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神祖の妖精王〜妖精騎士アイギスさんの冒険の日々〜  作者: フィリクス
第4章 愛を紡ぎ捧げるアドヴェンチャラーズ
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第三十四話 妖精騎士アイギスさんと至尊の聖女にして魔女さまとの男漁りの冒険(5)





やっと秘密の高級娼館の窮地を救った妖精騎士アイギスさん。まぁ、その窮地を招いたのがわたしらなんだけど細かいことは良いんだよ。



「ふぅ〜。本当にやれやれだよぉ。久々に焦ったわ……でも、コレで一安心。聖魔帝国が気を利かせてデーモン兵一個大隊を送り込んで来たからね」


と乗り込んで来た黒光りする肌の悪鬼デーモンどもをわたしは笑顔で見るの、お勤めご苦労さま。

所で褐色肌の女の子達が恐怖で震えてるけどそれはなんでかなー。


「イヤぁああああ、死にたくない。死にたくない、殺さないでぇえ!」


泣き叫んでるのは返り血浴びた女の子だね、傍には青い顔した女の子が二人してガタガタ震えてるの。

お前ら何したよ。

わたしのジト目の視線に気付いた将校らしきデーモンが敬礼した。


「はっ。妖魔に襲われた人間の返り血を浴びパニックになったようであります。襲った妖魔は射殺、消滅させました。襲われた方は緊急治療中です」

「その女の子は助かるんだろうな?」


「いえ、男です。使用人のようでしたが」

「ならどうでも良いな。でも、パニクってるのはお前らが抑えつけてるからじゃねぇの? 仕方ないなぁ」


ヘルメット被って自動小銃持った近代歩兵って装備のデーモン兵ども。

白兵戦を想定してか小銃にチェーンソー付けてたりFPSばりの装備だからなお前ら。そんな人外の悪魔どもに囲まれてみて?

そりゃ恐怖で生きた心地しないでしょう。


しかもデーモンのみならずヘルメット被った子供の悪霊ポルターガイストまで居るしよぉ。ヘルメット被る必要ねぇだろ幽体なんだし。手榴弾を手にするな、危険な気がするだろ。


「おら、ポルターガイストは下がれ。――よ〜し落ち着いてね。ほら、人間も居るからね。だいじょうぶ、落ち着きましょう。わたし達は危害を加えに来たんじゃないんです。助けに来たのよ」


と、この妖精騎士アイギスさんの騎士っぷりを久々に発揮させるの。被ろうと思えば幾らでも猫被れるのよ。

「ほ、ほ、ほ本当に。こ、こ、ころさない?」

「ええ、わたし達は文明国の軍隊。そうでしょう、そこのグレーターデーモンの指揮官コマンド


「はっ。我らは悪にして秩序の軍勢。聖魔帝国、魔女王陛下直属麾下艦隊所属です。世界条約に基づいた交戦規定の遵守は徹底されております!」

「と、本人が言ってるように異界の悪魔だけどちゃんと使役されてるの。民間人への暴行は厳禁よ。そんな不埒者は軍法会議を待たずして即銃殺即消滅よ」


「たすけて、なんでもするから。悪魔のエサにはしないで、あんな、あんな死に方は」

「だいじょうぶ……わたし達は酷いことはしないからね。もう、イヤなことはする必要はないのよ……」


と言いつつここで抱き締める。震えた彼女に必要なのは温もりよ。わたしが抱くと感極まったのかせきを切ったように泣き始めるの。


……大概、悪党どもの後始末はこんな感じよ。やらかすだけやらかしてよ。被害者の事とか考えないからな……

そして落ち着いた女の子を部屋に居た二人の子と一緒にしてアフターケアを万全にしてから立ち去る。


我ながら完璧な仕事ぶりだよねー。正直、本当に心入れると辛いからね。お仕事です、って感じにしないとね。


「で、指揮官コマンド。状況は?」

「屋敷内は制圧完了。現在、他に仕掛けがないか入念に探索中です……要監視対象のアステリアと冒険者達は如何いかがいたしましょう? 内部に居た者は留め置いておりますが」


「ああ、忘れてたわ。何処どこに居る?」

「正面入口のエントランスです」


戦ってる最中に突入されたのね。デーモンどもも仕事が早いなぁ。

まぁ、慌てて来たんでしょうね。まさか妖魔呼び出されたり、霊脈で移動できるような仕掛けが街の中にされててそれに気付かないとか大失態でしょうからね。


「……魔神将ハーケルマイン閣下が到着居たしました。アイギス殿下に是非、謁見願いたいと……」

「釈明を聞いてやるよ、エントランスに来させろ」


……聖魔帝国は秘密裡に最新鋭戦艦グングニールをこの街に派遣してて防衛任務中なんだよ。で、ハーケルマインがその司令官なの。じゃあ、お話聞かせてもらおうかなぁ――お前の失態について。





そして3時間後――

やっと屋敷を調べ尽くして大体の情報が集まって来たの。

わたしは屋敷の主人の豪勢な仕事部屋に陣取ってその報告を念の為に呼んだ吸血妖精バーヴァンシーのフリュギアから拝聴していた。ちなみにフリュギアを呼んだのはデーモンどが証拠隠滅とかしないか見張らせる為よ。


「……この娼館に連れて来られた人間はどうやら国外、大陸の外の人間達のようです。特に多いのがバーヴァル諸島からですね」

「バーヴァル諸島……北のバーゼウ王国のこと?」


「と、思いますが……資料での確認ですから。北のバーゼウ王国はバーヴァル諸島系の国の一つですね。こちらの大陸、シルヴェスター公国と国境を接して居ます……他にバーヴァル諸島は二つほど国が有るとか」


そして同席して話を聞いてたシックスが意味深な目付き……というより心当たりが有りそう顔してた。


「……表情に出てんぞ、シックス。何か言うことは?」

「別に隠し立てしようって腹づもりじゃなくてな。ただ……バーゼウが奴隷貿易をしてるのは確かだが、あの国は自国民……島の他の国も含めてだが島民を国外輸出はしないと聞いたことがあってな」


「表向きは、って話じゃないの? 実際、バーゼウ、いやバーヴァル諸島系の奴隷ってたまに見掛けない? 数はそんなに多くないけど」

「つまり大体的にはやれないって事だろう。だが、実際にはやっている、それはヴェルスタムも同様だ。こっちはそもそも建前的には奴隷制がない事になっている」

「シルヴェスター公国や妖精連盟でもな。聖魔帝国から真っ先に奴隷禁止条約に署名させられたよ。特になにも考えずに署名したわ」


「そいつは悪い事じゃないな。だが、大体的に島民だと奴隷貿易ができないのにやっている、って事は当然その品を扱う組織があるよな。なのにオレは、そいつを取り扱かう裏の組織というのをバーゼウ側では聞いたことが無いな」


……厄介ごとが出て来てアイギスさん頭痛い。おウチ帰りたいの。裏稼業に精通したシックスが、だよ。きな臭いったら有りはしないぞぉ。

わたしはハーケルマインに視線を移したよ。

今回の件を全力で取り繕ろう為にやって来た聖魔帝国の魔神将を。


「やっと私の出番のようですな……」

「期待してなかったが絡繰りが解んの? おまえ、軍人だろハーケルマイン」

「はっはっは。現地の情報収集は基本ですぞ、アイギス殿下。任地での支障を来さぬ為、可能な限り常日頃から聞き耳を立てますとも」


「このやかたの転移魔法による出入りは気付けなかった癖によぉ」

「拙者最大の不覚で有りますれば、どうかお許しくだされ。まさか霊脈を都度、操作して繋げるのは想定外。流石さすがに想定の範囲を超えまするぞ」


まさか地下の霊脈のか細い一本を操作してこの街に繋げ、転移移動に使ってたとは思わなかったらしい。聖魔帝国自体、その方法で移動して来る想定はして無かったらしいのよ。


ハーケルマインめっ、だから、せいぜい怒られるくらいと高を括ってやがるからな。抜かりはあっても怠慢じゃないらしいからね。

叱責を受けるだけなら安い物。って態度がアリアリだもの。野郎、怒られ慣れて見切ってやがる。


「まぁ良いだろう。アスタロッテに文句を言うだけだ」

「お止めくだされ! せめて私の有益な情報提供を聞いてからにしてくださいませぬか」


「なら、勿体ぶらずに吐け。国ごと関わってたら迂闊に奴隷を返還することもできないんだから」

「……思いっきり国ぐるみですぞ」

「…………最悪の予想を当てて来んなよ」


一番近しい想定が真実だとかやめれ。

でも、その最短の推理が的を得てんの。バーゼウ王国が島民を国外輸出しないって、他の島国相手の体面のためなのよ。


元々奴隷貿易が主な産業の一つ。

他国に売る方が儲かるなら当然やるってね。国全体でクソだな、って言いたいけど奴隷自体がこの世界では結構普通だからその認識自体がないのかも……


「…………やっちまったな。バーゼウ王国は公国の隣国だぞ、コイツを問題にされると厄介事にしかならないのは子供でも解るな」

「返還を要求されると面倒になる……そういう事かアイギス?」


「返還しようにも奴隷禁止条約のおかげでできないし、二つ返事でする気もないな。シックス。わたしとおまえの仲だ。口止め料払うから心に閉まって置いてね。……で、ダットンは?」

「やっこさんの方が口が軽そうだからな……アステリアの嬢ちゃんと男を見繕ってるよ」

「あいつ、そっちか!?」


「いや、付き合いだろう。まぁ綺麗どころが多いからな、しかも異国情緒あふれてるとなると……」

半妖精ハーフリングなのに色気づきやがって」

「人間と妖精族とのあいの子種族らしいからな、そうおかしい事でもない……やって来たぞ」


すると人間の子供みたいなダットンがニコニコ笑顔でやって来んの、わたしと真逆でご機嫌だよぉ。


「いやぁ、もう眼の保養にしかならないね、アイギスさん。可愛い子しか居ないよぉ、男すら可愛いからオイラそっちに目覚めそうなんだけど」

「ネコババすんなよ。で、アステリアは? あいつもそっちに目覚めたか? アリーシャちゃんに連絡付けるんだけど」

「……お、オイラ! 手は出してないからな! 妙なこと吹き込まないでくれよ!」


「……よ〜し良い子だ。告げ口したら黙って置いてやる、でアステリアの様子は?」

「いや、可愛い男の子みても、う〜ん、って唸って考えるばかりで……じゃあ女の子は、って一緒に行っても、う〜ん、って。余り気乗りする様子じゃ無かったけど? オイラと違って人間の子供みたいなのは対象外なんじゃない?」


「つまり、おまえは対象と……」

「やめてくれよぉ! 相手子供だと解ってるから。半妖精ハーフリングの子も似たような感じじゃん」

半妖精ハーフリングの女の子は大人びてるのに男は馬鹿が多いからな。苦労するよね……」



半妖精ハーフリング女子に同情しつつ、この場はもうハーケルマインとフリュギアに任せて、わたしも女の子達の様子を見に行ったよ。


そろそろ、わたしもチヤホヤされたい。

他の娼館の制圧や、関係者の捕縛だとかの指揮を取ってたもの。幸い向こうからテロを仕掛けてくれたからね……名分が立った次いでに、街の夜のご職業の連中ごと一斉検挙よ。

機を逃さず手中に収めんの、盗賊ギルドの連中ともコレで話付けやすくなるしな。


「うわぁ、相変わらず強引にもほどがある方法……でも、アイギスさんのそこに痺れるぅ憧れるぅ」

「吹聴すんなよ、たまたま突っ込んだらお出迎えされたのは事実だけどよ」


そして屋敷の様子を覗きつつ、アステリアが居る場所に辿り着いた。3階の大部屋に女の子達と一緒に居たよ。


褐色肌のバーヴァル諸島系以外にも肌の白い子も居るね、聞き耳立てたらこの大陸で使われる言葉とはやっぱり違うんだよ。明らかに言語系統が違う感じ。

……実はアステリアもそうなんだけどアイツ〈統一言語〉って言語技能を駆使して喋ってるからな、難なく意思疎通できるって訳。


「で、アステリア。口説き終わった? お気に召す良い子居たの? ダットンから吟味に吟味を重ねてたって聞いたけど」

「真面目にアフターケアしてたんですよ。そういう仕事でしょう……。なに聞いてたんです、そこの半妖精の人から」


黒髪美人にジト目で睨まれてやんの、ダットン。

いやぁ、とか照れくさいって感じの反応してたわ。コイツも調子が良いことしか言わないからな。


「で、肌の白い子は何処の子よ? この大陸の子?」

「いえ……それが生まれは『聞かせづらいんで妖精言語以外で喋ってもらって良いですかね』」


『アステリア。こっちの言葉解るかも知れないけど喋れんの?』

『お互いに言語理解の能力があるなら別々の言葉喋っても意思疎通できるじゃないですか』


そりゃそうだわ。お互いの言語が自動翻訳されるようなものだもの。アイギスさん迂闊。



『で、お話伺いましょう、どんなクソな真実でも受け止めて見せるよ』

『言い方は悪いんですが……おそらく他にも牧場を営んでますよ。この娼館もそれが経営項目の一つのようなんですがね』


チラリと可愛い子揃いの女の子達を見るよ。お腹膨らんだ子も居るね……この世界、それなりの所だと魔法具だとか錬成術の品で避妊は容易にできるんだよ。この街の錬成術ギルドでも取り扱ってるしね。


……おっと、心の底からキレそうになる。努めて怒りを収めるよ、静まれマイ・ハート。アイギスさんの理性を全開に。


『…………余りのクソな真実に受け止めるのに時間が掛かっちまったよ。で、この会話を聞かれたくないのは?』

『本人らはこの事に気付いてませんからね。幾らなんでもイヤでしょうし……。薄々勘づいてる子も居るようですが』

『人間ってのはよ。このわたしを驚かせるくらいクソなことをするよね……だから男の子も居る訳だ』


普通は別けるらしいよ、間違いがあっちゃいけないから。ただ、そっちの用途もあって、そういうのも娯楽にしてたんだろう……

おっとわたしの怒りボルテージが怒髪天を付きそうだぜ。養殖とか許されねぇ、家畜扱いとはな。高が人間ごときがよぉ。



『もう少し抑えてくださいよ。荒事に疎いから女の子たちは気付いてませんが、半妖精さん及び腰ですよ』

『いや、コイツのは逃げ腰だよ。……で、この娼館はそっちの用途もあったと。お気に入りの子はお持ち帰りは当然として、この街にあったって事は他に交配とかさせてた訳?』


『まぁ、そうなりますかねぇ……こっちでも綺麗どころを集めてたらしいですし。……それにあるじが持ち寄って、というのも』

『あのクソ婆さんが雇われてた理由が解ったよ。お貴族だとかの金の掛かるクソな趣味嗜好かよ。最悪だな』


そしてこの娼館が今の今まで無事だった理由もな。霊脈による転移移動は普通の人間には利用できないのよ。ここの子たちを連れ出したくてもできなかったんだな、へたに動けば気付くのよ。聖魔帝国は物理的な 人の動きを監視する事には抜かりがないもの。


『……ちょっと男の人飼うのは考えものですかねぇ……。ここまでの物を見せ付けられると』

『さすがに削がれるだろうね。いや、そこは愛があれば。事情ある子は引き取ってくれても良いんだよ、ほら自分好みに育てるとか?』

『実はそれ、した事有るんですがね……』


苦いようななんとも言い難いって顔を黒髪の美人がするの。試したことはあるけど上手いことは行かなかったのかな。

そういえば男の子に関しては最初から乗り気じゃなかったからね……シャルさんはこの世とは隔絶してるから別口なんだろうけど。


『子供育てるのはその、向いてないんでお断りしますよ。ま、ここで沈んでても仕方ありませんよね、次行きましょう。……期待はしてません、が』

『探す気はあるんかい。まぁわたしもチヤホヤされる気は失せたからね。……しょうがないわね。じゃあ他のとこ行くか』



そして気分を払拭する為、後の事は他の面子めんつに任せて街に繰り出したよ。

事情を話しつつ他のギルドや神殿関係に探り入れる為にね。金融ギルドとか何か知ってそうだしよぉ。

ご挨拶は欠かせないのよ、軍隊出動する大事になってるしね。

そして街の男どもを物色しながらアステリアとその日は1日過ごしたの。


あれ、良く考えればこれデートじゃない?

いや、違うな。デートはもっとマジメにするものだった。それに途中からアイリやセレスティナさん合流したしね。

……男と付き合った事がないから、誰も良い男とはどんなのかが、解らないのよね。


みんな、根本的に男というものに対する理解と知見が欠如して居るという事を知る日になったのであった。





夕食後。居間で今日の事に付いての話になった。

ゴモリーが娼館の話を聞きたがるのよ。


「で、結局街のヤツら、あそこで何か不道徳なことをしてんな。という事は知ってても手出さなかったてよ。わたしの耳にも入れないんだから徹底してやがるの」

「わお、事なかれ主義ですね。漏らせば厄介事に巻き込まれそうってやつで。で、男探しは上手く行ったんですか?」

とゴモリーに聞かれんの。アスタロッテが台所に居るのに良く聞けるなおまえ。


「全滅だよぉ。アステリアが乗り気になりそうなの居ないって。てか、顔の好みも解らねえ……本当に男に興味あんのあの女」

「そこをアイギスさまが振り向かせれば。一度ハートを撃ち抜けばイチコロですよ」


ふむ……しかし手ごわい。女の子ならシルフィちゃん以外ほぼ勝手に堕ちて来たわたしにして見れば、アステリアはかなりの強敵よ。


「曲がりなりにも経験が違うからねぇ……ヴィリアさん。ノーマルの女の子を落す系の小説とかある?」

「ええ、有ります。……ただ、アステリアさまのように長年生きた方とは気長に接する方が良いかも知れません。……今の関係も素敵ですわ」


話しつつ白いエルフの女の子の瞳が別の世界に眼を向けるの。いつでも夢の世界にヴィリアさんは飛べるの。恐るべき想像力、常に夢見がちを普段からしてるからね、言葉通りの意味で。


そして洗い物を終えてアスタロッテが居間に戻りながら、いつもの澄ました顔に笑みを浮かべるの。


「フフフ。これは持久戦ですわよ……いつまで持つか見物みものですね。……家族と共に居る。それだけでも揺さぶれますよ」

「……なるほど、解る。なんて悪魔的計画なの」


一度、家族との暮らしを味わうともう戻れないのよ。独り身の孤独はそれを知らなければ天国かも知れないけど、真の愛ある家庭には敵わないの。


「籠絡計画は始まったばかり……むしろこの程度でをあげられては困りますわ。焦る必要はありませんよ」

「むしろ焦る必要はあるのはアステリアだよね。さて……どうなるやら」


どうするアステリア?

魔大公は教国の聖女をあらゆる手を使って落としに掛かってんの。このままだとヤバいぞぉ。







ヤバいですねぇ……結局、空振りに終わりました。


自室で心を落ち着かせ今日の出来事を今一度思い出してしましたが、まるで良い男と出会った記憶がありません。


冒険者ギルドの人達は元より街の人達でピンと来る人とか居ませんよ。紹介される男も、金融ギルドの金持ちだとか眼をギラつかせてる男の人ですから世俗に塗れ過ぎですよぉ。


聖女ではありませんがもう少し浮世離れした男の人が良いんですが?


白馬の王子さまを求めてる訳ではありませんが、もっと誠実で清廉な人とか居ませんかね。基本アイギスさん真逆を紹介して来るんですから。


まぁ、アイギスさんにすればそんな男居ないよ。って事になるんでしょうが……出会った事は有るんですが縁がありませんからねぇ……



「で、どうしよう。いや、どうするアステリア。そんな簡単に運命の出会いは訪れそうにないぞ。ここは他の手を考えるべき――」


まず、揺さぶられてるのは解りますからね。

心を強く持っても、隙を作れば付けいって来るでしょう、何か心の拠り所を作らなくては。


って思うんですが対処方がまるで思い描けない。

試しに付き合おうかと思いましたが、それはそれで誠実とはほど遠いですから。

恋愛を遊びにはしたくないんですよねぇ。


まぁ、考えても仕方ありませんね。少しばかり気晴らしに新たな魔法の構築式でも考えて寝ますか。

って時に隣の部屋から物音が。


ティアエルとレティアさんです……。


耳を閉じますよ。まず聞いてはいけません。

今まで好奇心に負け続けて居ましたからね。

それがいけないんですよね。


もう、ナニやってるかは大体理解しましたから……

寝よう。あの二人、いつもレティアさんが誘って最初は仲良くしながら雰囲気出して――ちくしょう、思い出しただけで切なさと嫉妬マックス!


なんであの二人、ここでわざわざするんですか。

まぁアイリちゃん居ますからね、って私の事は良いのか。おい!


そして今日も私は心の中のサンドバックを殴り続けますよ。

ちくしょう! ちくしょう! ちくしょう!

怒りの炎に身を投げ、今日も頑張って乗り切ります。頑張れわたし、負けるな。


私の境遇が、酷過ぎる。早く運命の人来てくださいよ。私もイチャイチャしたいんですよ!



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