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「バレないように殺してしまおうか?」
そう言われた時。
鈴が殺されてしまうと思った時、
私は胸が締め付けられたような痛みを感じた。
だから、鈴を殺さないでほしいと言った。
でも、鈴はいつもと変わらない様子でこう言った。
「でしたら、僕を殺して柚葉さんから手を引いてください」
鈴っ!何言ってるのっ?
心の声が口からも出ていた。
「…柚葉さんの願いは榊原家に戻らないことですよね?僕が殺されてその願いが叶うのなら構いませんが?」
本当にいつもの様に、鈴は私にそう言った。
私の知らない鈴がいる。
そんなの当たり前のことだ…。
きっと、橘くんも知らない過去が…
鈴にはそんな過去があるんだろうと言う事は、
なんとなくだけど、わかっていた。
普通じゃない日常が普通だった私には、
それがわかっていたはずなのに…。
鈴は人の事を大切にしている。
だが、それを自分に向けることができないのだ。
大切な名前もどちらでもかまわないと言い、
大切な命でさえも人の為に使おうとしてしまうのだ。
私は悲しくなってしまった…。
私のせいで鈴を失いたくない。
鈴を失うぐらいなら、私は人生を捨てたっていい…
だから、私はこう言った。
「私は…お勤めを果たすわ…」
鈴は無表情のまま柚葉さん…と言った。
それで…いいんですか?と…。
「鈴…ごめんね。巻き込んじゃって…最初からこうしておけばよかったのよね…ごめん…」
そう言った私の顔を見ながら、
鈴は大きな男に引きづられていった。
きっと、殺されはしないだろう…。
もう、会うことはないかもしれないけど…
鈴を守ることができたならよかったかもしれない。
そう思った時に、祖母を思い出した。
祖母も私と同じ気持ちだったのかもしれない。
大切な人を守るためにとった行動を後悔していないと話した、祖母の顔が懐かしく思った。




