワードは、出入りのランベルト商会からの質問状に言い知れぬ不安を感じ始めていたのだった。



お読みいただきありがとうございました。

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