第三十二話 妖精騎士アイギスさんとアウレリア王国での決着を付ける者たち(5)
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――後日。
カンカンカン、と大工仕事の音が鳴り響くアイギスさんのお家。
その自宅の居間でわたしはジェラルダインを迎え、地下遺跡探索から始まったアウレリア王国での騒動の一件、その事後の顛末についての報告を受けていた。
「……結局、教国の黒幕はお咎め無しって訳? 気に入らないな。あれだけの事を仕出かしてよ」
報告の最後の部分がよろしくない。その一点だけでわたしは不機嫌……ブチ切れよ。いつもの鉄面皮の暗黒騎士の顔を睨みつけたわ。
「裏で色々と画策したのがこのファルマー・ディズ・デイモンという男だが、発端まではこいつの責任では無いからな。……首の皮1枚で繋がったようだな」
「その繋ぎ方に魔女王さまが絡んでる気がしてならないんだけど?」
「些細な手助けだけだ、手を組むという程ではないな。……何せヤツが居なくなってしまうと聖魔帝国にしても困る。教国の裏側を仕切って話を通せる男だからな」
「その口振りだと見知ってるような感じだけど?」
「会って来たからな、直接。……権力を握るためなら何でもやるがその権力を国家の繁栄と存続の為に利用する典型的な為政者。逆にああいったタイプは珍しい。大概は国を傾ける思想に耽ったり、驕るものだがそういった余分なものがない」
ジェラルダインが人を褒めるから余計に腹立つな。
つまりそれってストイックに目的の為なら何でもやる悪党という事でしょ、一番たち悪いヤツじゃない。
「お国の為なら何でも免罪符にはならねぇぞ。やって良い事と悪いことがある」
「赤の他人に取ってはな。だが関係者にしてみればそうではない。罪なきもののみ罪人に石を投げろ、だったか。教国の連中も大なり小なりヤツの恩恵に預かって来たからな、自分達で裁くこともできんのさ。……ヤツを裁くと教国の悪事が白日の元に晒されかねん。コレでは裁く方もためらうだろうな」
ジェラルダインがその顔に微笑を浮かべるのよ。
……どれだけこいつに気に入られた悪党なのよ。この暗黒騎士、善悪なんて歯牙にも掛けないからな。
「……好みの男のタイプが悪すぎない、ジェラルダイン? 籠絡されたんじゃないでしょうね」
「考え方に違いが多々有るが、やり方という点ではヤツは評価できる男だ。……好みかどうか聞かれてると少し迷うがな、少々頑固過ぎるのが――歳を食ってるからかも知れないが」
いや、そうじゃない。皮肉で言ってんのに真面目に返しやがるの。まぁ、相手が爺さんらしいし、色恋沙汰なんぞジェラルダインには別宇宙の話だからそういう考えなんて思い浮かばないんでしょうけど。
「天使王聖下も魔女王陛下から御注進されて手を引かざるを得なかった。ヤツに付いては手出し無用だぞ、アイギス」
「もう少し納得させる理由を話せや。それで、はい、そうですか。にはならないでしょわたしが」
ジェラルダインが困ったヤツだと言う感じでシルフィちゃんが淹れてくれたお茶を飲む。
そして、まず今回の事件の発端となった人体実験の話から説明し始めるの。
最初に事を起こしていたのは暗黒神殿だったのよ。
で、こいつらは相変わらず悪魔を呼ぶための生贄だとか、不老不死を求める阿呆どもから金を巻き上げるとか、若しくは魔法技術を開発する為だとかの理由で人の生命を弄ぶ外道行為を、この地域だけじゃなく世界中でやってるの。
で、その研究にロクス教国が直接関わるようになったのが今から半世紀前の頃からだった。
「つまり、元々は暗黒神殿のいつもの仕事だな。別に珍しい話でもなくてな。そこにロクス教国が関与するようになったのは連中が五十年程前からこの大陸への進出を図ったからだ」
バレたくなければ何もこの地でわざわざ人体実験に勤しむ理由もない。それこそ未開の地の原始的な部族も他に居るからそいつらを使えば良いだけ。
だから、人体実験次いでにこの大陸に手を伸ばすのがそもそもの目的だったのよ。
「……つまり、教国自体がクソだったのか」
「デイモンはその頃に魔法省内での権力を掌握し、のし上がって来た男だな。ヤツも教国の陰謀に加担したが、何せ当時は暗黒神殿のあの魔教皇が存命中だ。ヤツと遣り合うにもそれなりのヤツで無ければ出し抜かれかねん」
「その魔教皇というクソオブクソに対処できる悪党が教国の黒幕だったってことか」
「解りやすく言うならテロリストの親玉・魔教皇に教国の裏組織の頭目がデイモン。当時の教国の方針で密かに手を組まされたのさ。が、魔教皇が居なくなったのは良いもののデイモンにして見れば今度は聖魔帝国なぞが出てくる。老境とはいえ簡単には引退できない立場になるな?」
「組織を畳めや。そいつに良心ってものがあるならよ。なんの為の権力だ」
「デイモンはそれなりに魔術師としての腕前は有るが只の人間だ。できる事にも限度は有る……権力者と呼ばれていても実際にできる事は欲の皮をつっ張った奴らを良いように操れるだけで、必ずしもどうこうできる訳では無いからな。既に組み上げてしまった利権構造をどうにもできんのさ。最初に冒険者ギルドにちょっかい出してた件、デイモンは預かり知らぬ事だったぞ」
どんな組織でも大きくなれば頭の奴らが下っ端のやる事、全部を把握できないからね。
……裏組織になると最後の生命乞いで本当に知らなかった、なんてこと結構あるよ? (実体験)
「……で、わたしがそいつを少しでもお目溢ししてやろうという理由は?」
「今回の関係者に付いては綺麗にケジメを着けさせた、後腐れなくな。ヤツにして見れば魔大公の謀り事に敢えて乗る形で切り捨てたのさ。意図的にやらねばこう上手くは如何な」
「自分の生命惜しさじゃないでしょうね」
「だったら、もう少し遣りようがあるだろうな。その点だけは私も腑に落ちなかったが……まぁ歳だ。老境に臨んで先が見えている、あの様子では未練はない……そんな様子だったな」
そしてジェラルダインがお茶を……飲んでからシルフィちゃんに空になったカップにまた淹れてもらってた。
わたしも飲んだよ。ちょっと渋めの緑茶を。
「とんでもねぇ……爺だな。それで、もう少し生かしてやろうってか、利用できるから」
「むしろ、ヤツの後釜が見つかるまで生きて居て欲しい、まである。御老体には申し訳ないが引退は当面先にしてもらいたい。教国の連中もヤツ以外は頼りなくてな、眼の前の利益に飛び付く俗人に綺麗事ばかり目に入れ理想を騙る連中ばかり……まぁ、そう云う次第でな」
「艦隊戦までやろう、なんて考えるバカばかりか。……ちっ」
思わず舌打ちまでしちゃったよ。
その黒幕連中が企んだにせよ、それに乗ったのが教国の奴らよ。程度、ってのが知れるよね。
まだそいつらを操ってたド悪党が居る方がマシだってのがやる瀬無いわ。
「ではご理解頂けたな? ……ああ、そう言えば御老体から連絡先を渡されて居た。何か教国関連でことが起こった場合のな。いちいち大事にされては堪らんらしい」
と、テーブルにメモをスッと置くのジェラルダインが、抜け抜けと。
「そいつよぉ。艦隊出して来るわ、獣精王を焚き付けるわ、で良くわたしに連絡先送るとかやるよなぁ……?」
「それが、外交だとか政治の世界。むしろ清々しい程だな。……国家、組織の指導者ともなればそれくらいは割り切れ……とあの老人なら言いそうだな。私も同感だ」
「……性格が良すぎる、いや悪すぎる爺だな。偶に居るわ、ここまで来ると相当だけどね」
若い頃に悪いことしてよぉ、でもまだ現役の爺が居るんだよ偶に。このヴェスタの街だと金融ギルドのおっさんとか?
人生酸いも甘いも噛み分けてんの。
老い先短いから後腐れもない、無敵の連中だよぉ。
「……その爺、やりたいことやってるから後悔とか罪悪感なくてめっちゃ元気な感じ?」
「……。まぁ、確かにそんな態度だったな」
「……駄目だな、そいつらは殺られるのが当たり前だとさえ思ってる。生き方に迷いがねぇ……死に方もよ。……言っとけ、悪事は控えて後生大事にしろってな」
「余計な世話、とは言わんがあの老人なら思いそうだな。……伝えて置こう。詳しいことはそこの報告書に。――では、私はこれで御暇させてもらおう」
ジェラルダインが席を立つ。
これでアウレリア王国の話はおしまい。
人体実験場も聖魔帝国の特殊部隊が襲撃を掛けるだけかけて救出劇も完了済み。悪党どもも地獄に逝ったか洗脳済みだね。
後始末も順調に進む、と。
「――で、事の発端の暗黒神殿の残党どもは?」
「この二千年生き残ってる連中を簡単には始末できまい。ヤツらの掃除は常日頃の日常業務だな」
「……害虫みたいにしぶといからな。オーケー、ご苦労さん。って言いたいんだけど、ジェラルダイン、他に何かわたしに言うことは?」
帰ろうとするジェラルダインに他に言うことあるよな? って思うの。アウレリア王国の件終わってから顔合わせるの今日が初めてでね。
なんかわたしの身の回りが忙しない事になってんのよ。狭くなった我が家の増築工事以外にも、ね。
が、当の本人は視線を斜め上に一瞬向けてから頭を軽く傾げるの。
「いや、思いあたる節がない……が?」
「小高い丘に教会建設してスラム街にもどデカい大聖堂建ててるでしょ。後アステリアがどうして我が家預かりよ。ジェラルダインに聞けってアスタロッテが」
「教国の聖女殿は妖精連盟預かり、私の関知外だ。……教会と大聖堂は天使王預かり……アリーシャ案件だぞ」
「え、本当に来年やるの、式? 急ピッチで進んでるらしいけど」
「予定ではそうなってるな。来年の春先にな」
「全員?」
「ああ、恋人が増えてるが問題は有るまい……?」
「問題大有りだよぉ。わたしに話通してないから……もう街中広まってるじゃない。ご結婚おめでとうございますムードに早くもご近所さんや街中がなってんのよ。いきなり工事始まるから隠しきれないしさぁ」
「アイギス……問題点が理解できないぞ」
「心の準備あるじゃない。そういう事は細かく報告してよ、居るんだよ心の準備期間が、わたしには」
泣き言いうわたしに優しくしてよ。
わっかんないかなぁこの不安感が。
絶対、皆から御夫婦という関係性のヴァージョンアップを求めれられてるんだけど。
人生経験たったの9年のわたしにだよ?
後、1年で全員と。
そりゃ不安に苛まれるじゃない。わたし、アイギス、ちょっと前まで普通の女の子気分だったの。
関係性深めるにも人数多いし。
シルフィちゃんにセレスティナさんにヴィリアさんにアスタロッテにティアエルにレティアさんと6人もよ。ゴモリーも居たわ……7人?
全員を満足させないといけないという強迫観念がマジメなわたしの心に追い込みをかけるのよ。
ジェラルダインがシルフィちゃんと困った風に顔を見合わせるの。早すぎるかな、って最近シルフィちゃんも解ってくれてるのよね。
アイリの事もちゃんと話したし。
「……あの、ジェラルダインさん。わたしもそれほど急がなくて良いかなぁ……って、思ってはいるんですが……」
「……そうも行かなくてな。聖魔帝国本国でも結婚後の歓迎式典の準備が始まってる……止める訳にも行かなくてな」
「やっぱり予定を止めれないんかい! 予定は予定であって本決まりじゃないって連絡来るまで思うでしょ、普通は!」
「……完全にこちらのミスだな。アリーシャには大体でも良いから伝えて置くようには言い含めたのだかな」
「幼女に頼んでミスらない訳ないでしょ。もう少し予定を遅らせられない訳?」
「多少は後に伸ばせるが春先の予定は変えれん、その予定で動いてるからな。こう機会損失だとか費用だとかの問題もな……各国の調整だとかもある。それに大部分は聖魔帝国の負担だぞ?」
「商業主義が憎い。この街でもそれで盛り上がってんの、解るの。人の気も知らないで……」
でも、ジェラルダインがシルフィちゃんを気遣うの。
「――申し訳ないが王族の結婚だと思って諦めてもらうしかないな。苦労を掛けると思うが、相談であればアスタロッテやフルレティにな」
「は、はい。すみませんジェラルダインさん」
「責めてわたしに言え、ジェラルダイン」
「……アイギス。別に営みを急ぐ必要もあるまい、周囲に急き立てられるのは解るが、自分のペースを保て」
「おまえが一番急き立ててんだよ! ジェラルダイン! ミス多すぎだし相談してたじゃん」
こう、それとなく、何とかして、時間ちょうだいって、可愛くブリっこして懇願してたろ。
「……なに、結婚してからが本番と聞くぞ。既にその前の準備はしてるのだから通過点と思え。……何より増やしてから言われるのではな……。――」
「…………」
卑怯よ、ジェラルダイン。シルフィちゃんと一緒に問い詰めるようにわたしを見るのは。
なんで女の子連れて来るの、って暗黙裡に一緒に問い詰めないで。
「ゴモリーが押しかけたのはジェラルダインのせいでしょう……」
「アイツはアスタロッテの小間使いに、と言った筈だが……」
「駄目です。ジェラルダインさん……もう本人が」
「ん、呼びました? あ、アイギスさまぁ」
って、ゴモリーが唐突に台所の勝手口から姿を現して、腰まで伸ばした赤毛に黒い尻尾揺らしてわたしに抱き着いて来たわ。
「……近いよゴモリー」
「何言ってるんですか、いつもの距離感じゃないですか」
「爆速で距離感がゼロに……ジェラルダインが居る前なのに」
「ジェラルダインさま……私、運命を信じますね。一生アイギスさまに付いて行きます」
「おまえも良く私に言えるな……まぁ構わんが」
ゴモリーはさ……
愛を求める悪魔なんよ。最初のうちは普通に触れ合ってたの、でも音速の早さでスキンシップがお肌の触れ合いレベルに。
ある意味、悪魔だったわ。
で、セレスティナさんも張り合って取り敢えず挨拶がてらに抱き着く文化がアイギスさん家に爆誕した。
シルフィちゃんとレティアさんは流石に恥ずかしいのか毎回そこまでしないけどね。
むしろ、二人はわたしがする方。
「しかしゴモリーか……おまえは結婚式の予定には入ってないんだがな」
「そこは都合の良い女で構わないんですけどね。悪魔ですし……それに、アスタロッテさまには張り合え無いっす」
「正直……それもどうなんだろうって思うのよね……」
「アイギスさまぁ優しい……惚れました。めちゃくちゃにして下さい」
しかも、とんでもない事言われるし。
常に愛を囁かれのよ。そりゃ急かされるわ。
そしてその姿を台所の勝手口からやって来て、金槌持って居間のわたし達を距離感保って注視する視線に気づいた。
「そろそろお昼休憩……なので戻って来たんですがね……釈放はまだですか。そこの暗黒騎士の人」
「……申し訳ないが年内一杯は教国との交渉に時間掛かるだろうからな。それまでアイギスらの面倒を見ててもらいたいな、アステリア殿」
「せめて貴賓として接遇して下さいよぉ。労働力として徴用されまくりじゃないですか」
「捕虜ですからねぇ……」
ってセレスティナさんも勝手口から姿を見せるの。
そのままアステリアの前を通ってシルフィちゃんに背後からハグ。ごく自然になんの衒いもなくよ。
「セレスティナさん……ジェラルダインさんがその居ますから」
「アイギスさんが取られてますから、仕方ないじゃないですか、シルフィ……」
セレスティナさんはモロに雰囲気を出してシルフィちゃんに囁くの、羞恥心を投げ捨てて。
アステリアがその光景に頬を引き攣らせる。
「……労働環境はともかく受け入れ先の家庭環境が眼に余りまくるんですよ、見ての通り。この愛の巣に放り込まれて、毎度、精神的苦痛を与えられてるんですけど?」
「文化の違い程度で精神的苦痛も有るまい、現に私がこの程度では精神的な負担を感じないが」
「聖魔帝国ならそうかも知れませんが、文化と言うなら、教国の文化価値観に合わせて下さいよ。女性同士は、まぁなくはありませんけどね。……ハーレムはないんですよハーレムは。もう少しお固い貞操観念ですから教国は」
「それについては良いざまだよぉ。独り身の悲しさを存分に味わえい」
「娘さんともヤバい事になりそうな貴女に言われたくありませんけどね!」
「なんで知ってんの!? 家の家族の超極秘機密を!」
「言われんでも解りますって! 女猫妖精ってそういう種族ですしその祖神の娘ですし、何より雰囲気が! てか、その種族を手ずから創造したって超有名ですよ!」
「アイリに言ったら絶対ブッ殺す! 気づいたらどうすんの、生かして帰さねえぞ!」
「せめて別居させて下さいよ! 墓まで持って行ってあげますからその秘密」
「では、私はこの辺りでな。シルフィ嬢……アイギスと家のことを頼む」
「ジェラルダイン! どさくさに紛れて帰ろうとするな」
とか慌ただしく遣り合ってるとアイリが家の玄関から焦った顔して帰って来るの。
「お母さん! ケルヌンノスが井戸に落っこちて嵌って出られないの!」
「あの駄熊! またやらかしやがったな!」
「大人しくしてるように言ったけどちょっと井戸を壊しちゃった。重くてロープ切れちゃたし、どうしよう」
「公共の井戸でしょ、大迷惑過ぎる。すぐ行く。アステリアも付いて来い、あいつ馬鹿重いから人手必要なの」
「私が力持ち的な扱いやめてくれませんかね!?」
そしてダッシュで玄関向かったわ。
井戸なんて壊されたらそれこそ修理すんの大変だもの。魔法あるじゃんとか思うかも知れないけど、〈修復〉の魔法は人工物は直せても、自然物は直せないの。
で、みんなで家出る瞬間に、残ったシルフィちゃんがジェラルダインを引き留めてた。ナイスシルフィちゃん。
「あの……ジェラルダインさん。ちょっと相談が……お昼用意しますから」
「……私に力になれる事柄かな」
「アスタロッテさんがですねぇ……」
多分、ジェラルダインじゃ無理なヤツだ。
ヴィリアさんと組んでさらに私の家庭環境が染まってんの、シルフィちゃんもたじたじになってるからその件だよね。
そして、聞いてられないので他のみんな連れて公共井戸にダッシュした……
冒険から丁度二人して帰って来てたティアエルとレティアさんで対応してたけど、あの駄熊、きっちり嵌って井戸から出られないの。
魔法とか全部、無効化しやがるしよ。
井戸ぶっ壊して結局引き上げたわ。しかもめっちゃ重いの。
家帰ったらジェラルダインは居ないし……
もうアウレリア王国の騒動は片付いたけど、家族が増えたから余計に大変になったよ。
特にこの駄熊、前の私の時もやらかしてバーギアンに預けられっぱなしだったらしいし。
おかげで眷属の部下どもも、前の私のこと何も知らないらしいしの、役に立たねぇ……
でも、可哀想だから追い出す事はしないよ。それで失敗してる気もするからね。
それに結果、あの騒動で恋人が二人出来てアイリの恋心が知れて、まあオーライよ。
シャルさんの故郷の森も元に戻ったしね。
なんだかんだ冒険はできたんじゃない?
雨降って地固まるよ。
そろそろシルヴェスターも雨季の季節だしね。……余り降らない土地柄だけどね。
そして、アイギスさんのいつもの日常は賑やかに紡がれていくのでした。もう、恋に愛に子育てとか忙しいったら有りはしない、いつもの日々を、ね。




