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冬が来たから  作者: 孑孑(ぼうふら)
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第4話〜鮮やかなフルーツサンド

凍てつく寒さが残る冬の野上庭園。少しずつ言葉を交わすようになった冬子と秋弘の、温かい午後の一幕です。

半分に分け合うフルーツサンドの甘い香りが、二人の距離をそっと縮めていきます。穏やかな二人の空気感をお楽しみください。

母屋の台所から戻った冬子の手には、お気に入りの藍染めの小皿が二つと、小さなナイフが握られていた。

「お待たせしました。さあ、切り分けましょう」

冬子は慣れた手つきで、透明なフィルムごとフルーツサンドにナイフを入れた。きれいに二つに分かれた断面から、いちごの甘酸っぱい香りがふわりと冬の澄んだ空気に溶け出す。

「本当に、半分もらってもいいんですか」

秋弘は申し訳なさそうにしながらも、差し出された皿を両手で丁寧に受け取った。

「もちろんです。こうして誰かと美味しいものを分かち合う時間が、一番贅沢だと思うんです」

冬子が一口頬張ると、上品な甘さの生クリームと、じゅわっと溢れる果汁が口いっぱいに広がった。

「美味しい……! クリームが軽くて、果物の味が引き立ちますね」

「よかった。実はその店、朝から並ばないと買えないらしくて……喜んでもらえて、並んだ甲斐がありました」

そう言って、秋弘は照れくさそうに口元を綻ばせた。彼の大きな手には、半分になったフルーツサンドが少し小さく見えたが、それを愛おしそうに口に運ぶ姿は、凍てつく庭の片隅を確かに温めていた。

「秋弘さん、またいつでもお茶を飲みに寄ってくださいね」

「はい。次はもっと美味いもの、探しておきます」

夕暮れの野上庭園に、小さな笑い声が重なる。二人の距離は、甘い春の香りを残したまま、少しずつ、けれど確実に縮まっていた。

お読みいただきありがとうございました。

第4話は、冬子と秋弘の「半分こ」の温かいひとときを描きました。凍てつく寒さの中で食べる甘いフルーツサンドは、きっと格別の味だったはずです。

少しずつ、けれど確かに縮まっていく二人の距離を、一緒に見守っていただけたら嬉しいです。

次回もどうぞお楽しみに!

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