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「お話を聞かせていただき、ありがとうございます」


では、失礼しますと僕は頭を軽く下げた。

思考を巡らせながら、僕は歩く。

やはり、靖子さんは…

そう考えていると後ろから声をかけられた。


「おい!テメー!」


振り返ると頭の悪そうな二人組が立っていた。


「ここであったがってやつだな!」

「おう!ボコボコにしてやんぜ」


面倒臭いなとため息をついた。


「あ?いま、ため息ついたろ!?」

「やっぱ、ちょーしのってんな!」


おい!こっちこいよ!と喚いている。


「どうかされましたか?」

「あ?何スカしてんてんだよ?」

「俺らが怖くてビビったのか?あ?」


話が通じない人達だな…

ある意味、宇宙人なのかもしれない…

そう考えていたら、探偵さん!と声をかけられた。

知らない女性と手を組んでいる宮本裕一が話しかけてきた


「どうも!この間は大輝のことあざっした」

「いえ、解決できてよかったですよ」

「大輝が幸せそうで、俺めっちゃ嬉しいんすよ!」

「そうですか。それはよかったですね」

「んで、こいつらとなんかあったんすか?」


宮本裕一は頭の悪そうな二人組を指差している。

さっきまでうるさく喚いていたのに、静かになった。


「そうですね。この間、事務所にきて迷惑だったんですよ」

「マジすか?」


そう言った宮本裕一は二人組の前に歩いて行く。


「おめーら…探偵さんに迷惑かけたってマジか?あ?」

「い、いや…その…」

「お、おれら裕一くんの知り合いだなんて知らなくて…」

「知らなかったら迷惑かけていーんかよ?」

「い、いえ…」

「この探偵さんはな…俺の命の恩人なんだよ…二度と迷惑かけんじゃねーぞっ!わかったなっ!」

「は、はいっ!すんませんでしたっ!」

「謝んのは俺じゃねーだろっ!」

「は、はいっ!すんませんでしたっ!」


二人組は僕に対して深々と頭を下げている。


「探偵さん、こいつらが迷惑かけてすんませんでした」

「いえ、別に気にしていませんので」

「そっすか!こいつらもそんなに悪いやつらじゃねーんすよ」


そう言って宮本裕一は笑っている。

それじゃ!探偵さんまたっ!と手を振って、

知らない女性と手を組んで立ち去っていった。


「あ、あの裕一くんの知り合いとは知らずに…そ、その…ご、ご迷惑をおかけして…そ、その」

「いえ、本当に気にしていませんので」

「すんませんでしたっ!」


息ピッタリに頭を下げる二人組にため息をついた。


「本当に気にしていませんので…ただ、女性に迷惑をかけるようなことはあまりされない方がいいと思いますよ」

「そ、そうっすよね…お、おれらって…あんまり、モテなくて…」

「それで、なんか…強引な男がモテるって聞いて…それで」

「そうだったんですね。僕はそういうことにはあまり詳しくないのでよく分かりませんが…この間していたことは強引な男というより…女性に嫌われてしまうようなことをしていたと思いますよ」

「や、やっぱり…そうっすよね」


何で彼らの悩みを聞いているんだろうか?


「そういう悩みを解決することは難しいですが…何か困ったことがあれば、いつでもご相談ください」


僕はそう言って、名刺を渡す。


「…あ、あざますっ!」

「…め、めっちゃいい人じゃないすかっ!」

「なんか、なんか…本当にすんませんでしたっ!」

「いえ、本当に気にしていませんので…」


それでは、失礼しますねと軽く頭を下げ、

歩き出すと後ろから大きな声で、

探偵さんっ!あざますっ!と聞こえた。

僕は苦笑してしまった。


近くのコンビニでコーヒーを買って、

入口の喫煙所でタバコに火を灯す。


そろそろ太陽が眠る時間だなと思いながら、

煙を空に吐き出した。


ヴー ヴー ヴー


携帯が震え出したので画面を見ると、

橘からの電話だった。


「…どうした?」

「リンちゃん、今なにしてるん?」

「調べたいことがあったからね」

「そっか〜…あのさ、美咲ちゃんのことだけどさ…」

「わかってるよ」

「うん…俺らのこと心配してくれてるだけだからさ…」


僕は煙を吐き出した。


「あんまり、美咲ちゃんのこと悪く思わんでよ…」

「わかってるって…悪かったな…」

「うん…それならいいけどさ…」

「橘は事務所にいるのか?」

「おう!まだ色々、調べてたけど…」

「そっか…」

「リンちゃんはどこにいるん?」

「コンビニ…タバコ吸ってるよ」

「そっか…」

「橘…今から来てほしいとこがあるんだけど…」


僕は橘に伝えてから、通話を切った。

コーヒーを飲み切って、ゴミ箱に捨て、

タバコの火を揉み消し、灰皿に捨ててから、

僕は歩き出した。

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