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「めっちゃ楽しみだね〜」
運転している橘がはしゃぎながらそう言った。
助手席に座っている雨宮栞も楽しみですと答えている。
「てか、栞ちゃんさ!俺がこんなこと言うのもおかしな話だけどさ…俺らと一緒に旅行行ってよかったん?」
「大丈夫ですよ!マネージャーの白井さんにも話しましたけど、神影さんと橘さんなら安心できるって言ってました!」
「へー、そうなんだ!」
「はい!白井さんに信頼されてるんですね!」
雨宮栞はそう橘と話している。
僕はと言うと…
「神影さん!温泉楽しみですね!」
「鈴、狭くない?もうちょっとこっちにきてもいいわよ」
後部座席で柚葉さんと真島彩花に挟まれている。
何でこんな座り方になったのか…
橘が俺が運転するよ!と言って運転席へ
私がナビの設定とかしますねと、
雨宮栞が助手席へ
楽しみー!と車の後部座席に入って座る真島彩花
柚葉さんにどうぞと先に車に乗ってもらおうと思ったのだが、私は窓側がいいわと言われ、そのまま乗ることに…
「神影さん!お菓子食べますか?」
「…いりません」
「えー!美味しいのに!」
「彩花ちょうだい!」
「はーい!」
「ありがとう」
「このチョコ美味しいよね」
雨宮栞と真島彩花は楽しそうだ。
橘と一緒ではしゃいでいる。
「鈴、はい」
「…ありがとうございます」
僕が水筒に入れたコーヒーを柚葉さんが渡してくれた。
コーヒーを一口飲み、ため息をつく。
「私ももらってもいいかしら」
「…どうぞ」
「ありがと」
そう言って、柚葉さんもコーヒーを飲んだ。
「そのコーヒーは差し上げますよ」
「あら?鈴も飲めばいいのに」
「…いえ、僕はもう大丈夫です」
「そう?」
「…はい。橘…あとどれくらい?」
「んー?まだ結構かかるよ〜」
「…そうか」
この時間がまだ続くのか…
早くも帰りたいと思ってしまった。
「何?リンちゃんタバコ休憩する?」
「…頼めるか?」
「じゃあ、パーキングに寄るからさ!ちょっと待ってよ。みんなもいいよね?」
「はい!大丈夫ですよ」
少し走った後、パーキングについた。
僕は車を降りると喫煙所を探して、
内ポケットからタバコを取り出し、火を灯す。
遠くの方で、橘と雨宮栞、真島彩花が楽しそうに
話しているのが見えた。
本当に楽しそうだな…
柚葉さんは僕の近くにきて、話しかけてきた。
「鈴は…こういうの嫌い?」
「…こういうのって何ですか?」
「みんなで過ごす時間のことかな?」
「…さぁ、どうですかね」
「そう…」
それきり何も言わずに静かに立っている。
僕は空へと煙を吐き出した。




