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皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑧ ~冬空《そら》裂く暴風《かぜ》が奏でる異変~  作者: norito&mikoto
第2章 終わりは始まり

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第3話・授業が終わって解散し ~報告求める呪師長に~

第2章 終わりは始まり



       第3話・授業が終わって解散し ~報告求める呪師長に~



 演習棟から皇宮呪師殿(こうぐうじゅしでん)に移動し、そこで解散となる。



「……お願いしますね……」



 ずっと抱いていたアインをそっとクロードに引き渡したインスは、青い顔で眠るアインの頬を撫でて、少しほつれてきていた髪をそっとのける。



「……………」



 無言で頷いたクロードは、ウスニーに促され、まずは皇宮医務殿に向かうことになった。



「……それでは、今後の授業に関しての相談は、また改めてということで……」


「分かりました。お願いします」



 見送って、次いで声をかけたのはディオネラ。


 こくりと頷いたインスはディオネラも見送って、今日の担当だった皇宮護衛官のステールを見上げる。



「今日はここまでですね。私も、部屋に戻りま……」


「ラント呪師」



 言いかけたインスの声を遮って、一人の皇宮呪師が声をかけた。



「「……………」」



 どうしたのかとそちらに顔を向けたインスとステールに歩み寄ったのは、四十代ほどの外見をした男性の皇宮呪師。


 彼は呪師長であるキプラの秘書官の一人で、その様子からおおよその用件を察したインスはそっと、息を吐いた。



「呪師長から、今日の授業に関しての報告をして欲しいと……かなりの魔力が観測されましたからね……結構な人数の陳情者が押しかけていました」


「……なるほど……それは、申し訳ありませんでした……」



 予想通りの用件と、予想外の理由に軽く目を見張る。


 それは、確かに報告を求められて然るべきだろう。



「いえ……できれば、すぐに、とのことでしたが……」



 謝罪を受けて若干慌てたその皇宮呪師が付け加えた言葉に頷く。



「分かりました。伺います」


「……なら、送ろうか?」



 話がまとまったのを見て取ったステールが口を挟むが、インスは緩く首を横に振った。



 護衛官が呪師に個別で付くのは、外部に派遣される時など特定の条件下でのみ。


 だから、皇宮呪師ならその活動圏と定められた皇宮内の一角では、基本的に自由にできる。


 皇宮呪師殿はその範囲内なので、ずっとステールが付いている必要はなかった。



 言うなら、この先まで付いて来るとなるとステールは任務外の業務となる。


 そこまで危険があるわけでもない……呪師殿担当の皇宮護衛官が警備もしている中に付き合わせるのも悪い。



「いえ……大丈夫です。報告が終わったら、部屋に戻って休みますので……」


「……分かった……」



 だから、そう告げたインスの言葉に素直に頷いて、ステールはその場で別れることにする。



 頷き返したインスは、知らせに来てくれた皇宮呪師にも礼を告げ、呪師長室に向かう。



 呪師長室の前には、警備の護衛官が二人。


 その二人に黙礼で挨拶して、インスはノックをして、訪問を伝えた。



「……入ってください……」


「失礼します……」



 返事を待って扉を開いたインスは、軽く一礼して執務机について書類を捌いているキプラの前まで歩み寄った。



「……授業直後に申し訳ありませんが、報告をお願いします」



 正面で立ち止まったインスを見上げ、手を止めたキプラは穏やかな声音で求める。



「……はい……本日、郊外演習場にて……」



 同じように穏やかな笑みを口元に貼りつけて、インスはゆっくりと今日のアインの授業に関して報告を始めた。



「……報告は以上です……」


「……なるほど。わかりました……」



 一通りの報告を聞いて、一つ頷いたキプラは、少し考えるように口元に曲げた指を当て、目を伏せる。



 その様子を黙って見ながら、インスもまた思考を別のところに飛ばしていた。



「……では、今後の授業方針に関しては、まだ未定ということですね?」


「はい。後日、アムス校長と打ち合わせて、神殿側とも協議することになると思います」


「……なるほど……」



 その間に考えがまとまったらしいキプラが口を開き、返答したインスに頷き返す。



 それから、執務机に両肘をついて、顔の前で指を組み合わせた。



「なら、私から一つ……彼の実力的なものを勘案して、ぜひとも上級や高位魔法の授業を取り入れて下さい」


「……は……?」



 にこりと笑って、何でもないような口調で言われて、インスは呆けた声を漏らす。



 呪師長(このひと)は、何を言っているのだろう?



 アインはまだ、ほんの五歳ほどの……いや、体格から考えればそれよりずっと幼い、就学年齢に達していない幼子なのに……



 十五歳以上の、この国で成人と認められる年齢になった者にだけ許可される、上級魔法や高位魔法の授業を……受けさせろと?



「……無理でしょう……」


「なぜ?」


「……っ……!?」



 学習要綱……否、法によって禁止されている授業を受けさせろと言われても、無理としか答えようのないインスに対し、キプラは本当に分からないと言いたげに首を傾げる。


 息を飲んだインスは信じられない思いでキプラを見つめた。


第2章第3話をお読みいただきありがとうございます。


郊外演習場から戻り、アインをクロードたちに託してようやく解散です。


治療の道筋も見え、ここから良い方向へ進んでいきそうで何より……かと思いきや、皇宮呪師長キプラへの報告では、思わぬ展開が待っていました。


まだ幼いアインに対し、上級魔法や高位魔法の授業を受けさせろという異常な方針を告げられたインスは絶句!


果たして、キプラの真意は一体どこにあるのか?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは本日22時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第8弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト


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