超深海帯(ハダル・ゾーン)と難破した小艦隊
深淵への降下は続いた。漸深層が俺たちを飲み込んだ。そこは太陽の光など地質学的な神話にすぎない、黒い液体の砂漠だ。800気圧という、深海ドレッドノートの骨と血の鋼鉄の船体にかかる静水圧は、俺たちの機体のカルシウムの硬貨1枚1枚に、小さな象の軍隊がバランスを取って乗っているようなものだった。
潜水艦の内部はうめき声を上げていた。金属と石灰化した骨が液体の重力によって押し潰される、甲高く絶え間ない合唱だ。冷や汗の匂いが、俺の義手のオゾンと、生命維持システムを稼働させ続けるために奮闘している蒸気ボイラーの湿った熱気と混ざり合っていた。
「水深3000メートルを通過。深海帯だよ」ナビゲーションパネルに集中し、緊張した声でヴァレリアが報告した。彼女はレバーで操作しているわけではなかった。そのエンジニアの手は、俺たちのエンジンである熱力学的なキメラのマイクロバルブを調整し、企業の艦隊から盗んだプラズマエネルギーと、リヴァイアサンから抽出したエーテルを混合していた。「プラズマの浸透シールドは80%。船体はもってるけど……金属が泣いてるよ」
戦術的な赤色で点滅するタッチスクリーンを見た。深度計は超深海の暗闇に向かってカウントダウンを続けている。俺の黒水晶の腕は今や不協和な周波数で振動し、断続的な紫色の輝きを放って、スクリーンやチームの汚れた顔を照らしていた。肝臓の寄生体はうなり声を上げていた。純粋な恐怖による、執拗な疝痛だ。
俺たちのすぐ後ろに座っているグリッスルは、水陸両用監査官のヒレから鍛造されたボーディング・アックスを床の格子に突き立て、船体の痙攣で吹き飛ばされないよう、武器の重さを錨として使っていた。彼女の新しいリヴァイアサンの骨のアーマーは、船体と同じくらい高密度で、薄暗がりの中で光っていた。
「アーサー」ルナの声がキャビンの沈黙を破った。エンパスである彼女は音響コンソールのそばにしゃがみ込み、目を閉じて音波の杖を両手で握りしめていた。「音が……変わったわ。音響の壊死が広がっているの」
「説明してくれ、ルナ」
「水の音だけじゃないわ。パニックの残響を拾っているの。生物学的な周波数だけど……歪んでいる。無理やり金属を飲み込まされた魚の悲鳴みたい。それに、もう一つ……」ルナは身震いし、瞳孔の開いた目を開けた。「咀嚼する音がする。海流に乗って伝わってくる、とてつもなく巨大な咀嚼音が」
アクティブ・ソナーと音波の透視能力を組み合わせた、ミュータント・エンジニアリングの驚異である潜水艦のレーダーが、単発のビープ音を発した。そして、もう一度。画面に現れた形は魚群ではなかった。センサーの縁を動く巨大な幾何学的な影だった。動物にしては大きすぎ、スクラップの潜水艦にしては密度が高すぎる。
「ヴァレリア、フロントのサーチライトを調整しろ」黒いポリマーのタクティカルベストを整えながら俺は命じた。「この暗闇のレントゲン写真を撮ってやろう」
ヴァレリアは頷き、集束光プロジェクターを起動した。超高温のプラズマの光が深海の暗闇を切り裂く。そして、強化プラズマガラス越しに見た光景に、俺の血は凍りついた。
俺たちは超深海海溝の境界にいた。だが、そこにあったのは泥と岩だけではなかった。
墓場があった。
白く汚れ一つない企業の巡洋艦の小艦隊――地表で俺たちを包囲していたのと同じもの――が海底に横たわっていた。だが、停泊しているわけではなかった。解体されていたのだ。ポリマーと血の鋼鉄の船体は、子供が面白半分に踏み潰した空き缶のように、ひしゃげ、裂け、ねじ曲がっていた。コンソーシアムが何よりも重視していたプラズマ・リアクターはむき出しになり、火が消え、暗い水中に病的な青い蛍光を放っていた。
地球儀を締め付けるカドゥケウスのロゴがまだ見える船体の一つは、真っ二つに割れていた。俺は黒水晶の指をその胴体に向けた。
「『フリーマーケット(自由市場)』だ」サイラス・ヴァンスの旗艦であることを確認し、俺は囁いた。「生物学的買収部門のディレクター殿は、差し押さえ(フォークロージャー)をする暇がなかったらしいな」
「あいつらに何があったの、アーサー?」ルナが震える声で尋ねた。「最先端の技術を持っていたはずよ。プラズマシールドも、武器も」
「水圧で破壊されたわけじゃない」左のサイバネティックな目で残骸の熱源走査を行いながら分析した。「噛み跡を見てみろ。裂け目の縁で溶けている金属を」
船尾から船首まで引き裂かれ、機関室が消滅している巡洋艦を指差した。
「企業のエンジニアリングは『咀嚼』されたんだ。奴らは深淵に文明を持ち込んだが、深淵は奴らを前菜として扱ったのさ」
【 外傷分析:大規模な衝撃。火器ではありません。機械的なものです 】
【 残骸から生体シグネチャを検知。リヴァイアサンと互換性あり……しかし、より古く、より濃縮されています 】
寄生体が俺の頭の中で激しくシャーッという音を立てた。
【 古い食物。神々の食物。危険。危険 】
船の墓場の向こうの暗闇が動き始めた。ルナが感じていた振動が深海ドレッドノートの船体を這い上がり、俺の水晶の腕が耳障りな周波数で唸り声を上げた。
プラズマのサーチライトが海溝の縁に焦点を合わせた。
岩ではなかった。石化したヒレだった。
そしてその後ろ、超深海の深淵から立ち上がってきたのは、『深海ウミムシ(ヴェルメ・ド・マール・アビサル)』の途方もないシルエットだった。海底海溝と同じ物質でできているかのようなその生物は、純粋な黒水晶で満たされた巨大な口で、企業の巡洋艦のプラズマ・リアクターを怠惰に咀嚼していた。
「先生」グリッスルが狂気じみた笑みを浮かべて立ち上がり、ボーディング・アックスを握りしめながら囁いた。「暗闇はお腹を空かせてるみたいだよ。そして、アタイらがメインディッシュってわけだ」
地表での手術は成功した。だが、深海の検死は今まさに始まったばかりだ。




