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「そろそろくる時間だと思うんだけどね…」
「ん?誰かくんの?」
「そうだね。私の孫が事故に遭ったみたいでね、お金が必要だからって電話があったんだよ」
「え?美咲ちゃん元気そうだったけど?」
「そうだね。でも、困ってるみたいだから会って話を聞いてみようと思ってね…ここで待ち合わせしてるのよ」
「いや、それって…」
橘は僕の方を見てきた。
タバコの煙を天井に吐き出しながら思った。
こっち、見んな。
カラコロカラン
一人の男性が入ってきた。
キョロキョロと見回してから美里さんを見ると、
近づいてきて、話しかけた。
「あなたですね!?お孫さんが事故に遭って大変なんです!」
「そうなんだね」
「手術代に100万円かかりますので、用意できてますか!?」
「そんなにかかるのかい?」
「はい!電話でもお話ししましたよねっ!?」
「そうだったかね」
「今すぐ必要なんですっ!」
「それは困ったね」
彼は焦った様子で話している。
美里さんは困った、困ったと呟いている。
「カー坊、どうしたらいいかね?」
「…そうですね。お孫さんが事故に遭われているのなら、病院に行かれた方がいいんじゃないですか?」
「そうだね」
僕はコーヒーを飲みながら話した。
「いや!で、でも、早くしないとお孫さんの命がっ!」
「美咲ちゃん元気だったけど?」
「え、えっ?」
「ばぁちゃんの孫は美咲ちゃんだけだからさ」
彼は困惑した表情をしている。
全てを察したのか慌てて立ち去っていった。
カラコロカラン
「ばぁちゃん。あれって詐欺でしょ?」
「でも、困ってただろ?」
「困ってる演技っしょ?人から騙して金をとるなんてさ!ありえないっしょ!」
「困ってるから魔が差したのかもしれないよ」
「え〜!そうなんかな…」
「カー坊、話を聞いてやってくれないかい?」
美里さんは真剣な表情で僕を見つめている。
ため息をついた。
「…橘、彼を調べようか」
「えっ?リンちゃんマジで!?」
「…美里さんのお願いだ」
「うーん。わかったよ…」
橘は渋々だが、調べてくれると言ってくれた。




