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ダンジョン時代と人見知り  作者: 酉名酉丁
第二章 友達つくろう高校生活

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30話:喋らなければ美少女

 伽代は特に掴み攻撃に警戒しながら、丁寧にゴーレムの手を順に切り飛ばしていった。そして防御も攻撃もできなくなった後、弱点のクリスタルがある胸を貫いた。


 伽代が攻撃を受けたのは全部で3回。結局ボスの攻撃が伽代に傷を負わせることはなかった。



 ボスを倒して帰路についていた伽代は、少し反省会でもしようとファストフード店へ足を踏み入れる。


 家に帰っても一人でご飯を食べるだけだし、ちょっと寄り道してもいいだろう。


 今の伽代の家には誰もいない。父親はIT企業、母親はアパレルメーカーの、両者ともに経営者であった。両親は仕事で忙しく、夕食は決まって一人で取るものだった。


 帰っても一人というのは寂しいので、ファストフード店でお茶でもするのだ。

 反省会というものは大抵の場合気分が落ち込む。一人でするにしても寂しい場所でやるより、賑やかなファストフード店でやった方が精神衛生上良いはず。


 ロイヤルバーガーとポテトのセットを二つ。ドリンクはアイスティー。チキンナゲットを10ピース、追加で期間限定のビーフインビーフサンドも注文。

 商品をファストに受け取って、席を探す。

 少し遅めの時間帯、店内には学生グループや家族連れがいる。


 ポテトをつまみつつ反省会開始。

 あの時はああするべきだったとか、自分に足りない要素はなんだったとか、浮かんでは消えていく。特にメモとかはしない。考えるだけでいい。


 より良いスキルの使い道について考えていたところ、近くの席に座った学生の一団が目に入る。なぜか異様に気になる。


 男女混合の6人組。なぜこんなにも気になるのか。

 しばらく観察していて気付く。集団の中の一人が蒼と似ているのだ。


 似てる……けど、世界にいる似た顔の三人の一人かもしれないし、ドッペルゲンガーという程じゃない。他人の空似かな。



 それから伽代は、反省会をほっぽり出して蒼のことを考えた。


 人と仲良くなるのが得意な伽代だが、友達以上の関係に踏み込むのは苦手だった。多くの人間と付き合いを持つほどに一人一人との距離は遠くなっていく気がする。

 直感だが、蒼とは上手くやれそうなのだ。


 伽代は蒼と親友になりたい。仲間になりたい。理由は自分でも分からない。

 たまたまダンジョンで出会ったからなのか、仲良くなるうちに見えてきた彼女の性格を好きになったからなのか、とにかく運命を感じている。もしかしたら顔がタイプだっただけかもしれない。


 伽代から見た蒼の評価は非常にシンプル。

 喋らなければ美少女。これに尽きる。

 勉強もできて運動もできる。顔も良くて雰囲気もある。ただ、口を開けば何かしら変なことを言う。

 変な名前を名乗るし、ナンパみたいなこと言うし、蒼はおもしれー女だった。ここ最近では彼女の奇行にも慣れてしまい、今後何を言い出しても疑問には思わないだろう。


 伽代は近いうち、エキセントリック蒼ちゃんとパーティを組むことを決意した。


 お土産に買ったポテト&チキンセットを持って店を出る。

 ここ数日は両親が二人とも海外出張中なのもあって、不摂生が続いている。帰り道でコンビニに寄って、多少なりとも健康を取り戻そうとサラダを買った。



 §



 伽代の帰りを大きな家が静寂と暗闇で迎える。


「ただいま」


 誰もいない家だが、電気をつけると大きな影がリビングにひとつ。

 リビングで大きな大きなクマのぬいぐるみが伽代の帰りを待っていた。彼の名前はジョナサン三世。小さい頃に母親が買ってくれたぬいぐるみだが、未だに伽代よりも大きい。

 リビングの一角を占めているジョナサン三世は、映画を見るときの良いお供になる。大きな体に包まれながら映画を見ると、広いリビングでも寂しくない。


 たしかお父さんはたアメリカで、お母さんは……フランスだったかな?

 海の向こうにいる両親のことを考えながら、父が作り置きしてくれたハヤシライスを食べる。


 食事を終えて皿を洗い、お風呂から出た伽代は自室に入る。そろそろいい時間だが、寝るためではない。

 自室からクマのぬいぐるみを抱きかかえてリビングに戻ってきた。消火器より小さめのそのぬいぐるみ、名をジョナサン二世という。誇り高きジョナサン一族の初代である。


 お土産のポテト&チキンセットを手元に、テレビをつけて映画を流す。

 ジョナサン三世に包まれ、ジョナサン二世を抱きかかえ、ポテトとチキンを食べながら映画を見る。良いご身分である。


 エンドロールが終わって、リビングは静かになった。


 紙のバレルを捨てて歯を磨いた。

 ジョナサンたちに食べこぼしが付いていないかを確認した後、除菌シートで拭いておく。そしてジョナサンに別れを告げ、ジョナサンと共に自室に戻る。抱えていたジョナサンを枕元に置いて布団にもぐったら、自然と羊が集まってくる。


 一人では大きすぎる家。そのうち蒼を呼んでみたいと思った。二人だったら寂しくないはず。

 何をして遊ぼうかなどと考えながら、うとうとと夢の世界に落ちていく。



 お母さんとお父さんと、蒼ちゃんとその家族。みんなで旅行に行けたら楽しいかもな。蒼ちゃんは面白いから、お母さんとお父さんもきっと気に入る。

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