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3-3 とうとうヒロイン登場

いつもお読みいただきありがとうございます。

題名を少し変えさせていただきました。


一向に友達ができない。


私の席は教室の一番後ろの窓際の席に固定されつつある。


周りには驚くほど人がいない。


それもそのはず。


私の悪評がどんどん酷くなっている気がする。


しかも、大分広がってきている。


廊下でも聞かれるようになったあざ笑うかのようなひそひそ声。


誰がそんな噂を流しているんだろう?




「何か聞いたとしても心配しないでほしい。私には君だけだから。」


昼食の時間、アル様からいきなり告げられた言葉。


少しずつ慣れてきた隣の席から心配そうな目で見つめられた。



噂が大きくなったせいで、婚約者の資質について疑問視される発言も出てきたらしい。


しかも国の宰相、ファーウスト公爵家からも王様に直々に苦言が呈されたようだった。


お母様にも心配された。


なんでも、最近社交界でもその噂がすごい勢いで広まっているという。


今は、何もしていないはずなのにいきなりどうして?


私は悔しくてテーブルの下でこぶしを握った。



それでも、私にできることをして、態度で行動で悪評を払いのけなければならない。


正しいと思うことを信じて行動していきたい。



そんなある日。


昼食の後、温かい日差しに気持ちがよくなり、少しだけ遠回りして教室に戻ろうとした。


あまり人の目のない学園の裏手のところでピンク色の髪の令嬢を囲む数人の令嬢。


「あなた、元平民だったのによくこの由緒ある学園で堂々と歩けるわね。」


「ちょっと成績が良いからって調子に乗らないでほしいわ。」


ピンク色の髪の令嬢に向かって一方的に詰め寄っている。


更には、その令嬢を突き飛ばした。


「やはり、元平民には地面に這いつくばっているのがお似合いね。」



もう見ていられなかった。


私は、とっさにその令嬢をかばうように前に出た。


「あら。感情的にお話になっているのは、確かアリアンナ様とルシア様だったでしょうか。」


二人のずっと後ろには、ファーウスト公爵家のマーガレット様も優雅にたたずんでいる。


アリアンナ様とマリア様はマーガレット様の取り巻きとしていつも一緒に行動している。


「あなたには関係ないわ。」


悪評が付いているからか随分と下に見られているようだ。


「あら、アリアンナ様の付けているイヤリング、どうもうちの領地のもののようですね。


いつもありがとうございます。」


「いや、これは・・・」


アリアンナ様が悔しそうに唇をかむ。


「それよりもあなたは平民の肩をもちますの?」


マリア様も負けていない。


マーガレット様は笑顔で静観を決めている。


「もちますわ。


うちの領地産のダイヤモンドを採掘するのも運ぶのも加工するのも全て平民の方にやっていただいています。


平民の方あってこそ私達がそのイヤリングを手に入れることができるのです。


感謝は致しますが侮るなどもってのほかです。」


「負け惜しみを。」


「それに、私は身分だけで人を判断したくありませんわ。


元平民の方だったとしても今優秀なのは、この方が大変努力しないとできないことだと思います。


私は身分が上の方よりも、努力できる方の方を尊敬いたします。」


私は怒りに任せて言いたいことを言ってしまった。


「もういいわ。授業に遅れます。行きますよ。」


静かな声が場を中断する。


そして、マーガレット様たちは学園の裏を後にした。




「・・・・・やはり目障りですわね。」


小さな独り言は昼休みが終わる喧騒に紛れて消えていった。




「大丈夫でしたか?」


手を貸して改めて顔を見た瞬間のどの奥からヒューッとした声が出た。



なんと、そこにはピンク色の髪に水色の瞳の大きな可愛らしい令嬢がいた。


しかし、その瞳の奥には芯の強さを感じる。


ゲームのヒロイン。


リリアーナ・クラウゼンだった。


彼女は市井で暮らしていたが、12歳の頃可愛らしい外見と優秀さを見出され、クラウゼン侯爵家に養女として迎えられた。



それでも、今ここで黙って戻っては不自然になってしまう。


制服についた汚れを手でたたいて落とそうとしているリリアーナ様。


「制服が汚れてしまいましたね。


予備の制服お持ちですか?


なければお貸ししましょうか?」


「助けていただいてありがとうございます。


でも、今日は家に帰るだけなので大丈夫です。


それよりも今度何か御礼をさせていただけないでしょうか。」


「通りかかっただけなので結構ですよ。では。」


それだけ伝えると、ヒロインに会ったことによる焦りから、足早にその場を去ってしまった。


ドキドキと動悸が収まらない。



やはりヒロインはいた。


でも、ゲームとは少し筋書きが違う。


いや、もうアル様とは出会っていてゲーム通りに進んでしまうのか。


私の胸のもやもやは単なるゲーム通りに進むことになる不安によるものか?


それともアル様を奪われてしまう未来におびえる不安によるものか?




この時の私にはまだ分からなかった。






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