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聡太の後に続き、廊下を歩き部屋の前についた。

失礼しますと彼が言葉をかけてから襖を開ける。

大きな部屋の真ん中に、

オババ・サマーは座っていた。


「坊主、私に会いたかったそうじゃないか…どうしたんじゃ?」

「…そうですね。少しお話しをさせていただきたいと思いまして…」

「よいよい。聞いてやろう…なんじゃ?」

「…ありがとうございます。…柚葉さんはどうされていますか?」

「娘はお勤めを果たそうと頑張っておるよ。なんじゃ?それが聞きたかったのか?」

「…そうですか。いえ、柚葉さんの意思で榊原家に戻ったのなら僕から何も言うことはありませんが、僕を殺さないという条件で戻っているのなら…少々、気に食わないと思いまして…」


僕がそう言うと、ホッホッホ!とオババ・サマーは笑った。


「気に食わないならどうするつもりじゃ?」

「…柚葉さんの願いを叶えるだけですよ」

「ホッホッホ!坊主にはそれができると?面白い坊主じゃ!じゃが、娘は戻った。それがどういう理由であれ娘の意思で戻ったのじゃ!それをどうするんじゃ?」

「…どういう理由であれ…ですか。オババ・サマーさんはわかっておられないようですね。それは柚葉さんの意思ではありません。誘拐され脅迫されているんです。それがどういう理由であれ自分の意思だとおっしゃるんですか?」

「そうじゃ!」


あー、やっぱり話が通じない人なんだな…


「…そうですか。では、話を変えましょう。榊原家の方々が崇拝しているという水晶玉ですが、本当にどんな怪我も病気も治すことができるのですか?」

「もちろんじゃ!多くの信者達を救っておるぞ!」

「…そうですか。本当に治すことが出来るとして…その見返りに榊原家の方々は力を注ぐという、お勤めを果たしているのですよね?」

「その通りじゃ!そのおかげで信者達を救い、そして信者達は榊原家を敬うのじゃ!」

「…そうですか。それならその水晶玉は榊原家をお救いにはならないのですね…怪我や病気を治せても、人を誘拐し脅迫しなければならないほどの見返りを求められているんですよね?それとも信者の方々に崇拝されたいから水晶玉を利用されているのですか?」

「貴様っ!口を慎めっ!」


彼が後ろから大きな声を出し、僕を殴った。


「…言葉で敵わないから手を出すなんて…幼稚な人ですね」

「な、なんだとっ!貴様っ!」

「聡太っ!」


オババ・サマーが彼を止めた。


「結局、坊主は何が言いたいんじゃ?」

「…最初から言っているじゃないですか。僕は柚葉さんの願いを叶えるために来ていると…聞いていなかったんですか?誘拐、脅迫されている柚葉さんを助けにきたんですよ。柚葉さんがお勤めを果たす意味なんてあるのでしょうか?そもそもその水晶玉にそんな力はあるのですか?本当にその水晶玉がどんな怪我でも治せるのなら証明してください。ちょうど彼らに殴られて怪我をしている人間がここにいるじゃありませんか?」

「坊主は主様を信じておらぬのかえ?」

「…そうですね。証明してくれますか?」


オババ・サマーの目を見ながら問いかけたが、

何も言わないまま静かに座っている。


「オー…神影…カッコいいね!いいね!」


いつの間にか、僕とオババ・サマーの横に、

赤いジャケットに赤いズボンのピエロが、

畳の上に横になって寝転んでいた。

肩肘をついて、こっちを見ている。


「キシシシシ…でも、疲れたかな?かな?」


そう言って、ため息をついた。

後ろから貴様っ!何奴っ!と言う、

時代劇の様な言葉が聞こえてきたけど、

本当にいつからいたんだろう…

僕は全然、気付かなかった。


ピエロは隣の部屋を指差して、

キシシ…そこにあるよ?と言った。

オババ・サマーは驚いた表情をしている。


「…失礼しますね」


そう言って、立ち上がり隣の部屋の方へと歩こうとすると待てっ!と後ろから声が聞こえた。

彼は手を伸ばして僕を掴もうとしたようだが、

ピエロに殴り飛ばされ畳に倒れた。

オババ・サマーも何か言おうとしているが、

ピエロに口を抑えられてモゴモゴと言っている。

キシシ…と笑いながらシーッと人差し指を口に当てている。


僕は隣の部屋の襖を開けると

真ん中に水晶玉があり、周りに六人の女性が座っていた。

そのうちの一人が柚葉さんだ。

僕は柚葉さんに視線を一度、向けてから、

水晶玉に左手で触れた。


チリン


左腕から鈴の音が聞こえた気がした。

僕はこの音が大好きだったが、

二度と聴きたくないと思うこともある。


僕が触れた瞬間に水晶玉は砕け散った。

そして、左手から何かが入り込んでくる感覚がした。

気持ち悪い…

身体中を何かが這いずり回るような、

蠢きあっているような…

全身に鳥肌が立ち、冷や汗がダラダラと流れる。

僕はそのまま両膝を床につけ、座り込んだ。

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