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第10話「何か俺の大事なものをなくした気分だ……」その一


 午後は京都の名所中の名所、清水寺からスタート。


 有名すぎる世界遺産のパワースポット。清水寺から飛び降りるのことわざで俺も覚えてる。

 それにしてもここ高いな。景色は最高何だけど、風冷たいし制服だけだと寒いわ。


「わー絶景だね! 紅葉も相まって芸術作品だよ。妹達にも連れてきてあげたいな」

「お寺用の御朱印帳も買わないと……」

「う〜ん! 石段多くてウオーミングアップに最高だったね。バスで移動するとお尻が痛いから助かるよ」


 指折りの名勝にアキラ達はテンションが上がっているようだ。

 水戸達男性陣も堪能しているようだが、獲物を狙う肉食動物の如く肩に手を置こうかと伸ばす。


 咄嗟にアキラへ石を投げて、「いたー!」命中後周りをキョロキョロした。


 いつの間にか密着していた水戸からすぐさま距離を取る。

 水戸のアキラ攻略阻止成功。


 アキラ達に依頼された俺へ課せられたミッションは、水戸達陽キャラによる修学旅行内の告白完全阻止。

 今のところはうまくディフェンスしている。俺の存在感の無さを最大限に活用して、良い雰囲気にならないように違和感なく裏からコントロール。

 俺の目の黒いうちは何人たりともアキラ達に近づけさせねぇぜ。


 観光は続く。

 飲むとご利益がある音羽の滝。右から延命長寿、恋愛成就、学業成就だそうな。

 なので色恋沙汰大好きな高校生は我先に恋愛成就の為に水を飲んでいる。


「直助これを飲んでよ」

「…………」

「ちょっとそれ違う!」

「アキラに付き合っていたら寿命が尽きそうなんだよ」


 アキラが無理矢理俺に恋愛の水を飲まそうとするので、細く長生きしたいから延命の水を飲む。もちろんこのあと不機嫌。


 あと清水寺内に京都最古の縁結び神社がある。女子達が目の色を変えるはずだ。

 アキラ達も恋占いの石に何度もトライしていた。

 くだらない。意中の相手と結ばれたいと思うのは本能だが簡単には行くまい。


 この後も——

 おいなりさんの総本社、伏見稲荷大社ではどこまでも続いている鳥居に感動し、八坂神社の総本社でまた縁結びで女子達が色めき立ち、圓光寺の枯山水は侘び寂びとアートを体感した。敷地内の竹林なんかは告白するのに向いていそうだ。


 観光地の写真取るのが好きな俺は少し興奮気味。シャッター切って小躍りしている。デジタルカメラを持ってきて正解だった。


「直助私も撮ってよ!?」

「うおおーー! シャッターが止まらない!」

「無視するな!」

「いてー!」


 俺は渋々ポーズをとるアキラを写す。

 今までは陰キャラボッチはフリーで行動できるからあり違ったが、親友ができるとまた違う感動もあるようだ。

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