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あれから僕は入院した。
山村さんが説教にきたり、
橘と雨宮栞がお見舞いにきたり、
柚葉さんが早くコーヒーのみたいんだけど…と
催促にきたりしたが、無事に退院することができた。
僕はコーヒーを淹れ、タバコに火を灯す。
入院中はタバコが吸えなかったからな…
「リンちゃん…退院したばっかりなんだからさ…あんまりタバコ吸いすぎないでよ」
「…わかってるよ」
わかってないっしょ!と橘は唇を尖らせた。
コーヒーを入れ、一口飲む。
やっぱり、コーヒーにタバコだよな…
カラコロカラン
「すいません…」
「…お待ちしていましたよ。どうぞ」
入ってきた南新一にソファへ手を向けながら声をかけた。
「探偵さん、刺されたって聞きましたが大丈夫ですか?」
「ええ、少しの間入院しましたが…この通り、元気ですよ」
「それはよかったです…殺人事件に巻き込まれたと聞いてビックリしましたよ」
「それは…ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
本当によかったですと話しながらソファに座った。
僕はタバコの火を揉み消し、
いつものソファに腰掛けた。
「それで…話というのは?」
「娘さんの…靖子さんの自殺の理由がわかりました」
「ほ、本当ですかっ!?」
隣に座っている橘もビックリした顔をしている。
まぁ、橘に話してなかったからな…
「はい。娘さんの部屋を調べさせていただいた時に…これを見つけました」
僕はそう言って、ポケットから一枚の紙を渡した。
「こ、これは…」
「娘さんの字で間違いありませんか?」
「は、はい…靖子の…字です…」
南新一はその紙を読み出した。
その紙には可愛らしい文字でこう書かれていた。
お父さん、お母さんごめんなさい。
私が今からしようとしていることは
きっと、すごく悲しませることなんだって
すごく寂しい思いをさせることなんだってことは
わかっているの。だから、ごめんなさい
私には好きな人がいるの。
その人は心に深い傷があって…
私の気持ちは届かなかったみたい。
でもね、お父さんがいつも言ってくれたでしょ?
自分が信じることを貫きなさいって
私ね、その言葉を信じて貫いてきたよ
だから、私は幸せだった。
お父さんのことも大好き
お母さんのことも大好き
そして、彼のことも大好きだったの
私は彼に伝えたの
私の気持ちは一生変わらないよって
私はあなたのことが大好きだよって
お父さんの言葉の通りに
私は私の思う、信じることを貫きます。
ごめんね
私は愛の証明をします
「…っう…や、靖子っ…」
南新一は涙を堪えながら、読んでいる。
娘さんは…と僕は話しかけた。
「歪な愛を貫いたんですね」
これにて第九章完結です。
お楽しみいただけたでしょうか?
ゆっくりですが、続きも書いていきますので、
優しい気持ちで見守ってくださると嬉しく思います。
今後とも、お楽しみいただければ幸いです。




