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ダンジョン時代と人見知り  作者: 酉名酉丁
第三章 冒険者の分かれ道

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47話:テスト

 テストは、受ける時が大事である。

 万全の状態で受験することで、100%の力を出せるというもの。


 しかし、テストは返却されるときも大事である。

 百点満点中何点だったのか、友達とどちらの方が良い点数か、そこではない。真に大事なのは、どこで間違えたか、どうして間違えたかを理解すること。



 それはさておき、蒼は点数が高かったので喜んでいた。

 間違えた場所なんて確認していない。復習なんて言わずもがな。

 これでも高得点を取れているのだから、世界って本当に理不尽。筆記テストの限界。


 そんなことよりも、人とテストの見せ合いをしたかった。今まで友達がいなかったのでやる機会がなかったが、今の蒼には伽代がいる。

 高得点のテストを見せて褒められる未来を想像する。



 休み時間に『早く来ないかなあ』とウキウキで待つ。

 しかし伽代がやって来る気配はない。


 昼休みになっても来る気配はない。


 放課後に待っていても来ない。



 仕方がないので荷物をまとめて教室を出る。

 とぼとぼとした足取りは、蒼を家までゆっくり運んだ。



 §



 翌日もテストの返却。リュックの肩紐を強く握りしめ、蒼は決意していた。

 テストを掴んで伽代の元まで行き、高得点を褒めてもらうのだと。自慢するのだと。


 それはもちろん、放課後まで待って伽代がやってこなかった場合の話。

 授業の合間も昼休みも、一人寂しく過ごしたのであった。



 放課後、昨日と今日に返却されたテストを持っていざ伽代の教室へ。

 しかしそこで思い直して、国語のテストだけはリュックの中にしまっておく。漢字と自由記述がボロボロで酷い点数だったから。


 伽代の教室の前にやってきて、少し躊躇う。

 もしすでに伽代が帰っていたらどうだろうか、教室内に伽代以外の人がいたらどうだろうか、そういったことを考えてしまう。


 悩んでも仕方ないこと。

 えーいままよの開けごま。かけて美味しい胡麻油。

 道場破りかと思うほどに思い切りよく扉を開ける。


 教室には伽代が一人、机に向かって勉強している。

 教室に入ってきた道場破り——ではなく蒼に気づいたようで、ペンを握る手を止める。


 いったい何をしているのかと彼女の手元を覗き込む。

 手元にはノート。その隣にテスト。さらに近くに教科書、ついでに参考書。

 どうやら、テストの復習をしているらしかった。


 放課後の教室で、一人テストの振り返り。なんと真面目な少女だろうか。

 真面目じゃない方の少女は深く感心した。

 この真面目な少女と真面目ではない少女、後者の方がほんの少しだけ良い点数。世界って本当に理不尽。


 伽代に巻き込まれて、テストの振り返りをすることになる。


 正直そこまで頑張る気にはなれない。

 そっと点数を強調するようなテストの見せ方。高得点を褒めてくれとの思いを込める。


「蒼ちゃんはスペルミスとかのケアレスミスが多いね」


 伽代の指導で復習開始。

 蒼の期待は無に帰した。褒められるどころか、『惜しかったね、ドンマイ』と慰められる始末。


 蒼は褒められて伸びるタイプ。褒めて欲しい。



 §



「勉強なら姫羅ちゃんに教えてもらえばいいんじゃない?」


 勉強を終えて帰路につく。蒼は伽代に簡単な提案をする。

 テストの返却はまだあと一日残っている。このままでは明日も復習に巻き込まれそうだと感じたことによる提案だった。


 蒼たちのパーティに新しく入った姫羅、彼女は蒼たちよりも一つ年上。

 近くの共学に通っている高校二年生。


 今の蒼たちが取り組んでいる勉強は、かつて姫羅が通った道。『先駆者に聞けばいいじゃん』というのが蒼の見解。しかし伽代は違うらしい。


「嫌だ。絶対にいやだ」


 姫羅に借りを作ってなるものか、そんな雰囲気を醸し出す伽代。


 どうやら二人の間には深い溝があるらしい。

 彼女の中性的な感じが苦手なのか、それともキザな仕草が原因か。

 何が理由であろうと、仲間である二人には仲良くして欲しいと考える蒼であった。


 仲間——。仲間……か。

 二人の存在が、仲間という関係が、蒼には特別に思えて、顔がにやけて止まらない。

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