2-5 マリーおばさまの家へ
読んでくださりありがとうございます。
「ご無沙汰いたしております。マリー様。」
隣の領地にあるモンフォール侯爵家のお宅に久々に伺った。
マリー様はとてもお優しい方で小さい頃よく遊びに行っていた私を、女の子の子供がいないということでまるで娘のようにかわいがってくれていた。
「まあ、随分素敵なレディになったこと。それにしても以前のようにマリーおばさまとは呼んでくれないの?」
「ありがたくはありますが、少しはわきまえましたので。」
変わらず優しいまなざしで迎えてくれたが、顔色も青白く以前よりかなり痩せていた。
しかも寝室で過ごす時間も増えているようだった。
「ご無沙汰していたお詫びに、私の領地の特産品として出している『ローゼンベルクカット』のネックレスです。」
「噂には聞いていたわ。本当に綺麗ね。ありがとう。」
「ところでマリー様。今日は顔色もあまり優れないようですが、お体大丈夫でしょうか。」
「心配してくれているのね。ありがとう。最近食欲がなくて、動くとすぐに疲れてしまうのよ。」
そんな話をしている時に、不意に荒々しくドアが開いた。
バタン。
「お前、何しに来たんだ。母上は病弱なんだ。すぐに帰ってくれ。」
「あら。なんてことを言うの。せっかく久しぶりに顔を見せてくれたのに。」
「母上はもう休んでください。」
「はい、はい。シャルロットさんごめんなさいね。また、いつでも遊びに来てね。」
私は、レオンに追い出されるように部屋を後にした。
しかし、このまま黙って帰るわけにはいかない。
メイドや料理長などの使用人にマリーおばさまの今の状態や生活習慣を事細かに聞き出してから、侯爵家を後にした。
小さいころからの顔見知りだし、まだ9歳だということで、教えてくれたのだろう。
家に帰ってから、おばさまの今の様子は、予想すると胃腸虚弱による極度の栄養失調。
寝ていることも多く移動もしないため、余計に食欲がなくなる悪循環。
定期的にお医者様に診てはいただいているが、栄養を摂るように言われているだけで、病気の様子は見られなかった。
レオンはレオンで今まで母親が心配で医者を何人も変えて診てもらっているらしい。
それでも回復しない母親のことが心配で攻撃的な口調になっているのかな。
心配だものね。
もしかしたら、おばさまには精神的に何か心配なこともあり、うつ症状が出ているのかもしれない。
それについは、おいおい対策を立てていこう。
大きな病気じゃなくてよかった。
それならどうにか対策できるかもしれない。
前世では、大学で栄養について学んだこともあり、少しは役に立つだろう。
まずは、栄養を考えた食べやすい食事が必要だ。
おばさまは食欲がないからと、その時食べられるデザートのようなものや飲み物のようなものしか、口にしていないらしい。
それでは、栄養が偏ってしまう。
理想は消化が良くて栄養もとれるバランスのよい食事。
卵や野菜の入ったおかゆのようなものがよいだろうか。
野菜のたっぷり入ったスープ。
野菜や魚介類、または食べやすい鶏肉の入った茶碗蒸し。
いくつか作って今度届けてみよう。
または、侯爵家の料理人にレシピを届けてもいい。
そして、ある程度栄養を摂って動けるようになったら次は、少しずつ体を動かすこと。
最初は屋敷の中を歩くだけでいい。
一緒に話をしながらなら気負わずに過ごせるかもしれない。
慣れてきたら庭に出ること。
太陽の光を浴びることは大切だ。
目標は日常生活を自然に行えるようにすること。
それも体に負担にならないようにゆっくりのペースで行いたい。
精神的ケアは一緒に過ごす中で対策を考えていけたらいい。
こんな計画を立て、まずは栄養が摂れる食事を作ることを目指す。
仲良くなったうちのサイアス料理長を訪ねた。




