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2-9 王太子殿下にいろいろばれてる?

いつもありがとうございます。

2章ももうすぐ終わります。



なぜ呼ばれたのだろう?


悪いことをしたのだろうか?


いやしていない。


むしろ、何もしなさすぎか。



堂々巡りの頭の中。


私は、王太子殿下に呼ばれて、王城に来ていた。


色とりどりの花の美しく咲く庭園。


なんと今日は、王太子殿下とのお茶会にお呼ばれした。


お会いするのも久しぶりすぎて、気まずさの極み。




「元気だったかい?シャルロット。」


「ご無沙汰いたしております。王太子殿下。おかげさまで変わりなく元気にしておりました。」


「相変わらずつれないね。手紙を送っても返事は一回だけ。何していたんだろうね。」


「申し訳ありませんでした。家族と過ごしたり、お茶会に連れて行ってもらったりと何かと忙しく過ごしており、失念しておりました。」


私もだんだん嘘が上手になってきた。


大きく間違ってはいないものね。


「へぇー。」


探るような視線に負け、視線を逸らしてしまう。


「ちょっと聞いたんだけど、『ローゼンベルクカット』のジュエリーが今流行っていて王都のお店も品薄になるほどなんだってね。どんな宝石なんだい?」


「それはですね。ローゼンベルク産のダイヤモンドを輝きを増すためにカットの仕方を・・・あっ、企業秘密でした。」


「企業って何?」


あっぶない。


冷や汗が出る。


「何でもございません。とにかく他ではまねのできない技術で作っているわが領自慢のジュエリーです。


ぜひ今度、王妃様にも献上させていただきます。」


「ありがとう。でも婚約者なんだから僕から君に贈りたいな。指輪なんてどうだろう。」


「ありがたいのですが、私などまだそういう大人のジュエリーが似合う年ごろにもなっておりませんのでご遠慮申し上げます。


成長して似合う頃になったら考えさせていただきます。」


(考えるだけでもらうとは一言も言わない。絶対。)


「残念。まあいいや。もう一つ聞きたいんだけど、シャルって呼ばれているんだってね。」


「えっ。ああ、お父様やお母様にはそう呼ばれております。」


「あれ。私は最近違う人からシャルって聞いたな?だれだっけ?」


「えっ?もしかして、レオンですか?」


ーーーーーーーーー


王太子殿下は、飲んでいた紅茶のカップを静かに置いた。


なぜか、周りの空気がひんやりとした気がする。



「婚約者以外の男の人からシャルって呼ばれたり、その男をレオンって呼んだりしているんだ。


随分仲がいいんだね。


私のことはいつになっても『王太子殿下』なのに。


私にだけ壁を作っているようだ。


本当にさびしいよ。」


一つも寂しそうではない。


私に向ける笑顔の圧がどんどん強くなっていく。



ひぃー。


怖いよう。


「あの。レオンはただの幼馴染ですから。子供のころからの癖でつい。」


「君はひどい人だね。


そうだ。


いいことを思いついたよ。


婚約者なんだから僕たちもそう呼び合おうよ。」



えーーーーー。


むーーりぃーー。


拒絶する表情を出さないように気をつけているけど、だんだん顔が引きつってきた。


「私は今日から君のことはシャルと呼ぶよ。


私のことはそうだなあ。


アルって呼んでほしいな。


ねえ。シャル?


呼んでごらん。」


「王太子で」


「だめだよ。ほら。」


意地悪そうな目を向けられ、呼ぶまで動かないという決意が感じられる。



「う~~・・・・・・・アル・・・さま。」


く~~~~~っ


下を向きながら、蚊の鳴くような声になってしまった。


恥ずかしさで顔が熱くなってきた。


「かわいいね。」


「!」


王太子殿下って本当に意地悪。


でも、ふと見るとなぜか王太子殿下の耳の上が赤い。



寒いのかな?


ここ外だものね。


「風も出てきたようですので今日はそろそろ。」


「時間が過ぎるのは速いね。名残惜しいけど、また今度会いに行くからね。シャル。」


「王太子殿下もお忙しいと思いますので無理はなさらないでください。」



「シャル?」



笑顔で圧をかけてくる。



「あ。アル様。本日はお招きいただきありがとうございました。」


恥ずかしさで早口になりながらどうにか挨拶をした。



そして私は、礼を欠かないよう可能な限り急ぎ、逃げるように王城を後にした。




そこには、満足そうにこちらを見ている王太子殿下がいたことも知らずに。



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