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「うーん。やっぱり、違うのかな〜」
橘はそう言って頭を悩ませている。
「猟奇殺人の被害者を調べてみたけど、大学生だったりOLだったり、ホントにバラバラなんよね〜」
「そうか…」
「靖子さんのことも調べてみたけど…特にこれと言った話は聞けなかったかな?…実は彼氏じゃなかったかもってことぐらいかな?」
「そうなのか?」
「うん。靖子さんは好きな人って言ってたらしくて…友達は付き合ってるんだろうって思ってたみたいだけどさ、実際にどうだったのかは知らないみたい」
僕はタバコに火を灯しながら話を聞いた。
「SNSも調べたけど、楽しかったことしか書いてなかったんよね〜。あの喫茶店のデザート写真がのってたから、カッちゃんと大輝くんにも話聞いたけど、来てたかもしれないけど、覚えてないって言われちゃった」
思考を巡らせながら煙を天井に吐き出した。
「被害者関係も調べたけどさ…誰一人として被害者同士に関係はなかったもんな〜。被害者家族にさ…泣きながら何で娘が殺されたのかわからないって言われてさ…犯人を探してくださいって…めっちゃお願いされちゃった」
橘は申し訳なさそうな顔で話している。
僕はコーヒーを一口飲み、そうかと返事を返した。
「やっぱり、この事件とは関係なかったのかね〜」
カララコカラン
扉、壊さないでほしい。
「おい!神影!お前なに調べている!?」
「山村さん…何度も言ってますよね?」
「んなこたどーでもいい!何を調べてんだ?あ?」
「…個人情報ですよ」
「殺人事件のこと調べてるそうじゃねーか…」
僕は返事を返さずに、天井に煙を吐き出した。
「今すぐにやめろ。これは警察が調べてんだ…お前らがちょこまかと調べていいことじゃねーんだよ!」
「み、美咲ちゃん…俺らはそういう訳じゃ」
「龍生は黙ってろ!」
「…お、おう」
「おい!神影…わかってんだろうな?人の命が失ってんだ。遊び半分で首突っ込んでいい話じゃねーんだよっ!」
「遊びじゃありませんよ」
「あ?何だって!?」
「遊びじゃありません。僕たちは依頼された方の為に真剣に調査をしています。その事件は関係している可能性があるかも知れないと思い調べましたが…」
僕はタバコの火を揉み消しながら話し続けた。
「山村さんもこんなことしてる暇があるなら…被害者家族の為にも早く犯人を捕まえてください。僕は調べたいことがあるので、失礼します」
「おい!話は終わってねーぞっ!」
カラコロカラン
山村さんが声をかけてきたが、
僕はそのまま事務所から出かけた。




