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離さない  作者: mimayu
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9/12

走れ!!

「僕、お化けではないです」

 ど、そうしてそれを!? 美里は更にドキッとした。名刺交換会という名の肝試し、そして、テヨンをお化けなどと思った事を、なぜ知られてしまったのか。

「凄い顔……してる」

 テヨンの言葉にハッとして、美里は顔が赤くなるのを感じた。

 CDを買うことすら躊躇っていたのに、こんな風にいきなり目の前に現れるなんて。誰だってお化けに遭遇したような形相にもなる。

「……」

「……」

 沈黙が気まずい雰囲気を作り出そうとしていた。

 何か言わなきゃ。

「な、何でこんな所……」

「キャーッ!!」

突然聞えた悲鳴に、美里の蚊の鳴くような声はかき消された。

「やっぱりテヨンだ!!」

 声の方を見たテヨンと美里の視界に、ペンらしき女の子三人がこちらに駆け寄ってくるのが見えた。

 この状況って、もしかして、もしかしなくても凄くヤバ……。

『ヤバイ!!』

 韓国語でそう叫んだテヨン。

「家どっち!?」

「あっち!」

 テヨンの咄嗟な質問に、美里もつられて答えた。

「O.K!」

 バッと奪うように美里の手を取り、駆け出すテヨン。

「えぇ~っ!?」

 何で!? 何で? 何でこんな事になっちゃってんの?

 混乱しながらも、とにかく必死にテヨンについていく美里。繋いだ手の先には、テヨンの後姿。

 見上げる程の背の高さ。揺れてる髪。広い肩……。美里の頭の中を、ふと流れ始めた曲。

『二人の時間を始めよう~』

 いつかの夢で、手を繋いで歩いた相手の顔は見えなかったけど、確かにテヨンを感じてた。あれはこの時を知らせる予知夢だったのかな。

 そんな事をボ~ッと感じていた美里の目に、見慣れたアパートが飛び込んできた。ハッと我に返り、繋いだテヨンの手を引っぱり寄せた。だけど、直ぐにテヨンに引っぱり戻された。

「ストーップ!!」

反対側の手でテヨンの腕を掴んで叫ぶと、やっと止まってくれた。

「ハア、ハア……何?」

「ゼエ、ゼエ……」

息を切らしながら聞くテヨンと、今にも倒れそうで声も出せず、アパートの方を指差すジェスチャーだけで必死の美里。

「ブッ! アハハー!!」

突然お腹を抱えて大笑いするテヨン。

「ぜえ……な、何?」

「顔が、面白いことになてる」

 テヨンの言葉に、ハッと自分の姿を想像した美里。顔から火が出る思いがした。それにしても失礼なヤツと、キッとテヨンを睨みつけた。

「……ミアネ。ごめなさい。家ここ?」

「そうだけど」

 つっけんどんに美里が答えた。

「分かた」

 スタスタとアパートに向かい歩き出すテヨン。

「待って! 何処に行くの?」

「キミの家」

 何て? 流石に倒れそうなんですけど……。


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