互いの思惑
城に戻ったグレイは今日一日のことを思い出す。途中からシアの様子がおかしかったが、何をきっかけに変化したのか、考えてもわからなかった。
「従姉妹、か」
シアが語った系図はグレイが予想していたものと変わりなかった。そこまで近しい親戚だとはおもわなかったが。なるほど、従姉妹なら似ていてもおかしくない。仮にアステリアが皇太子妃に選ばれても不審に思われない程度には似ているのだろう。
もともとグレイが危惧していたのは王子を狙った刺客か別の狙いを持った貴族の令嬢ではないかということだった。
あのシアの様子を見ていれば杞憂だったとわかる。そんな疑いをもたれていたと知ったら顔を赤くするどころか青くしそうだ。
ふっ、とおもわず笑みがこぼれる。どこまでも素直すぎるあの表情、妹がいたらあんな感じかと思う一方で、それとは違うとグレイに気づかせる感情。
「困った…。 アイツがどう動くかで俺の運命も決まるのか?」
困ったと言いながら、グレイは事態がどう動こうとも自分の望みを叶える方法を考えていた。あきらめる、ということは微塵も考えなかった。
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アステリアはシアの報告を聞きながら騎士の姿を思い出していた。結局シアは全て話したらしいが、まったく咎めなかったらしい。そこにはアステリアもほっとした。騒ぎ立てられたらシアが気に病んだだろう、胸にしまうとシアに宣言してくれたことは感謝していた。
「グレイ様がお姉様やお父様のことを褒めてくれて、わたしとってもうれしかったです」
シアはグレイにいい家族だと褒められたことをうれしそうに語っている。その頬が紅潮しているのを見て、アステリアは自らの胸に秘めているのと同じ感情を見つけた。
「次に来たら正式に挨拶をしましょうか」
妹にこんな顔をさせる人。是非とも自分の眼で見ておきたい。
あの人はこのことを知っているのだろうか。
自分一人が知る秘密にわくわくする。どうしたら一番驚かせられるか、子供のような悪戯心が湧いてきて困ってしまう。
ひっそりと興奮を抑えアステリアは『次』の機会を待った。




