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金曜の夜、鷺矢はアパートの自室で黒江の夫に刺殺された。
黒江の夫は、仕事に行くと言って出かけた妻のあとをつけた。
妻が入ったアパートの部屋を覚えて、妻が去ってから侵入し、住人を殺害。
その後すぐに警察へ自首したという。
また、鷺矢のアパートからは薬物が見つかった。
鷺矢自身、中毒だったことが人体解析からわかっている。
「首の誉」と呼ばれる薬物で、人体と首の双方に快楽刺激と依存性をもつ。
入手経路は未詳だが、炭のような付着物があったという。
殺人と薬物について、黒江にも容疑がかけられている。
捜査されているが、現時点では白。
殺人は夫の私怨であるし、黒江からは薬物反応もない。
関与があるとすれば、所持や売買の線だった。
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「遅いなあ」
同僚がぼやいている。
どうやら、時間通りに来ない業者があるらしい。
タイムスケジュールを見ると、それは銀葉のところだった。
***
「来月一日づけだけど、明日からもう有給消化で来ないから」
黒江はそう言ってなんでもないように手を振った。
「最後に別れのキスでもしとく?」
上目遣いに前髪を直しながら、額に皺を寄せている。
「ま、会いたくなったらいつでも会いに来てよ」
桜井は黒江の連絡先すら聞いていなかった。
「あと、いつだったか、綺麗って誉めてくれてありがと」
黒江は微笑んだ。
「凄く嬉しかったよ」
「お世話になりました」
「お、いつの間におかずに?」
意味を理解するのに遅れ、一段と笑えなかった。




