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運命の転生劇 ~乙女ゲームの世界へようこそ~  作者: 無乃海
第五幕 『乙女ゲームを開始します!』編
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番外 運命はリフレイン…!?

 今回は、番外編となります。とある3人の視点となりました。

「トキリバァール様は、今のカノンの婚約者なんだよね?…あの人って間違いなく前世は、八代先輩なんでしょ?…今日改めてお会いしたら、八代先輩そのままだって思ったもの。」

 「…ええ、そうでしょうね。わたくしの勘も、そう告げておりますし…」


前世の頃からアオは、日高君を一途に想っておられて、彼以外の異性には全く興味を示されませんでしたわ。今も相変わらずのようでして、リナの言葉でやっと我に返るが如く、わたくしの婚約者の話題に触れられて。


女の勘と一言で申しましても、()()()()()()()()()お相手でしたら、自らの運命は分からずとも勘が働いた、と申すべきでしょうね。明確な違いは感じられないものの、何故か単なる勘とは異なると、言い切るほどの自信はございます。どうしてなのかという理由は、不思議と分からぬものの……


 「カノンとアオは、前世では親友でしたのよね?…まさかトキリバァール様のことも、お2人がご存知でしたとは、夢にも思いませんことよ。お2人が気付かれなければ、誰も気付けないことでしょうね…」

 「…リナにはそういう人が、前世にはいませんでしたか?…もし恋人か好きな人がいたならば、貴方もきっと女の勘で見つけられるはず。…と言いますのも、前世であれだけ恋愛に疎いカノンも、見つけられたのですから。絶対に大丈夫ですわ。自信を持ってくださいな!」

 「…え~と、いや、わたくしは…。そういう相手はいない、と思います…」


リナの指摘は、尤もだと思いましてよ。わたくしが先に気付くことで、アオもトキ様の存在に気付かれたはず。わたくしはノリックにまだお会いしておりませんが、アオも彼だからこそ気付かれましたのよ。ですからアオの言い分も、十分に理解できますわ。


そうだからと申しましても、同様に見つけられると仰られても、リナが困惑するのは当然のこと。リナに前世の恋人がおられたとしても、そのお相手も此方に転生されたとするのは、()()()()()()()()()()()だと、思いましてよ。


……麻乃が此方の世界にいらしたら、どう仰っているかしら…?


きっとお目にかかれないと思いつつも、ふと考えてしまいますのよ。アオやわたくしにとってはそれほどに、彼女の存在が大きかったとも、申せるかしらね。もしかしたらあの時、彼女も同様に思っていらしたら…。未来(いま)になってわたくしは、期待しております。単なる勘ではない、と…。




 


   ****************************






 「どうしてわたくしの前世の親友を、悪役令嬢になさったの?…わたくしのことを理解してくださる、今も大切な親友ですのに…」

 「…いや、それは…。今の僕を責められても、乙女ゲームとやらは記憶もないことで、今の僕は何も知らないのだから、どうしようもない…」


カノンが前世の親友に再会した直後、僕は前世の乙女ゲームやらのことで、一方的に彼女から責め立てられる。僕には『花南音』の世界に関する記憶は、一切持ち合わせていないにも拘らず、だ。


如何(どう)やら未来の僕は、彼女の前世の世界に転生したらしい。ところが何故か僕と彼女の過去と未来は、真逆になっているらしく、彼女の過去は僕の未来だと、言えるだろうか。だから今の僕には、彼女の過去を知る(すべ)がない。


但し、僕は他にも別の記憶を、持っている。何時(いつ)の頃からか、僕は同じ夢を見るようになった。それは僕の過去であるらしく、()()()()()()()()()。例え過去のことだと、僕が確信できるようになったとしても、誰にも…話すことさえできないだろう。両親にも妹にもカノンにも、この国の国王陛下であれ……


カノンも本当は、理解しているだろう。現世の僕に文句を言っても、無理からぬことだということに。それでも親友のことを思えば、こんな酷い目に遭わせる前世の時流(ぼく)に、一言申し上げたいという気持ちであろうか。


 「貴方はどうして、わたくしの過去へ転生なさったのでしょう?…前世の出来事はわたくしにとって、全て過去でしかございませんのに…」

 「…僕にも理由は分からぬが、カノは何も悪くない。僕が全ての元凶だということだけ、分かっているつもりだ…」


カノンはきっと色んな意味で、怒りが込み上げているだろう。怒りを()つけたい相手に、打つけられないという両刀論法ジレンマを。これはきっと…否、絶対に未来の僕の思い通りの状況に、なっているに違いない。


前世の親友の運命が掛かる状況に、前世の僕とのやり取りも含め、カノンの心の中に複雑な思いがあるようだ。此処にいる僕は、彼女の過去の記憶を一切持たない、別の過去を持つ僕だと知り得たからこそ。だけど、本質という面から見たならば、

過去の僕だろうと現世の僕だろうと、そして…未来の僕であろうと、全く同じ魂を持つ人間だ。だからこそ尚更、彼女も不満を抱えたまま。


それにしても未来の僕は、どうしてカノンの前世の親友を、そんな扱いにしたのだろう。乙女ゲームという仕組みは、何とか理解はできたものの、ゲームと物語との違いが今一、把握できずにいる。


悪役令嬢の役割を理解しても、シナリオという強制力は、未だ何もないように思えるが…。それとも、カノンが説明してくれた通り、ゲームと同じ状況になった途端に、ゲームの設定通り進むのか。()()()()()()()()()()……




 


   ****************************






 「ねえ、ノリック。貴方には前世の記憶は、あったり…する?」

 「……へっ?…前世の…記憶?……それは、どういう意味で…?」


私は思い切って、本人に直球を投げた。私の勘は、絶対に当たるようなものじゃないが、それでも何故か彼に関することだけは、外れていると思えない。自分でも不思議に思うところだが、これは単なる理屈じゃない。


前世の頃から、お転婆だった私。良家の家柄の子供じゃなかったが、決して貧乏ではないと言える、何方かと言えば裕福な家で育った。父が中小企業の社長という、自営業を営む家の娘で、これでも一応は社長令嬢だったのだ。親友の花南音とは同じ社長令嬢でも、月とスッポンほど差があるけれども。


私の家の隣に住む一家は、花南音とは別の意味で由緒ある家柄で、同じ年の男児がいた。お隣の一家は私達家族と親しく、男女問わず仲良くしてもらえた。だけど、ある日真実を知った私は、仲良くしてもらう資格はないと、自分から彼の手を突き放そうとしたのに。


 「蒼のバカ!…僕と蒼は利害関係で、友達になったんじゃない!…だから誰かに何を言われようと、勝手に友達を辞めるな!…僕たちの間で、家柄とか身分とかそういう堅苦しい関係は、全く無関係だった。俺に黙って、離れるなよ…」

 「…えっ?……うん、そうだったね。私達はずっと仲良しだよね!」


お隣の同い年の少年・恭典君は、離れようとした私を本気で怒った。家柄や身分なんてものは、僕たちの間では全く無関係だと言われて、私も…嬉しかった。私は勉強ができる方だったので、恭典君の両親が推薦状を書いてくれたお陰で、私とノリは同じ高校に入学した。世間一般的には所謂、それなりのお金持ちの子息が通う、私学の高校に。


入学当初、彼との関係がバレたことで、色々と嫌味も言われたが、同クラになった麻乃や花南音という、社会的に有名企業の社長令嬢が、私を庇ってくれたお陰で、嫌味を言う生徒はいなくなる。


 「……蒼。俺はお前のことが、知り合った頃からずっと好きだった。俺と…付き合ってほしい。」

 「…えっ!?………はい。私もノリ君のことが、好き…」

 「…本当かっ!……そうか、俺達は両想いなんだ…。すごく嬉しい……」


それが切っ掛けで、彼女達とは友人に。高校生活の3年間の間に、大親友へとなっていく。その一方では、彼と両想いだったとはっきりして、到頭私達は恋人となったのである。


前世で恋人になれたからこそ、彼のことならば何でも、何となく分かる。どれだけ容姿や身分が変わろうとも、君のことだけは…分かる気がする。


…だって、大好きになった人だもん。一生、愛した人だから……


私の命よりも何よりも、大切な人。花南音達との友情とは違っていて、それでも同じくらい大切と思えた。だけど…()()()()()()()()、貴方だけ。


 「ノリックのこと、『ノリ』と呼んでいい?」

 「……えっ?…え~と…別に、いいけど……」


現世(いま)の彼は、茶髪茶眼という変凡な人物だ。両目を隠すような姿に、出逢った頃は地味な見た目すぎて、何の印象も残っていない。鬱陶しいほど前髪を伸ばし、顔の下半分しか見えない。今思えば、まるで態と隠すように。


前世で彼が恋人でなければ、きっと私も見抜けない。実際、私の記憶が戻るまで彼のことなど、気にも掛けていなかった。寧ろその当時私は、姉の恋人の『ヘル』様に、淡い想いを抱いていた。ところが、前世の記憶を思い出した途端、野暮ったくて鈍くさいノリックのはずなのに、地味ながらもイケメンに見えてくる。チラッと見えた赤茶っぽい瞳に、何故か前世の恋人の姿が重なった。


 「ねえ、ノリ。その長すぎる前髪、私が切ってあげようか?」

 「……ダメ!!……あっ、大声出して…ごめん。その…前髪はまだ、これ以上は切りたくない…」


当然のことだけど、前髪が長過ぎる彼の姿は、むさ苦しく見えるらしい。しかし私には、彼が地味めのイケメンに見えている。折角、現世も綺麗な顔だと思われるのに、隠したら勿体ない。だけど…()()()()()()()()、良いかもしれない。


彼との関係がハッキリしない以上、今はまだそのイケメン顔を、他の人に晒してほしくはなかった。彼の本音は分からないが、前髪を切りたくない切実な理由が他にも、あるようなないような…気もして。


 「ノリは、電車やバスを覚えてる?…この世界は、不便だよね~。」

 「…へっ?……何のことか、分からない…」

 「う~ん、今日も…ダメかあ。明日は、思い出せるといいね?」

 「…………」


「何だ、此奴…」という呆れ顔のノリに、私は満面の笑顔を向けた。

 まず最初にカノン視点で、次にトキ視点となって、最後にアオ視点へと移っていきます。それぞれ3人の視点から見た、今の状況と言えるでしょう。まだノリックは思い出していないだけか、それとも一生思い出せない状況下か、それは…そのうちに明確になっていく、と思います。


次回は、本編に戻ります。ゲームのヒロインは、いつ登場させようかな……

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