第二十七話【逝見心負】
「やっと、戦ってくれるんだね。」
よかったこれで、水戸川ちゃんが尾上君が青鈴君が殺されることは無い、これで物語がちゃんと進んでくれる。
心置きはあるけれどこれで死んでもいい、これで後は小野上誓也を運命変動機関という人の全てを変えてしまうようなそんなヤツを倒してくれさえすれば――
『容赦はしねぇからな…逝見ィ…!』
「青鈴、俺も加勢する。」
「アハハ、いいよ、二人まとめて無様に負けにきなよ。」
一階――
「よォ狐女ァ久しぶりだなぁ。」
「そうね…。」
「なんだァ?コイツを殺したことにキレちゃってんのかぁ?」
狐女はその言葉に反応したみてーで九本ある尻尾の一つで俺の方を攻撃してきた。
「威勢がいいなぁオイ…そんなに殺されてーか。」
俺は飛ばされたバットを取りにバットの落ちている方へ話しながら歩いて行った。
「はァ…喋ってくれねーとこっちもわかんねェなーっと!」
俺はバットを能力『鉄操作』で巨大化させ振り回した。
狐女はその攻撃を尻尾で受け止めていた。
「……。」
「つまんねぇなぁ…。」
俺はナイフを刺す動作と飛び掛かる動作を同時にした狐女にだ。
だが、よけられた。
「チッ…外したか…まぁ、いいどのみちどうあがいても殺してやるからよぉ…。」
正直なところ俺がこのお嬢様を殺さなければ、コイツとは戦う理由はなかった。
そして能力的に勝ち目は俺にあるのだが、これでも少しは良心はある瀕死程度にするつもりだ。
このお嬢様を殺したのは逝見の命令だ、どうやらアイツの思い描くシナリオにはこの行為が必要らしい。
だけども、逝見と俺の目的は運命変動機関の長、小野上誓也を殺すことだ、この行為が必要には思えない、そう戦う前からこの行為を作戦を実行する前から思っていた。
逝見は今回の始まり、キスゲームが始まったころから尾上、それと青鈴をなんとしても仲間にすると言っていた。
尾上の件は正確を元に戻してから仲間にしたかったのだろう。
というか、この二人を仲間にしなければ小野上と戦ったときの勝率が低いのだろうかは知らないけれど。
仲間にするのなら、戦う必要は無い。
「さすがに強いねぇ…青鈴君、カミサマ化の影響かな?」
僕は青鈴君に押されているようだった。
「俺も忘れんなよ逝見…。」
後ろから尾上の聞こえたかと思ったら背中を尾上君の鍵爪で引き裂かれていた。
「ぐっ、さすがに痛いね…。酷いなぁ…尾上君…。」
「お前のしてきたことよりはマシだ。」
「マシか…それもそうだねッ!『負加速』!僕に傷があるってしあわ…あれ何を言おうとしたんだっけ?…。」
幸せという言葉が口から出てこなかった。
『お前の幸せの概念の記憶を奪った。』
僕の幸せは青鈴君にすでに奪われていた。
「酷いじゃないか!青鈴君!人の幸せを奪うだなんて!この人でなしッ……?」
僕の身体は尾上君の鍵爪を刺した跡だらけになっていた。
「あぁ…酷い、酷いなぁ…♪…二人とも不幸のバスツアーにでも行って来たらいいのに…。」
『お前はもう、この世界から消え去れ…。』
そう言って青鈴は蹲っていた逝見に近づき鎌の刃で首を切り落とす動作をしながら
『逝見心負の生を奪った。』
青鈴がその行為をした直後に微かに聞こえた、それは逝見の方から。
「ありがとね、青鈴君。やっと死ねるや。」
と言ってる様な気がした――。
「ケッ案外頑張るもんだなァ、オイ。」
俺はイラついていたそれはこの狐女が俺と互角に戦うからだ。
それは絵にしても地味なもので、俺が金属バットで狐女を攻撃すれば狐女はそれを防御し、狐女が尻尾で攻撃してくると俺もそれを金属バットで防御する、そんな状況が続いていた。
「絶対に許さな――
狐女がそう言おうとした瞬間にその言葉を途中で止めた。
「?」
俺は何故止めたのかがわからなかった。
「血瑠璃…?」
狐女は俺が殺したはずの女の名前を呼んでいた。
俺は後ろを振り返るとそこには無傷のお嬢様がいた。
「なッ…テメェは俺が殺したはずじゃあ…!?」
さらに狐女の方から。
「狐火ちゃん~何戦闘でもしてるの?」
という男の声が聞こえた。
その声が聞こえたので狐女の方を向くと学生服みたいな恰好をした男が狐女に纏わりついていた。
「ちょ、邪魔!差鐘!」
「邪魔だなんて酷いよ~協力してあげようと思ってるのに…。」
「誰だテメェは…?」
俺がそう言うと。
「おや、見ない顔だなぁ。大体――狐火と戦ってるってことはダークサイドの人間かな?」
当てやがった。
「何でテメェがそれを…。」
「お、図星みたいだね、だけど残念だったね。」
「何がだ?」
「上の階で逝見心負だっけ?死んでたよ。」
衝撃の事実だった、いや、信じたくないものだ。
「たぶん尾上とあの黒髪ストレートの子が殺したんだろうなぁ。」
俺は右に有った二階へと続く階段を登った。
嘘だ、自分の事を全知全能とまで誇っていた逝見が殺されるはずがない。
俺は扉が開いていた部屋に急いで入った。
そこには血まみれになっている二人の男、それと座り込んで蹲っている逝見がいた。
「――」
言葉が出なかった。
その部屋にいたのは主人公サマの尾上ともう一人の主人公青鈴濫真とか言うヤツだった。
その二人はこっちに気が付き振り向いた。
「お前は確か――倉田とかいうヤツか?」
問いかけられたが答えられなかった。
『お前が血瑠璃を殺したのか…?』
青鈴とかいう(たしか)の方は怒りを露わにして問いかけてきた。
『答えろ…。』
威圧感をさらに増して問いかけてきた。
俺はどうにかしてしまった。
「黙れ。」
一瞬空気が凍ったような気がした。
「殺す…殺す…臓器を抉り出して、脳ミソ削って、肉を焼いて、骨を断って、皮を破いて殺す…!」
俺は尾上の方に飛び掛かっていた。
だが尾上の鍵爪の様な爪に金属バットは引き裂かれた。
「危ないな…。」
「殺すッ…。」
そのとき俺にはほとんど何をしようとか考えて動いていた記憶がない。
思考停止し、本能で動いているような感じだった。
俺は次に青鈴を狙っていた。
切り裂かれて、折られた金属バットで殴りかかった。
『無駄だ!ブルーサイズ、コイツの戦う理由の記憶を奪う!』
俺は確かにその鎌でその後切られただが――
「何がァ無駄だァ?殺すぞ…。」
その記憶は奪われていなかった、それと金属バットが何故か再生していた。
「金属バットが再生してる!?」
『尾上、コイツは危険だ。今ここで倒す。いいか!?』
「あぁ…。」
二人同時に襲いかかってきたが。
二人は俺に近づいた瞬間に鋭利な刃物で切り裂かれたような傷を負った。
『「!?」』
二人は同時に倒れた。
「まだだ…まだ…逝見は死んでない…。」
俺は死体と化した逝見を担ぎ、窓から飛び降りた。
『逃がしてたまるかッ…。』
青鈴が何かをやったようだがその攻撃は俺には当たらなかった。




