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大きな火災があったと思われる村を、

橘と一緒に調べている。


「火災があったって言っても、昔から考えたら多いのな〜」

「…そうだな」

「全部、調べるん?」

「…そうだな」


一つ、一つ村のことを調べていく。

中には幸いにも火事はあったが負傷者がいなかった村もあれば、大勢の方が亡くなってしまった村もある。


「これは時間かかっちゃうね〜」

「…そうだな」

「噂ではさ、火災でなくなっちゃった村にいたかもしれないんよね?」

「…みたいだな」

「じゃあさ、見つからない可能性もあるわけじゃん」

「…そうだな」

「まぁ、しらみつぶしに調べてみるしかないか〜」


橘が車を運転しながらも話しかけてくる。


「次の村はみんな亡くなっちゃったんだっけ?」

「…そうらしいな」

「消防の人が来た時には…大惨事だったらしいね」

「…こんな山の中なんだ…駆けつけるまでにも時間がかかってしまうだろうからな…」

「そうなんよね〜。でもさ〜、あの話は信じらんないよな〜」

「…村の人達が亡くなったのは火災ではないって話しか?」

「そうそう!殺された後に火をつけられたんだ〜っ!って、言ってたけどさ…マジかな?」

「…どうだろうな」


今から調べようと思ってる村は、となりの村からの移住者がいたようだ。隣の村でも大きな火災があり、生存者の方々を受け入れたそうだが、一年も経たない内に大きな火災で村の方々は亡くなってしまったそうだ。この村とやりとりをしたことのある人から、話を聞いたが、余所者を受け入れたからこんなことになったんだと言っていたが…どうなのだろうか?


「リンちゃん、ついたよ」


僕は車から降りて、村だった場所を見る。

一目見ただけでもどんな惨状だったのかを、

物語るようなありさまだ。


「これはヤバい感じだったんだね…」

「…そうだな」


焼け落ちた家屋を調べていく。

ここで誰かが生活をしていたんだろう。

そう思えることができるようなものもあれば、

跡形もなく、燃え尽きてしまったものもあった。


「こんな感じなら、調べてもわからんかもね」

「…でも、調べるしかないだろ?」

「まぁ、そうなんだけどさ…」


橘は痛々しい顔で調べはじめた。

きっと、ここで生活していた人を、

そして亡くなってしまった人のことを考えたんだろう…


一番大きな家屋を調べると檻のようなものがあった。

この村で悪いことをした人を捕まえていたんだろうか?

とても頑丈につくられていたことがわかる。

調べていると、錆びたナイフのような物が大量に見つかった。こんなにナイフを集めて何をしていたんだろうか?

小さな小瓶のようなものもあった。

割れてしまっているものもあるが、

さすがに中身は何も入っていなかった。

中身があれば、何を入れていたのか調べられたのにな…

どうやら、この家屋は少し怪しいように感じた。


「リンちゃん!どうよ?何か見つかった?」

「…橘…これを見てくれ」

「なんだよ…これ…」


橘も僕が見つけたものを見つめて、言葉を無くした。


「…この村は怪しい感じがする。もう少し念入りに調べようか…」

「…そうした方がいいかもね」


橘も同じように思ったのか、そう言ってから、

また調べはじめた。

そこからは時間だけが過ぎていき、

特には何も見つからなかった。


「やっぱり、怪しいだけなんかな?」

「…そうだな」

「なんかあると思ったんだけど…明らかに怪しさ満点だっかんね」


怪しさに点数があるかどうかわからないが、

そう思えるほど怪しいとは僕も感じている。


「一回、仕切り直す?」

「…時間も時間だからな」


だが、僕はまだ何かあるんじゃないかと感じていた。

二番目に大きい家屋の近くに来た時に…


チリン


左腕から鈴の音が聞こえた気がした。

僕はこの音が大好きだったが、

二度と聴きたくないと思うこともある。


崩れ落ちた家屋の中にお爺さんが見えた。

あぐらをかいて、床をジーッと眺めている。

口はブツブツと動いているが、

何て言っているのかまでは聞こえない。


「リンちゃん?どしたん?」

「…いや」


もう一度、家屋を見た時にはお爺さんはいなかった。


「…橘、ここは調べたか?」

「おう、調べたけど…なんかあったん?」

「…少し気になるんだ」


僕は家屋の中へと入る。

屋根が焼け落ちているが、なんとかお爺さんが座っていたであろう場所まで行くことができた。


「リンちゃん、どうしたん?」

「…タッちゃんが嫌いなやつだよ」

「うげぇ…それ…マジ?」


僕が冗談めかして言うと、橘は察したようだ。


ドンドン


床を蹴りつけるがここの床の強度はまだ保っているようだ。

どうにかここの床下に行けないだろうか…


「リンちゃん…ここの下が気になるん?」

「…そうだな」


中を見回すが床下に入れそうなところはないな…


「うーん。じゃあさ、ここしたらいいんじゃね?」


橘はそう言って屋根が崩れ落ちていた瓦礫の山を取り除きはじめた。こんなこと僕にはできないな…

少し撤去作業を進めると、床下に入れそうな空間ができた。


「そこの下らへんなんよね?」

「…ああ」

「俺がいってこようか?」

「…崩落の可能性もあるから危険だとは思うが」

「そうね〜」


そう言って、橘は床を軽く蹴った。


「こんぐらいの強度があれば、そこまではいけんじゃねぇかな?無理そうだったら戻ってくっからさ!軽くここだよって教えてくんね?」

「…頼めるか?」

「OK OKまかせんしゃい!」


橘は床下に潜って行った。

僕は床をノックするように叩いた。


コンコンコン


ノックを続けていると、床下から橘の声が聞こえた。


「リンちゃん…当たりだわ!ちょっと待ってて!って、おも!これ重いな!」


そう言いながら、橘は見た目は小さいが重量がある金庫のような物を持ってきた。


「こんなん床下になんであったんかな?」

「…もしかしたら、違う場所からすぐに入れたのかもしれないな」

「そうよね…でも、これ怪しいよね?」

「…ああ」


橘は金庫を開けようとするがロックがかかっているようだ。

金庫に17と数字が書かれている。


「これが番号なのかね?」


橘は試してみたが17では開かなかった。


「…このタイプの金庫なら数字は4桁だろうな」

「じゃあ、17なんちゃらってこと?」

「…その可能性が高いと思う」


橘はうーん。と考えているが、

僕はお爺さんがブツブツと言っていた言葉を思い出していた。何て言っているのかは聞こえなかった…

だが、同じ言葉を繰り返していたように感じた。


「…いないな」

「へ?リンちゃん、どうしたん?」

「…橘、1717で試してみてくれないか」

「ん?わかった…」


橘は金庫のダイヤルを回している。


チチチチ カチ

チチチチチチチチ カチ

チチチチチチチチ カチ

チチチチチチチチ カチャン


「あっ!開いた!」


中を開けると紙が入っていた。

僕はそれを取り出して、橘と一緒に見る。


「こ、これってさ…」

「…当たりだな」

「…これマジなんかな?」

「…これが本当なのかどうか…確認しようか」

「おうよ!」


僕は橘の運転する車に乗り込み、

事務所へと帰った。

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