2-10 アルと呼んで ~王太子side
2章最後です。
手紙が来ない。
正確には一通来た。
『いつもありがとうございます。元気で精進しております。』
何だろう。
知り合い程度の人とのやり取りよりも短い。
まあいい。
シャルロットの動向は続けて影に探らさせている。
父上、母上たちと領地改革を始め、『ローゼンベルクカット』を使った商品開発、売り出しを行った。
今まで疎遠だった兄エドワードとの関係を改善した。
そして、私の側近レオンハルトの屋敷に赴き、母上を元気にさせる手伝いを行った。
それに伴い、レオンハルトの家族仲も改善傾向にあるという。
その全てに君がかかわっているなんて。
どれ一つをとっても容易ではない。
それを、着実に形にしていっている。
すごいじゃないか。
君はどれだけのことを成し遂げようとしているんだ。
それも全て自分のためではない。
私もいずれこの国の王となる立場。
もっともっと努力をしなければならないな。
私も研鑽を怠るわけにはいかない。
ふと思い出す。
君の言ったあの言葉。
『家族、いえ、みんなが笑顔でいることです。』
忘れないよ。
有言実行しているじゃないか。
そんな姿を見るたびに、君を手放せなくなってくる。
王妃となる素質は十分ではないか。
そう思ったはずなのに。
でも、本当は気付いている。
王妃の器があるとかないとかそういうことではないことに。
驚いているんだ。
誰に対しても感情を向けることがなかった。
なのに、レオンって呼んでいる君に、胸がざわつく。
シャルって呼ぶレオンにまで、呼んではだめだと怒りたくなる。
婚約者は私だ。
君の名を呼ぶのは本来私の役目なんだ。
だから、意趣返しで意地悪をした。
君のことシャルって呼ぶこと。
私のこと、『アル』って君の声で呼んでもらうこと。
『アル、さま。』
意地悪のつもりだったのに。
たった一言だった。
たった一言だったのに。
嬉しかった。
君が誰のものか。
いずれ示してみせる。
心の中でそっと叫んだ。
『シャルロット』
初めての作品。
どうにか2章を最後まで頑張ることができました。
応援してくださった皆さん。
本当にありがとうございました。(3章もがんばります。)




