51話 久しぶりの共同クエスト⑤
ここは深呼吸をして相手の隙を見る。やばい。視線が外れない。
「あの石巨人さん。別に山を登ろうとしている訳では無いんです。どうか見逃していただけないだろうか?」
プシューと息を吐く音が聞こえてから数秒、
「オマエワルイヤツデハナイノカ」
疑いをかけられていたのか通りで、話を聞くまでもなく襲ってきたわけだ。
「なぁ。私たちはこの辺で狩りをしにきただけだってーの。しけたツラしてないでささっと消えてくんない」
「おいリスト!相手を怒らせてどうすんだ」
リストは、首を気だるそうに回し、
「二斗やん、だってはやくしないと狩り終わららないし」
「まぁ言おうとしていることはわかるが......」
セリナは石巨人の目の前に出て行く。
「私たちはあなたに危害を加える気はないわ。だからあなたも大人しくしていてくれるかしら」
長い沈黙が流れる。風は吹き、涼しさを感じ始める。
「オウジョサマ。コレハコレハゴユウジンガタニタイシブレイナオコナイヲシタコト、オワビモウシアゲル」
石巨人は、足を曲げてその場にしゃがみ込んだ。
と同時に風圧が押し寄せてきて、大地が揺れる。
凄い風と地震並みの揺れ具合これで頭をつけて土下座をするんじゃなかろうな。
「わ、わかってもらえればいいんだよ。それじゃ俺たちはこれで失礼させてもらう」
颯爽に切り上げると俺達は今いる場所から少し離れた。
◆
「ふぅー。なんとか終えたな」
背筋を伸ばすセリナ。
「少しは役に立てたわね」
「ああ。5体くらいは討伐したんじゃないか」
俺の木剣もヒビが入っており、相当使い込んだみたいだ。
「二斗やん、セリナ。帰ろう」
リストは小さくつぶやいて、俺達のクエストは幕を閉じた。




