第三十四話 妖精騎士アイギスさんと至尊の聖女にして魔女さまとの男漁りの冒険(3)
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毎年恒例の冒険者ギルド定例総会。
冒険者ギルド所属の冒険者たちによる意見交換、問題解決の為の集まり。
年一で冒険者ギルドの公正性を保つ為にやってる行事よ。参加資格は冒険者のベテラン、熟練級以上、かつ在籍二年目以上の者に限られるの。
一人前程度だとか駆け出しのひよこはお呼びじゃない真面目な会議よ。奴らは真面目以前に経験足りなくて道理が解らないからね。依って冒険者のプロフェッショナルかつ地元の冒険者たちのみ、ギルドの運営に口出しできる権利が与えられるの。
一応、民間組織、ってのが建前だからね。
実質はその街を運営する領主なりに職員の人事権を握られてたりして半官半民って感じなんでだけど、その"民"部分を象徴するのが今回の総会って訳よ。
「じゃ、挨拶も終わった所でさっそく代表を決めてくれ。この領も公国として独立したから一応は改めてって感じだな」
と、挨拶もそこそこに雑にいきなり話を切り出すギルドマスター。まだ、三十代後半で若いの。なのに、このシルヴェスター公国の冒険者ギルドの運営を任されてるって気負いが一切感じられないぞ。
「ギルマスぅ。もう少し威厳とか無い訳? ほら、言ってしまえばもうグランドマスターじゃん。もう少し形式整えたらどうよ?」
「身内に外面整えても仕方ねぇだろ……アイギス。第一おまえさんに言われてもしっくり来ないぞ。権威主義の塊みたいなおまえさんに」
「塊じゃなくてわたしこそが権威だ。世界最古の王の中の王、神々バトルロワイヤルを制した神々の頂点ぞ」
わたしは言い切る。この世界の歴史的にはそういう事になっている。そも、この世界で記される歴史の始まりが"私"かららしいからね。
最初の頃は血筋の設定で行く予定だったんだけど、杜妖精の連中にはバレバレなんで素直に生まれ代わりと云う事にしたからね。
そして憮然と言い放ったわたしにギルマスはその事には直接言及せず、間を開けて話を進めるの。
「…………まぁ、それは大昔の話だからな。一応はこの国、シルヴェスターは独立国――他のヤツらに言っとくとこのシルヴェスター公国の君主たるヴィリア姫殿下の婚約者にして、公国が参加してる妖精連盟という妖精族の共同体組織の代表がアイギス殿下だからな。お上のさらに上くらいの権威だ。ぶっちゃけ神さまらしいが気兼ねなく意見してくれ。できるならな?」
と、わたしの権威力を笠に着て、つべこべ言いそうになるヤツらの言論を封殺に掛かるギルマス。
やってる事がいつもと変わらないぞ。
でも下らんこと言って余計な時間取らせたら確かにわたしがキレるからね。
そもそも議題出して大人数で会議したらそれこそ収拾付かなくなるから、まずは代表を選ばせるのよ。
そしていつも通り腹に一物抱え捲った冒険者たちが自分たちの代表を決めるの。
というより大体はいつもと変わらない面子だった。
何人か新顔が推されてたようだけど……
「十人か……いつもより多いな。まぁ他の冒険者ギルドのヤツらも来てるしな。で? この人選で問題はないな? 後で文句言うなら代表に言えよ?」
「あれ? 十一じゃないの? アイギスさんは?」
「冒険者ギルド所属の冒険者との兼業で永久監査役の地位にお就きになって居てな。代表って枠じゃないな。実際、前からそんな立場だろ」
「クソなお前らの意見にノーを突きつける簡単なお仕事だよぉ。少しは建設的な提案をしろよ。毎回わたしの手を煩わせやがって……」
しかも今回は何かある、と代表どもの顔を見ればすぐに解るの。半数以上が企み顔なの。
この世知辛い渡世を恥知らずにも渡り歩いて、図太く生きて来たヤツらよ。
そいつらが自信有りげな厳つい微笑みを浮かべるさまは、このアイギスさんをして頭痛の種になる事請け合いよ。
じゃ面倒だけど仕事しますか。
ちなみに会議は偶にしか使わないギルド2階の会議部屋で行うよ。普段、職員以外立ち入り禁止の階段を登ってぞろぞろと一同そこへ向かう。
「いや、アステリア。おまえもだよ。なに突っ立ってんの?」
「え? 関係ないじゃないですか」
「なに言ってんの……目を離す訳ないじゃない? 立場忘れてない? 見張りも付けずに街ぶらつかせる筈ないでしょ、危険人物を」
「え〜。そんな会議なんて興味ないんですが……」
「ほら、部外者からの貴重な意見を聞くかも知れないでしょ。さっさと行くの」
「……へいへい。囚われの身は辛いなぁ」
そして教国からやって来たトンデモ聖女(魔女)を交えてのシルヴェスター冒険者ギルド総会の本番が始まった。
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「さて、冒険者ギルド同士だと別にやるんだが……今回からはヴェスタの街のギルドだけって訳じゃなくてな。このシルヴェスター公国在籍の冒険者で抱える問題の話し合いをするんだが……」
全員が席に着いてから、話を切り出したギルマスがわたしに目配せするの。いや、意味解らんが?
偶に良く解らん遣り取りしてる感じにすんのよねギルマス。仕方ないので解った振りして顔を軽く振ったわ。続けろって感じに。
「……じゃ、アイギスがキレない内に単刀直入にちゃっちゃっと話を進めるぞ」
そうだ、それで良い。わたしの手を煩らわせるなよ、と全力で威圧する感じをわたしも出したよ。
いつでもキレる準備の用意は整ってる、てな。
厳粛に、淡々と、粛々と問題があれば話あってさっさと終わらせろ、それのみがわたしの切なる望みだ。
そして最初のうちはわたしの願い通りに会議が進行するの。独立後の公国の冒険者ギルドのやり方だとかを簡潔に述べる感じでね。
で、現状、冒険者ギルドが認識してる問題点とその解決策、対応の仕方だとかをこれも簡潔に冒険者の代表の皆様方にギルマスがご説明。詳しくはお手元の資料で確かめてねって感じよ。
普段はそれで後は冒険者ギルドに一任して終わりなの。
問題提起するなら、この会議が始まるその前にギルマスに話通して置けよ、って事よ。
基本、この冒険者の定例総会って冒険者達から信任を得る儀式みたいなものなのよね。会議は始まる前から終わってんのよ……本来は。
が、案の定その秩序を乱す輩が現れやがったの。
しかもお前かよ、元犯罪組織の元締めバーゼル・スタンハイム。
「……なかなか上手くやってるようだが、少しばかり手が足りてねぇと思うんだがな、ギルマス?」
「そりゃ、万全に、とは行かないだろうよ。なにせ勝手やる連中の事への対処だろう? 騙りは始末するが、法の則りを弁えない連中に関してはお上の手を借りるしかねぇだろ?」
「まぁ、赤子の手も借りたいわな。今の状況では。ただ……そのお上も手を付けれん連中が最近入り込んでるのは解ってるのか?」
「どういう意味だ? 聖魔帝国関連ならそれこそお門違いだぞ。各国の工作員だとかは相手できないからな」
「いや、言い方が悪かったな。手を付けれんのはギルマス、おまえさんの認識不足が理由って意味だ。握り込んで居なけりゃの話だがな」
「……具体的に言ってくれ、バーゼルさんよ」
「つまり、だ。盗賊ギルドが昨今、仲間内で割れて勢力が落ちた。それもこのシルヴェスターじゃ悪事を一手に引き受けて居た連中が、だ。その空白を埋める為に他所の悪党どもがシノギを削ろうとするのも無理からぬことだ。と、オレは思うがな?」
「……有り得る話だが、何か兆候だとかがあるのかバーゼルさんよ」
「兆候もなにも悪党が入り込んで来るのは日常茶飯事だ。いつもはそれを盗賊ギルドが上手く差配してたが今年は思うままにはいかんだろうよ。早速、金になると踏んで何人か目端の利くのが彷徨ついてる居るな」
髭面を整え強面の表情を一切変えずに淡々と述べる、犯罪組織の元頭目。
そして元傭兵団団長バーゼル・スタンハイム。
話した内容は冒険者ギルドにしてみれば埒外の内容だよ。この国の治安維持までは冒険者たちの組織が深入りする事柄じゃない。
だと言うのに問題提起して来た、なら答えは一つだよね。ギルマスもわたしの顔色伺ってるよ。
「……一つ解らないのよね。それを差配して見せるって事だと思うけど懲りたんじゃねぇの、〈虎噛み〉のバーゼルさんよ。裏稼業も安泰にはほど遠いぞ? ギルドの看板が合っても殺られる時は殺られるよ、ね?」
「なに、それなりにチャンスと云う物が巡って来たんでな。ここはリスクを取ってリターンに賭けて見ようかとな。……オレも歳だ、そろそろ老後の事が心配になる。幸い今度は引退先で狙われなさそうな所も見つけれるだろうしな」
「引退先は聖魔帝国か? ……でもわたしのメリットは? 犯罪組織を別に拵えて裏を抑えようって事だろうけど、盗賊ギルド以外に私腹を肥やさせてわたしに何のメリットがある?」
「そうだな……裏の仕切りを盗賊ギルドだけに任せにせずに済むな。一つ所が力を持てばやりたい放題だ、ここの状況がまさにそうだったろう?」
確かにこのシルヴェスター地方じゃ盗賊ギルド以外に裏稼業の組織は居なかったの、独占状態よ。
なにせ地方のド辺境だからね。
地元に密着しないと他所ものが簡単に縄張り手に入れれる程、甘くは無いらしいのよ。
「……でも、群雄割拠してシノギの削り合いしてたベイグラム帝国でもロクなモンじゃなかったぞ」
「あそこはケツ持ちでまともなヤツらが居なさ過ぎる。戦場の方がマシなレベルだ。国全体が鉄火場だからな」
「まぁ、貴族がどいつもこいつもクソだからな。ヴェルスタム王国のヤツらと比べるのが間違いか」
汚い外道でもその汚さが違うんよ。腐臭の熟成度が一般人即死レベルで近づいた瞬間にアウトレベルの汚さなんよ。
ヴェルスタム王国はその、なんだ、幾ら酷くても一撃死は防げるくらいかな。
「ああ……それに比べればここは、まぁ、ぬるいな。盗賊ギルドが席巻するのも解るというもの、言ってしまえば一度押さえてしまえば安泰だな」
「で、抑えるなら今か。冒険者なら地元民とよろしくやれるしな」
「そうだ、流石にその筋の事も解っているな。他にメリットといえば盗賊ギルドは聖魔帝国の傘下だが、オレはおまえさんに付くって事だな。裏が聖魔帝国一辺倒というのも何かと都合が悪かろう?」
「まぁ悪くは無い提案ではあるよ?」
実際、このバーゼルは冒険者たちをある程度まとめて顔役やってるからね。それなりの組織を作れたんだから手腕は有るんでしょ。
理想を言えば警察組織とか公的なものの方が良いんだろうけど、とにかく国に金がないのよね。人を雇って給料を払う金がないの。
だから裏組織なりに治安維持をある程度任せるしか無いのが公国の現状なのよ。
それに、バーゼルはまとめた冒険者ども使って盗賊ギルドの眼を盗んで汚い金稼いでたりしてたからね。冒険者ギルドに迷惑掛けてないから見過ごしてたけど。
任せて良いかな、と思うんだけど不安要素があった。
「でもバーゼルよぉ。不良債権を売り渡されても困るんだけど? おまえが引退する頃までにはマトモな組織構造が出来てんだろうな?」
「おいおい、さすがにお前さんにケジメ付けさせられるのはオレも勘弁願いたいからな。でなけりゃこんな話をしないぞ。ま、乗るか反るか、そちら次第だな」
「まぁ、悪くはない提案だった、褒めてやろう。久々に良い話しを聴かせて貰った。……その件は愛しのヴィリア姫と相談して細部を詰める。……ただ、許可出しても黙認だぞ?」
片眉だけ上げ、嘆息するようにバーゼルが了承すんの。なんだその反応。このおっさん、わたし相手でもまるで物怖じしないんだよね。
大物には違いないんだけど……冷徹通り越して温情掛けたりするからね、何処ぞの暗黒騎士と良い、冷酷さが一周回ってる感あるな。
「さて……じゃ話も纏まった事だしな――」
とギルマスが会議を改めて先に進めようとする。
が、嫌な予感は当たるものでまた進行を妨害するヤツが現れた。
「おう、待ちな。バーゼルの旦那は良いとしてよ。他の連中がこの件黙って見過ごすかは別かも知れねぇんだがな?」
「それはそれ、コレはコレだろう。何より冒険者ギルド絡みの話じゃねぇだろ、今の」
「話自体はな。だが、バーゼルが良けりゃオレも、オレもとなるヤツが出てくるぜ。ここは言っても悪党どもの集まりだ、その時はどう落とし所を付けるんだ?」
って、阿呆が言い出したからわたしがギルマスの代わりに応対したわ。
「だからそのバーゼルが付けるんだよマヌケ。出遅れたな馬鹿め。有象無象にいちいち黙認を与えると思ったか、このクズども。この場でバーゼルが先に言い出した理由を考えろ、話通すだけならわたしに直接言えば良いだろ」
もちろんお前らのような馬鹿が出てくるからだよ。
バーゼルが頭キレるというより火を見るより明らかに今がチャンスなんだろうね。
このクズども、冒険者稼業以外に小銭稼ぎしやがるからな。
「なっ! それはねぇぜ! それじゃ全部旦那に差配されちまうじゃねぇか。バーゼルの旦那に仕切られる理屈はそれこそねぇ筈だろ」
このクソ生意気な反応に、冒険者の古参グランストンが重々しく発言するの。
「やめとけ若造。ここは冒険者ギルドの問題を扱う場で、明らかに筋違いの話だ」
「そうは行かねぇよ、グランストン。稼ぎ場がなくなればそれこそ不満に思う奴らは出てくる。折角、盗賊ギルドの連中の箍が緩んでチャンスだと思ってる連中がだ。バーゼルの旦那と言ってもそいつらを上手く抑えれる筈がねぇぞ」
そりゃバーゼルは冒険者の顔役の一人であって、全員から信任を受けてる訳じゃないからね。
ここの一癖も二癖もある冒険者の悪党どもを、いくらマフィアの親玉やってた経験が有るって言っても上手く抑えるのは、まぁ無理でしょ。人格に問題があるヤツしか居ねえからな。
仕方無いのでわたしが答えるの。冒険者の顔役連中でやらせても無駄に時間掛かりそうだから。
「お前らの根本的な間違いは、冒険者ギルドの看板掲げずに勝手にやる、って事ができないのが根底から間違ってるんだよ」
「そいつはバーゼルの旦那も同じじゃねぇのか? どのみち手下として使うのは冒険者だろう?」
「ああ、だからわたしに話を通してるんだよ。だが、おまえらは通らねぇ。いずれはそいつらは独立するって話だからな」
「そいつを冒険者ギルドの看板掲げてやろうってのが筋違いじゃねえのか。騒ぐ奴らが居るって、オレは言いたいんだがな」
「逆に考えろ、間抜け。本来はお前らのシノギに関係ない他の冒険者がそれこそ黙ってねぇ話なんだよ。本業と関係ないことしてんだからな。元々の領分違いをお目溢しして貰ってる自覚がねぇからそんな事になんだよ。――で、誰だよ。この馬鹿を代表にしたヤツらは。グランストン?」
「あ〜。想像通りだと思うがバストンだとか、ジェハンだとか。裏通りの小銭稼ぎで凌いでるヤツらだ」
案の定、大して本業に身入れてない連中で、片足だけギルドに突っ込んでる野郎ばっかりだもの。
そりゃ聞く耳持たないでしょ。そいつらにした所でわたしに目付けられるのイヤでこの場に来てないんだからさぁ。
「話にならねぇ。文句あるなら皆殺しにしても問題ねぇよ、そいつら。以上だ、騒ぐ奴らは始末する。――バーゼル、後はお前が話を付けとけ、次だ」
一件落着だな。こんな馬鹿を代表に送り込んでる時点で知れてんだよね、いざとなったら知らぬ存ぜぬで通そうってな。ワンチャン行けるかも、って思ってるのが連中がクズの証明だよぉ。いちいち付き合い切れるか。
そしてここからが本題なんよ。ニヤニヤとわたしと間抜けとの遣り取りを愉しんでたヤツらが厄介ごとを持ち出してくんのが。
さっきの間抜けより巧妙よ。
娼館の利権だとか、それまで盗賊ギルドやその手下がケツ持ちしてみかじめ料取られてた商人だとかの話を持ち出して来んのよ。
今までは連中の領分って事で手出せなかったけど、そのまま"裏"に任せておいて良いんですか? ってね。
そして、いっそここは冒険者ギルドで保護してあけだら? 是非お任せください上手いことやります、ってしたり顔で提案して来んの。
ちゃんと冒険者ギルドの領分のグレーゾーン狙ったギリギリの線を狙って来るんだから卒がない連中だよ。盗賊ギルドが弱体化してるのも計算に入れた完璧な提案だよぉ。
「……ギルマスよぉ。年々こいつら巧緻って言うの、やり方が狡賢くなって来てんだけどよぉ……。で、擦り合わせ出来るの?」
「頭が痛ぇよ。裏との折衝なんざそれこそギルマスの領分じゃねぇだろ……」
「な〜に。それも任せてくだされば良い感じにしてみせるぜぇ」
「アリーシャちゃんみたいな事を言うな。失敗したらこっちに押し付ける気だろぉ?」
「むしろ、こういうのは小突いてからが本番よ。そして、なぁなぁにするのが丁度良い塩梅。何事も挑戦、それがオレたち冒険者の流儀よ」
「上手いこと言ったつもりかよ。バーゼルと同じで引退後を見据えやがって……まぁ良い。天下り先として考慮してやろう。当然その分、貴様らの働きに期待する、問題はないな?」
「モチロン。甘い汁を啜らせてくれる限り忠誠すら誓いますぜぇ」
「それを忠誠とか言わねぇよ……。だが、まあ良い。そっちのケツはわたしが持ってやる。他には有るか?」
「……そうだな。コイツはオレが口出しするのもアレなんだが……」
と元暗殺者のシックスが珍しく意見すんの。冒険者の中でもギルドの運営には普段とやかく言わない連中の代表なんだけどね。
「なんだ言ってみ。グダ付いたからな、疑問を挟むのはこのアイギスさんのご機嫌を斜めにする事じゃない」
「……娼館だとかに手を出すってなら早めに出した方が良いんじゃないかとな。特にこの街の娼館は利権関係が込み入っててな。冒険者ギルドの方針が漏れたら綺麗どころの嬢ちゃんらがどうなるか解らないぞ? それこそ稼ぎ頭を黙って差し出す馬鹿は居ないだろうからな」
「なるほど……そいつは良い事を聞いたな」
もうここで話合ってる時点で既にそういう計画があるとは漏れてると考えた方が良いからな。こいつらに箝口令を強いてももう遅い。
「善は急げだな。ここの悪党どもはマッハで仕事して来る。よってこちらも極超音速で対応だ。仕事ができたな野郎ども。ギルマス、こっちに都合が良い理由をでっち上げろ。――アステリア、仕事ができたよー」
今まで黙って聞いてた聖女がなんとも言えない顔するのね。まあ、そういうとこに踏み込むんだからさぁ。別にセクハラじゃないから。
「遠慮したいんですがねぇ……私が居なくても問題ないですよね、それ」
「なに言ってんの、女の子が必要な繊細な仕事じゃん。濡れ場に踏み込むのに野郎どもに任せて置けないでしょ。しかも、確かここの娼館って男も居るよね?」
「ああ、男娼な。男でも女でもってヤツらが居るぞ」
「ほら、アステリア。テンション上げろよぉ。良い男が待ってんぞぉ」
「いや、別に好きではないですよ。そんなの」
「なに言ってんの! ホモが嫌いな女子が居ない筈がないじゃない! それでも本当にノーマルか」
「全女子に謝れ! 謂れなき不当なレッテル貼りが過ぎる」
普通の女の子ならテンション上がるよぉ。わたしは女の子同士が好きな女子だけどね。
そして早急に、可及的速やかに嬢と男たちを救うべく、冒険者ギルドからオールスターズがまず最初の獲物とすべき娼館のある区画に昼前には突入したのだった。
モチロン、テンション爆上げしてねー。
これ程この街の冒険者どもで息を合わせた行動見た事無かったわ。おまえら下半身に正直過ぎだろぉ。




