2-6 マリーおばさまの食事改善
ありがとうございます。
頑張ります。
「サイアス料理長、お願い。食事作りの邪魔はしないから隅の方使わせて。」
「シャルロットお嬢様。使わせてあげたいけど、作ったことがない子供は怪我をするから賛成はできないな。」
「それでもお願い。絶対にだれの責任も負わせないから。」
「だけど。」
「じゃ一回だけ。それを見て危ないようだったらあきらめるから。お願い。」
「う~ん。お嬢様のお願いには弱いんだよな。一回だけだよ。」
「ありがとう。食材は自由に使ってもいい?」
「もともと公爵家の食材だ。自由に使ってもかまわないさ。」
どうにか、料理長に使用許可をもらって、マリーおばさまへ提案する料理の試作を始めた。
前世では、一人暮らしもしていた。
ただし、社畜になってからは、めっきりコンビニ飯。
それでも、大学で少し学んだ栄養学と一人暮らしの経験でどうにかなるだろう。
まずは、卵と野菜の入ったおかゆ。
野菜は、 緑黄色野菜として定番のカボチャ、小松菜、ニンジン。
彩もいい。
そこに、卵をたっぷり入れて完成。
「いいにおいがするね。ちょっと味見させてもらっていいかい。」
心配でじっと見守っていた料理長が声をかけていた。
「自信はないけど、食べてみて。そして、胃腸が弱った人にとってもどうなのか教えてくれる?」
料理長が恐る恐る一口食べてみる。
「ん! うまい! そして優しい味だ。これなら胃腸の弱い人でも食べられるだろう。しかし、お嬢様はいつの間に料理ができるようになったんだい?」
「それは、いつもおいしい料理を作ってくれるサイアス料理長のおかげかな。あとは、本を読んで学んだことも生かしてる。」
「あまり納得できないけど、まあいいや。」
そうして、それからも時間が空けば野菜のスープや茶わん蒸しなどを作り、レシピを分かりやすくまとめていった。
こうして着々と準備を進めていった。
そしてマリーおばさまの都合を聞きながら侯爵家に向かう日を決めた。
お昼も準備するからと予定を告げ、おかゆをもって侯爵家に出向いた。
相変わらず青白い顔で痩せたマリーおばさまにお会いして、体調を聞きながらおかゆを食べていただいた。
「あら。おいしい。優しい味ね。これなら少し食べられそうだわ。」
よかった。
バランスよく栄養を摂ってもらって少しずつでも体調を改善させたい。
そのためにも、侯爵家の料理長にもレシピを説明して渡さなければ。
まだ、体調のすぐれないマリーおばさまの所に長居せずに厨房へと向かった。
料理長におばさまの状態とどんな食事が必要か話した。
最初は、大きく反対された。
「今まで、侯爵家ではこうした料理が喜ばれてきたんだよ。食事のことよく知りもしないお嬢様に言われてもなあ。」
「でも、おばさまは胃腸が弱くて普通の食事が摂れないんですよ。」
「そんなこと言ったって、貴族の食事とは滋養をつけることが基本だろう!」
料理長にもプライドがあるだろうが、ここは何としても譲れない。
「病気の時の滋養の付け方について言っているんです!」
「病気の時は、ガツンと贅沢にステーキなんかの肉が栄養が摂れていいんだよ。」
「では、あなたは風邪をひいて食欲がないときにもステーキを食べたいですか。」
「 ・・・・・ そうだな。すまない。意地を張ってしまった。」
こうして、どうにか理解してもらい、レシピを渡し、調理法を詳しく伝えることができた。
しかし、料理長の協力もあり、少しずつ食べてもらえる日も出てきたが、そうすぐには改善は見られなかった。
そのため、何度も足を運んで一緒に食事をとりながら、少しずつおばさまの話を聞いていった。
そうすると、おばさまの精神的な不安の材料が分かってきた。
それは、どうもレオンのお父様が忙しく、なかなか帰ってこなかったり、長年会話が少ないことによる『寂しさ』にあるようだった。
これは私では解決できないことだ。
レオンに相談してみよう。




