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皇宮呪師は護りたい!聖皇国列伝秘聞⑧ ~冬空《そら》裂く暴風《かぜ》が奏でる異変~  作者: norito&mikoto
第2章 終わりは始まり

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第4話・正論だけれど受け入れられない ~牙剥く理由が見えなくて~

第2章 終わりは始まり



    第4話・正論だけれど受け入れられない ~牙剥く理由が見えなくて~



 話の嚙み合わなさ、通じなさにインスは一瞬沈黙した。

 


 すぐに反論を口にしようとするが、それを遮るように、突然、キプラは年末にかけての予定を聞いてくる。


 いきなり何だと思いながらも答えたインスは、とにかく、と少し混乱しながらも話を戻す。



「……なぜ、も何も……違法行為です……」



 そうとしか言えないインスに対し、キプラは何でもない様子で口を開く。


 それまでと全く変わらない様子で話を続けた。



「それを言うなら、十三歳に満たない者に特例で授業を受けさせている時点で違法です。更に、神官呪師(しんかんじゅし)としての学習と、皇宮呪師(こうぐうじゅし)としての学習、両方を受けていることも……違法とは言い切れませんが、ありえないことです」


「……それは……」



 反論に口籠る。



 確かに、就学年齢に達していないアインが呪師としての授業を受けているのは特例とは言え、厳密に言えば違法行為。


 特別に許可をされているのは、アインが『魔力を魔力のまま』使えてしまう見者けんじゃで、更にその保有する魔力量が膨大なため、制御の方法を身につけさせなければいけなかったから。



 けれど、制御の方法を身につけさせるだけならば、呪師としての授業が必須と言う訳ではないし、仮に学ばせるとしても、神官呪師としてか、皇宮呪師としてかのどちらかだけでよかった。



 確かに、アインにはどちらの才もケタ外れに高く、どちらか片方だけにするのはもったいないと上層部が考えたのも当然。


 もっと言えば、神殿側も皇宮側もアインの才覚を欲した結果。


 その上、実際にアインはどちらの授業にもついてこれてしまっている。



(……神官呪師学校の、神前裁判にかけられた元校長でさえ、上級や高位魔法に関しては受けさせない方針だったのに……!)



 アインに対し、虐待とみなされるような指導を行っていた元校長でさえ避けた授業を、皇宮呪師長は受けさせろと言う。



 湧きあがる感情を必死に押さえ込んで、インスは何とか表情を保つ。



「……そうだとしても、流石にそこまでは最上層部(皇城側)の許可は下りないでしょう……」


「そうでしょうか? 折角の才能を伸ばすことを遅らせる理由はないと思いますが? 実際に、ついてこれないとは思えませんし……」



 緩く、首を横に振るインスに対して、けれどキプラは考えを変える様子はない。



 確かに、ついては来れるだろう。


 実力的には十分可能だろう、と言うのも……実際に指導する立場にあるインスの方がよほどそれを理解している。



 けれど、上級魔法や高位魔法の習得が十五歳以上と定められているのは、当然、それ相応の理由があってのこと。



 これ以上の問答は不毛だ……



「……とにかく、私は反対です。アイン君には、これ以上、急いで学ばせる必要もなければ、無理をさせたくもありません」


「……そうですか……」



 話を打ち切ったインスにそう返したキプラの、暗い色をした瞳に何とも言えない悪寒を感じる。



「では、失礼します……」



 心臓が嫌な音を立てて軋むような錯覚。


 それを飲み込んで、インスは退室の挨拶をする。



「……………」



 薄く、口元に笑みを這わすキプラを薄気味悪く思いながら、踵を返した。



 けれど……



「そう慌てなくてもいいでしょう?」


「もうお話しす……っ!?」



 後ろからかけられた声に、致し方なく振り返りながら答えようとしたインスは、いつの間にか真後ろに立っていたキプラに驚く。



 反射的に後退った背が扉にぶつかり、顔の横に手を着かれ、顔を寄せられて目を見開いた。



「……呪師長……?」



 いつの間に? 


 いつ、立ち上がって、いつ、移動した?


 いや、それよりも、この体勢は一体……?



「まだ、私の用件は終わっていませんよ?」


「っ。ですから……! ……ぁっ!?」



 にこやかに笑いかけてくるキプラに、少し苛立ちを感じながら反論しようとしたインスは、突然全身を襲った衝撃に悲鳴にならない悲鳴を上げる。



「……っ……!? ……っ……!?」


「……へぇ……?」



 息を引きつらせ、その場に崩れ落ちたインスを見下ろすキプラは面白そうに唇を歪めた。



「…………っ」



 震える体に力を入れるが、全く動けない。


 声も、ろくに出せなくて、何が起きたのか、混乱する意識を辛うじて保ったまま、キプラに視線を向け、睨む。



「……驚きましたね……確かに、死なないように加減はしましたが……まさか、精神体に直接攻撃を受けて、意識をまだ保っていられるとは……」



 愉しそうに呟いて、キプラはインスの口に布を詰め込み、縛り上げて完全に口を封じる。



「……っ……!? ん……っ!! ん~~~っ!!??」



 目を見張ったインスが抗議するように声を絞り出すが、くぐもった音が微かに漏れるだけ。



 その様子をそれはそれは愉しそうに眺めて、キプラはインスを引きずって移動する。



 部屋の片隅に置かれた、観音開きの大きな箱の前で立ち止まると、その扉を封じる錠を解いて蓋を開いた。


第2章第4話をお読みいただきありがとうございます。


キプラからの異常な要求に対し、インスは法やアインの年齢を理由に毅然と反論し、きっぱりと跳ね除けます。


対話での解決は不可能と悟り、部屋を後にしようとしたインスでしたが、その直後、思いもよらない事態に見舞われます。


笑顔の裏に隠されていたキプラの底知れぬ恐ろしさが、ついに牙を剥く展開へ……。


身動きの取れなくなったインスが引きずられていく先に待っているものとは?


次回もお楽しみに!


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日12時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【第8弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト


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