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「…橘、悪かったな。雨宮さんと話してたんじゃなかったのか?」
「あー、ちょうど話終わったとこだったから、大丈夫だよ」
「…そうか」
「リンちゃんは何してたん?」
「…少し散歩にな」
「そうだったんだ。てかさ!撮影スタッフの人にめっちゃ褒められたんよ!俺ってそういう素質があるみたいでさ!すごくね!すごいよね?」
「…そっか」
橘は嬉しそうに話している。
褒められて嬉しかったのか…
それとも雨宮栞と何かあったのか…
まぁ、僕には関係のないことだ。
橘が嬉しそうにしているのは、
僕にとっても気分が悪いことじゃない。
よかったなと返事を返して、コーヒーを入れる。
ベランダへと移動して、タバコに火を灯す。
コーヒーを飲みながら、空へと煙を吐き出した。
橘は風呂を済ませて、寝る準備をしているようだ。
僕は変わらずベランダで過ごしている。
「リンちゃんは寝ないん?」
「…そうだな」
「リンちゃんは病み上がりなんだから、早く寝て身体を労ってあげなきゃダメじゃね?」
「…そうだな」
「あんまり、無理すんなよな〜?」
「…大丈夫だよ」
じゃあ、俺は寝るよ〜!と言って、
ベッドに寝転んだ。すぐに寝てしまったようだ。
僕はコーヒーを一口飲み、空へと煙を吐き出す。
あの洞穴がやっぱり気になってしまう。
もう少し、調べてみようか…
僕はホテルを出て、山道を歩く。
ライトで照らしながら歩くが暗くて見えづらい。
そんなことは当たり前なんだけれども、
どうしても僕は洞穴を調べたいと思った。
方向があっているのかもわからず、
獣道を歩いていく。
「なんじゃ!お前は!」
遠くの方で声が聞こえた。
僕は声が聞こえた方へと走る。
「うわぁ!」
何が起こっているのかわからないが、
急がないとまずい気がする。
僕は全力で走った。
走った先には全身真っ赤なやつが、
佐伯正雄に馬乗りになっている姿が見えた。




