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17の12

隣の部屋を見ているのかしら?

私が不思議とそう思った瞬間に襖が開いた。


そこにはボロボロの鈴が立っていた。

一緒に連れてこられた時よりも、

怪我が酷くなっているようだ。

鈴は一度、私に視線を向ける。

でも、私は人ならざるものから視線が外せなかった。

感情のない人ならざるものが、反応を示した。

だが、反応を示しただけではなく、

襖が開いた瞬間に喜びの感情を見せたのだ。


それに気付いた時には鈴は水晶玉に触れて、

水晶玉は砕け散った。


人ならざるものが形を無くし、

鈴の身体の中へと入っていく。

鈴は黄金色に輝きながら、その場に座り込んだ。


なんだあれは?

人ならざるものが鈴の中に入った?

鈴が輝いて見えたのは一瞬だったが、

汗をダラダラと流していて、

今にも気を失ってしまいそうで…

私は鈴に駆け寄った。


「鈴っ!」

「…ああ。柚葉さんですか…」

「意識はあるのねっ!大丈夫なのっ!?」

「…変な感じがしますが…大丈夫ですよ…」


鈴は意識が朦朧としながらも返事を返している。

襖の奥では倒れている大きな男と、

唖然とした表情のオババ・サマーがいた。


「ぬ、主様が…主様が…」


どうやら砕け散った瞬間を見ていたようだ、

主様が…と言いながら、鈴の方へとにじり寄ってきた。


「ぼ、坊主…な、何をしたんじゃ?」

「…僕は触れただけですよ。カエさん」

「な、何故…私の名前を…?」

「…どうしてでしょうか?何故かわかりませんが、貴女の名前がわかったんですよ…。ヤエさんの子孫なのですね…」


鈴はフラフラしながらも話している。


「約束は果たしました…。ヤエさんが守りたかったのは家族と村の人達です…。いつから守るものを間違えてしまったんでしょうか…。あぁ、そうか…家族同士で争ってしまったんですね…。だから、この力を守ろうとしてしまったのか…」


鈴は遠くを見ながら話している。


「鈴?鈴っ!?」

「…あぁ、柚葉さんですか…」


私が肩を揺さぶりながら声をかけると、

柚葉さんですか…と話しているが、

まだ意識は朦朧としているようだ。


「…柚葉さん。迎えにきましたよ…。帰りましょう…」

「うん…うん…。そうね」


私は鈴の肩を支えながら立ち上がった。

カエさんと呼ばれたオババ・サマーは、

泣きながら鈴に頭を下げている。


「主様…申し訳ありませんでした…申し訳ありませんでした」


床に這いつくばるような姿で泣きながら謝り続けている。


「私共が間違っておりました…申し訳ありません…」


その横を通り抜けながら、鈴と歩く。


大きな男は起き上がって、オババ様!オババ様!と声をかけているがオババ・サマーは謝り続けていた。


廊下を歩き、外に出ると橘くんの車が止まっていた。


「コーヒー大好きっ子!どうしたんよっ!?」


橘くんは車から降りてきて鈴を支えてくれた、

後部座席に鈴を座らせ、隣に私も座る。


運転席に座った橘くんは鈴に声をかける。


「リンちゃん!リンちゃん!?」

「…ああ。橘か…悪いな…」

「リンちゃん!大丈夫なん?」

「…大丈夫だ。悪い少し寝かせてくれ…」


そう言って、鈴は横になった。

私の膝に頭を乗せ、眠っている。


「リンちゃんは…大丈夫なんよね?」

「…わからないわ。でも、息はしてる」


私もわからないから、

鈴が息をしているのを確認してからそう答えた。


「とりあえず、事務所に戻るね!」

「…お願いするわ」


車が走りはじめた。

車の中は無言が続いている。


「橘くん。…ありがとう」

「俺は何もやってないからさ…礼ならリンちゃんに言ってよ」

「それでも…ありがとう」

「…おうよ。困ってたら助けんのは当たり前だろ?」


橘くんはそう言って笑った。

私は鈴の頭を優しく撫でながら、

ありがとうと返事を返した。

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