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9の13

お腹に強い衝撃が走った瞬間に

彼を突き飛ばした。

なんだよ…元気じゃんと呟く声が聞こえたが、

僕はその場に片膝をついてしまった。


大丈夫だ…そんなに深く刺さってない…

激痛に耐えながらもお腹の包丁を確認した。


あー、これは失敗したかな…

そう思っていたら、リンちゃん!と声が聞こえた。


「リンちゃん!何やってんだよっ!」

「橘…悪い、ドジッた」

「もういいから!リンちゃん喋るなっ!」


心配そうな顔をして走り寄ってきた、

橘は焦った様子で僕を見ている。


「栞ちゃん!救急車!」

「は、はいっ!」


雨宮栞も来ていたようだ。

気づかなかったな…


「あーあ。目撃者が増えちゃったよ…」


彼はため息をつくようにそう言った。


「か、神影さん!救急車を呼びましたから!だ、大丈夫ですか!?」

「も、申し訳ありません…」


雨宮栞は僕の背中をさすりながら、

声をかけてくれている。

何でだよ…と橘は呟いた。


「何でこんなことしたんだよっ!カッちゃん!」

「探偵さんが悪いんだぜ?色々と俺のことを調べちゃってさ…」

「んなこと聞いてんじゃねーよっ!」

「…はぁ…じゃあ、何だよ…タッちゃん」


永野一幸はため息をつくように話した。


「カッちゃんだったんだろ…」

「…何がだよ」

「4人も殺したことだよっ!」

「…だったら何だよ?」

「何で…何で話してくれなかったんだよ…俺たち友達だったろ…悩みがあんなら…ちゃんと話してくれよ…」

「…タッちゃんにはわかんねーよ」

「ああ!俺にはわかんねーよっ!でもさ!話を聞いてやることぐらい出来ただろっ!カッちゃんの苦しみを…痛みをわかろうとすることなら出来ただろ…」

「…それに意味があんのかよ」

「意味なんてないかもしれないけどさ…でもさ!カッちゃんの気持ちに寄り添うことはできただろっ!人を殺す前にさ…カッちゃんが幸せになるためにさっ!俺になんか出来たかも知れねーだろっ!」

「…タッちゃん」


橘は泣きながら永野一幸の胸ぐらを掴み、

強い眼差しで話している。


「…悪いな。もう遅いよ…」

「…何でだよ…カッちゃん」


永野一幸は橘に胸ぐらを掴まれながら、

夜空を見上げている。


サイレンの音が近づいてきた。


「か、神影さん?神影さんっ!?」


雨宮栞が何かを言っているが、

僕にはそれが聞き取れなかった。


そのまま僕は気を失った。

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