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フレーゲル邸にて

前回の続きです。細かく切っててすみません。

片脚で移動する真帆ちゃんに肩を貸しながら、ぼくたちはお屋敷の中に入って行った。


縦ロールちゃんはぼくたちのことなど気にしていないかのように、一切後ろを振り向かずずんずん進んでいく。ぼくたちは取り残されないように、頑張って後を追うしかない。


廊下を進みながら気付いたが、ここのお屋敷は思ったほど広くない。にもかかわらず、働いている人の数はやや多めだ。しかも、十代の前半から半ばぐらいの年齢の女の子が多い。髪の色や顔立ちはさまざまで、メイド服補正がかかっているせいかもしれないが、皆それなりにかわいらしくみえる。


屋敷の中は外観と同じく木製の素材の多い優しげな作りだった。絨毯やカーテンなども上品で落ち着いた色合いで、家主の趣味のよさを感じる。でも、ときどき置いてある壺や彫像にごてごてした成金趣味なものが混ざっていたりして、そこだけは調和がとれていない。誰かからのもらいものを無理に飾っているのかなという気がした。


お屋敷の一番奥の部屋の前で縦ロールちゃんは立ち止まった。


「ここで待っていたらいいわ」


扉の中からは物音がするが、いきなりノックしてもいいものかどうか……。


「言っとくけど、音がやむまでおとなしくしていたほうがいいわよ」


ぼくの迷いが分かったかのように縦ロールちゃんはそれだけいうと、さっさと立ち去ってしまった。


「これ、どうしよ……」

「とはいっても、忙しいところを邪魔して機嫌を損ねたら元も子もないからなあ」

「待つしかないね」


仕方がないので、そのままぼーっと待つことにする。暇なので近くにあった金ぴかの天使像を触って能力を使ってみたら、見たことないぐらい★が出てきてびっくりした。いくらするんだ、これ。


「あ、そうそう、言いそびれちゃってたけど、先日ぼくの能力がちょっとだけアップしたよ」

「お、そうなのか?」

「あのでっかいネズミを倒した時に、レベル5に上がったみたいなんだよね。それと一緒にね」

「で、なんかすごいこと分かるようになったの?相手の弱点とか」


それが、なんとですね…………


「人に使うと、相手の職業もわかるようになったんですよ!」

「……………ふーん」


あれ?何この反応。いまいち盛り上がりに欠ける気がするよ?


「本当なんだからね?さっき宿屋のおやじさんに使ってみたら、『職業:宿屋』って出たんだから!」

「それ、別に聞かなくたって俺でもわかるわ………」

「ちなみに今、透さんを調べてみると『職業:遊び人』って出る」

「うそん…………」


まあ、今のところそれほど使う機会はないけどね。それでも、レベルアップにつれて成長していく能力ならそのうちすっごいことが分かるんじゃないかって気がしている。射程範囲も今のところ自分の体から30cm以内ってところだけど、離れてても使えるようになれば索敵能力として優秀な気がするよ?



そんな話をしていると、やがて中の物音が止まった。ノックしようと透さんがドアに近づいたら、急に内側からドアが開いてメイドさんが走り出てきた。


開いたドアが鼻にぶつかり、顔を抑えてうずくまる透さん。


「いてえ………鼻の奥がジーンとした。鼻血出ちゃうかも」


高そうな絨毯を汚されては大変なので、眉間と鼻の間をつまんで首の後ろをとんとんしてあげる。


「ん?誰かおるのか?」


そんなぼくたちの耳に、半開きのドアの向こうから年配の男性の声が聞こえた。

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