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運命の転生劇 ~乙女ゲームの世界へようこそ~  作者: 無乃海
第五幕 『乙女ゲームを開始します!』編
119/120

88話 女の勘がビシバシと…

 前回からの続きとなります。さて今回は、学園での出来事に……

 「…きゃあ~!…今のお聞きになりまして?…あれほどご自分の婚約者をお褒めになるなんて、溺愛されておられますのね!!」

 「…まあっ!…ラドクール公爵令息様は、あれほどに…婚約者の女性に、一途なお方ですのね。素敵ですわ~~」

 「…わたくしの婚約者にも、あのような素晴らしい愛の告白を、していただきたいものですわ!」


トキ様があまりにわたくしをべた褒めなさるので、わたくしもつい後に引けず彼を褒め称えます。その所為でわたくしは、更に恥ずかしい羽目に陥りました。後悔既に遅し…なのですわ。


婚約者であるわたくしを、これでもか…という程に惚気て、べた褒めなさったトキ様を、ついキッと睨みます。何故ならばわたくしは、恥ずかし過ぎて居た堪れなくて。貴方の『自慢の婚約者』という言葉は、わたくしが貴方に()()()()()()()言葉でも、ございましてよ。


わたくしの心の声を他所(よそ)に、わたくし達2人の会話を耳にされ、周りの女子生徒達が「きゃあ~!!」という、甲高い黄色い声を上げられます。それなりに大きな叫び声で、わたくしも耳を塞ぎたいほど、耳を劈く高い声で。


わたくし達の会話の内容から、彼の単なる婚約者自慢話が、如何(どう)やら溺愛だと捉えられてしまいました。特に彼が婚約者に一途だ、という意味に…。わたくしが俄か令嬢でしたら、逃げ出していたことでしょうね。実は…内心でドキマギしておりました、わたくしです。


 「……うわあ~。普段は『氷国の王子』と呼ばれる冷徹な公爵令息が、自らの婚約者には相当に魅了されている(デレデレ)みたいだな…」

 「……おいおい。あの『氷国の王子』様が、普段とは別人だったぞ。自分のこの目ではっきり見ても、信じられない…」

 「…ううっ。あまりに雰囲気が甘過ぎて、呑み込んだ砂糖を今直ぐにも、吐きそうな気分だ…」


彼と同様か若しくは似た言動を、自らの婚約者に求められた女子生徒も、少なくないことでしょうか。女子生徒が黄色い歓声を上げる傍らで、男子生徒達も野太い声を出し、絶叫なさっていたようでした。そして男子生徒の会話中に、わたくしが初めて知ることとなる、とある単語も混じっておりましたが……


 『氷国の王子』


それは(まさ)にトキ様の別称、と思われるあだ名です。わたくしはその言葉にピクッと反応しつつ、声の全てを無意識に拾います。前世では噂話など、殆ど興味がございませんでしたのに、今は興味津々と耳を澄ませておりました。


……えっ?!…トキ様が、『氷国の王子』様!?…彼がそう呼ばれる理由には何となく、わたくしにも見当はつきましてよ。実にピッタリなあだ名、なのでしょう。前世で流行(はや)った小説の中に、そうした大袈裟な呼び名も出て参りますし、大変懐かしゅうございますわね。但し、当のトキ様は…嫌そうでしたが。


一見して普段と変わらぬご様子でも、心の底から嫌がっておられるのは、長い付き合いのわたくしには、見抜けておりましてよ。僅かに口元をピクピク引き攣らせ、苦笑いをなさっているのだと、丸分かりなのですわ。


 「…トキ様。学園では『氷国の王子』と、呼ばれてますのね?…どうして今まで何も、わたくしに()()()()()()()()()()()の?」

 「…入学初日に、貴方に…バレてしまったか。僕はその呼び名を、あまり好きになれなくてね。つまり周りが勝手に、呼んでいるだけだ。」


わたくしはジト目で、彼に直球で投げつけます。要するに、彼を揶揄う機会に恵まれたことに、面白がっておりますのよ。彼に確認するまでもなく、彼の好みは十分承知しておりますから。それにこうした洒落た表現は、周りの人々が当人の許可もなく、勝手に呼ぶのが前提ですもの。


……わたくしは嫌いではございませんし、自分でさえなければ楽しいですわ。


『氷国の王子』というあだ名は、彼の怒った時の冷静な態度を、適切に表現しておりますわね。本物の王子様ではありませんが、()()()()()()()という点で、敢えて王子と呼ぶのも絶妙だと、言えそうですし…。


 「カノン。帰りも迎えに行くから、教室で待っていて。」

 「…いいえ、馬車の前でお待ちくださいませ。それよりも今は、トキ様の在校生代表のご挨拶を、楽しみにしておりますわ。」

 「僕も…カノの新入生代表の挨拶が、楽しみだよ。」


そして今は、王立学園の入学式に参列しております。校長先生ならぬ学園長の挨拶なさった後、その後に新入生代表として、わたくしがご挨拶を致します。すると何故か上級生の間で、わたくしの噂をひそひそなさっていらっしゃるのが、壇上の上から見えましたのよ。あの時、数人の生徒達の中に紛れていらしたようで。


 「…新入生代表の彼女、『氷国の王子』様の婚約者みたいですわ。かの有名な侯爵家のご令嬢、でしたのね…」

 「…はあ~。道理で…『氷国の王子』様は、婚約者一筋でしたのね…」




 


   ****************************






 「…在校生代表のお方、とっても素敵…。婚約者は、おられるのかしら?」

 「…あの方は、ラドクール公爵のご令息でしてよ。当然ですが、婚約者もおられるようですわ。」


トキ様が在学生代表として壇上に上がられると、女子生徒達はきゃあきゃあと騒ぎ出し、男子生徒はひそひそ小声で話すなど、彼方此方(あちこち)からざわつく声が聞こえて参ります。特に本日、学園に入学した女子生徒は皆、彼に時めいていらっしゃるようでしたわ。流石に自ら名乗り出る勇気は、ございませんことよ。


それ以前にわたくしは彼を、全面的に信じております。浮気など絶対にしないお人だと、心の底から存じておりますわ。何せわたくし達は、前世からの長い付き合いですからね。


 「この王立学園では生徒自身の自主性が、最も尊重されます。特に学生部会は生徒の代表であり、自らの意見を活かせることでしょう。学生部会代表で部会長でもある私は、皆さんが楽しい学園生活を送れるよう、その手助けをできたら…と思います。本日入学の皆さんが我々と共に、素敵な学園生活を送られることを、心の底から願いたい。最後に…我が学生部会からも、本日入学された皆さんに、祝福の言葉を送らせていただきます。ご入学、おめでとうございます。」


トキ様のお話では、『学生部会』は前世で言うところの『生徒会』と、同じ役割を持つようです。彼はその代表の部会長でして、つまり彼は生徒会長なのです。壇上に立つ彼を誇りにこそ思えども、わたくしは努めて平然と振る舞うよう、心掛けておりましたわ。


その時、ふと彼と一瞬だけ目が合えば、ふわりと柔らかに微笑まれて。すると勘違いなさったご令嬢方が、「わたくしと目が合いましたわ!」と、誰もが自分と目が合ったと、()()()()()()()()になりまして……


 「カノン!…会えて良かった…」


入学式の後、教室に移動しようとした際に、ファミリア子爵令嬢、アオーリャ様が駆け寄って来られます。シャンデリー王国では少数派とされる、銀髪碧眼の持ち主の彼女は、見た目は大人し系の美少女ですが、実際は前世の影響が強いのか、ハキハキしてさっぱりした芯の強いお人です。彼女の前世は『名倉(なくら) 蒼唯(あおい)』という名前の、前世のわたくし『花南音』の親友でしたわ。


実はファミリア子爵家は、ドミトリー伯爵家の分家に当たり、王族派でもなければナムバード公爵派でもなく、中立派に属しています。王族派寄りの我が家は、数年前まで彼女と出会う機会もなく、成人の儀で漸く再会を果たしましたのよ。


わたくしも彼女も前世とは、当然ながら外見は全く異なります。『悪役令嬢』として転生された彼女は、165cmと背丈は以前同様わたくしより高く、アオにしか見えませんわね。現在はわたくしと同じく、前世の16歳までの記憶を持つそうです。こうして周りの人々の役割も、徐々に()()()()()()()()()おりますが。


 「お久しぶりですわね、アオ。相変わらず言葉使いが、少々ご令嬢らしくございません。その調子ではヒロイン以外にも、見下されましてよ。」

 「…ヒロインはまだ悪女と決まってないし、その時はその時よ。」

 「わたくしの勘では…少なくとも、味方ではない気が致します…」

 「…あ、そうか。カノンの勘は前世から、よく当たっていたっけ。…ということはヒロインは、悪女寄りなのかな…」


成人の儀で再会したものの、その後は手紙のやり取りだけで、殆どお会いできておりません。同じ貴族令嬢とは言えども、身分差が大きいというのもあり、また互いの領地が離れていることから、中々機会がございません。


今後3年間は王都に居を構えた、ドミトリー伯爵家に下宿するそうで、頻繁に会えますわね。1年生の教室に向かいながら、リナとエイジの2人とも合流し、それぞれのクラスへ参ります。


 「…ノリの姿がないということは、別のクラスになったのね。カノンに紹介しようと、思っていたのに…」


どの学年もA・B・C・Dの4クラスに、分かれております。Aクラスはわたくしとアオとリナ、エイジは隣のBクラスでした。彼女の幼馴染とは、ドルトン伯爵令息『ノリック・ドルトン』のことでしょう。彼は一人息子で、アオ曰くあり触れた容姿のようです。ドルトン家も中立派で、現在はまだ会っておりませんが、クラスも別だったようで。


 「あれ以降も確信を得ようと、彼に何度か前世の話を振ったけど、何も覚えていないみたいだったわ。だけど私は絶対、彼は…ノリだと思うわ。」


前世の2人は高校に在学中の間に、恋人に昇格したようです。ですから、女の勘が働くようですわ。アオが確信を持たれていらっしゃるならば、間違いなくそういうことですね。肝心の当人に記憶がない限り、どうしようもなく。


 「…羨ましい。前世で好きだった人と、(此方でも)()()()()()()()……」


アオの自信満々な姿に、ちょっぴり寂し気な顔付きで、ほんの少し羨まし気な様子でぽつり、呟かれたリナ。最近はエイジとの仲も、進展していたのでは?…と首を傾げた時。


 「リナも前世で、恋した人がいたの…?」

 やっと学園に到着して、トキの婚約者のお披露目となりました。普段とは違う彼の姿に、周りも興味津々のようです。今のところ、敵対する相手はいないようですが、どうなることやら……


更新が遅くなり、申し訳ありません。今後も頑張って更新していきますので、よろしくお願い致します。

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