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カラコロカラン
「リンちゃん!村長の名前は森田茂で間違いなかったよ!」
「…そうか」
橘にはあの村の村長が本当に森田茂で間違いないのか調べてもらったが、どうやら正しかったようだ。
「金庫に入ってた内容は正しいってことなんよね?」
「…そうだな。限りなく…事実に近いかもしれないな」
「じゃあ、あの村に奇跡の子はいたってことやね」
「…そうだろうな」
「影宮恭次朗か…どんな子だったんだろうな…」
「…わからないな」
僕はコーヒーを入れ、タバコに火を灯す。
「リンちゃんはさ…あの村に見覚えあった?」
「…あるわけないだろ?」
「そうだよな!何聞いてんだろ?」
「…金庫を見つけたこと…不思議に思ってるのか?」
「んー?まぁ、そういうのはリンちゃんによくあるやつだな〜って思ってるからさ!何か感じたんっしょ?」
僕は返事を返さずに、天井に煙を吐き出した。
「でもさ、病気のことは書かれてなかったね。病気も不幸や業に入るんかな?」
「…どうだろうな」
「それにこの話が事実だとしたらさ…楓ちゃんは影宮恭次朗にさ…」
「…この紙に書かれていたことは事実に近いかもしれないが、全てがわかったわけじゃない。あくまで森田さんの主観で書かれた物だ…。それを鵜呑みにして情報の見落としだけはしないようにしないといけないな」
「…だな!リンちゃんの言う通りだな!とりあえず、わかったのは奇跡の子の名前が影宮恭次朗で、あの村にいた可能性が高いってことだもんな!どうする?丸山さんにも話して、一緒に調べてもらう?」
コーヒーを一口飲み、考える。
「…それも一つの方法として、考えられるが…あの村に奇跡の子がいたのなら亡くなっている可能性が高い。あの村に生存者はいなかったんだろ?」
「あっ!そうやね…。奇跡の子が実際にいたかもしれんってことにばっか頭がいってて考えてなかったわ!」
「…それに聞いたあの噂も気になる。村の人達は火災で亡くなったのではなく、殺されてから燃やされたって話がな…」
「たしかに…。あの村に奇跡の子がいたんなら、関係してるかもしれんもんね!」
「…そうだな」
橘は腕を組んで考えているようだ。
「んー、やっぱり丸山さんにも現時点でわかった話をして、あの村について調べてもらった方がよくない?俺らも調べるけどさ…情報は少しでも多い方がいいっしょ?」
「…そうだな。丸山さんにも頼んでみようか」
「おうよ!じゃあ、俺は早速調べてくっから!リンちゃんは丸山さんに連絡よろしく!」
「…わかった」
「おうよ!じゃあ、行ってくるわ!」
カラコロカラン
橘は大きく手を上げてから、事務所から出て行った。
僕は天井に煙を吐き出してから、
ポケットから携帯電話を取り出し、
丸山順子に電話をかけた。




