第14話「最近アキラが彼女づらしてくる。可愛いい」そのニ
一月一日
「井伊君明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「井伊ぽん明けましておめでとう!」
アキラとバイクで他県まで遠出、有名なパワースポットがある山奥の神社で初詣を済まし、またトンボ帰りして地元の初詣へやってくる。
目的は約束しているおめかしした二人の美少女と会うため。その理由は二つ。親に説明する為の西郷達と初詣行ったというアリバイ作りで、もう一つは仲良し皆でお参りしたいという要望。
「おめでとう。大久保と西郷。二人共綺麗だな」
「むう! 鼻の下伸ばしてニヤけんな! なんか直助デレデレしているからムカつく」
痛っ……思いっきり靴踏まれた。なぜに?
「相変わらず仲がいいですね。羨ましい」
「うんうん。阿吽の呼吸じゃん」
晴れ着の二人はいつもよりキラキラしている。
「そうなのか? これが日常なのでよくわからん」
「ふん、自己管理がど下手くそな直助が孤独死しないように委員長としての職務を全うしているだけ。そう、これは慈善事業よ。感謝しなさい」
確かにアキラが家に来ない期間荒れに荒れていたからなぁ。
生活能力が無いから心配なのか、近いから両親は実家へ戻ってこいと帰還命令が発令しているけど、親戚とか両親の関係者などくるから面倒なので帰らない。
お年玉ケチるからな。
それはそうと最近、二人の前でもお互い名前で呼び合うようになる。隠しても無駄だと悟ったからだろう。
——皆でそのまま屋台を巡り遊び倒したあと、アパートに戻った俺は疲れ果てて大の字。
「直助! コタツでゴロゴロしてないで掃除機かけてよ!」
「夜中から遠出して疲れた。第一お正月は掃除、洗濯禁止なんです。皆でゴロゴロして過ごすのか一般常識」
「もう! 他所は他所、うちはうちでしょ」
「それ完璧に俺の母親だよ……」
思わず日頃の感謝を込めて肩たたき券あげるところだ。
「それはそうとコトブキ達綺麗だったね」
「ああ。地元なんだかもっとラフでもいいような気もするけどね」
「あのさ直助……、私も晴れ着のほうがよかった?」
「うんにゃ、そんなもん着なくもアキラは綺麗だよ」
「そんな恥ずかしいこと真顔で褒めないでよ!」
恥ずかしがっている仕草も可愛かった。
「だいたいさっきからスマホで何観ているのよ。会話するときは相手の顔を見て話すって教わらなかった?」
「あー実はアキラに相談に乗ってほしいことがあるんだよ」
「なになに?」
アキラは纏めた本を抱えたまま聞く姿勢、「実は好きな娘ができたんだ。一緒に暮らしたい。どうしたらいい?」俺の腹部へ落とす。
溝落ちは痛い。
「…………………………………………誰? 名前は? 住所は? 同じクラス? 私の知っている人? ねえねえ答えてよ。私より可愛い? 私より好きなの?」
「アキラいきなり声のトーン下げるな。怖い怖い。意外と凄く身近にいるな。この娘だ」
よく二人で行くショッピングモールで撮影したペットショップの子猫を見せる。
「……………………………………………」
「この猫を飼いたい」
「ズボラなあんたじゃ無理だよ。あきらめろ。というか死ね!」
「痛いー!」
何故か腹を踏まれた。追加ダメージ。
気のせいだろうけど最近妙に姉を超えて彼女面するアキラ。
共依存か?
これはこれで可愛いが良くない傾向。元々世話好きのうえ親友なのだ。
もしアキラに好きな人ができたら弟みたいな立ち位置の俺でも存在が足枷だ。恋愛の邪魔はしたくない。
このままでいいのだろうか?




