表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/11

6.うちは美少女ヒロインが助けを求めてくる薬屋ではないはず

「ミャン、そろそろ店を閉じます。札をお願いしますね」

「わかりましたにゃ!」


 ミャンが元気よく返事をして外に掛けてある札を「営業中」から「準備中」へ裏返しに行った。すると、イレイナがちらりとこちらを見てくる。


「イレイナさんは今日はどうしますか?食べていきますか?」

「…ん」


 イレイナが小さくこくりと頷くと、毛玉を抱っこして薬屋二階の居住スペースへ向かっていった。

俺も毛玉に転生したかったなぁ。


 雨の日、イレイナが困った顔をしていたので雨宿りついでに、夜ご飯を簡単に振る舞ってからはよく家で食べていくようになった。

前世の母に厳しく料理の腕を磨かされたことに感謝している。そのおかげで新しい生を受けてなお、役に立っているのだから。まさか、ゲームのヒロインに振る舞うとは思っていなかったけどな!


「…ばいばい」


 食後、お茶を飲み終わるとイレイナは帰っていく。最近はじっとこちらを見てから帰ることが多い…。

何かご所望なのだろうか?…たしか、ゲーム内でイレイナは甘いものが好きだったか。

スイーツは庶民の懐事情で気軽に用意できないので希望に沿えないことが心苦しい。

ぐぬぬ。もっと稼がねば!


「ばいばいにゃー」

「…ん」


 イレイナが去っていくとミャンが少し困った顔をしていた。


「ミャン、どうかしましたか?」

「いやー、にゃんというか…どうかしてるのはミャンじゃなくて…」


 お?なんだ?ミャンまでこちらを見て。俺はイケメンでもなければ勇者でもないぞ。


「うーん。どうかしてるのはロイ様かもしれないにゃ」


 どういうことだ…。


 数日後、アルリアさんが来店し、軽く雑談をした後にミャンが何かを耳打ちすると、アルリアさんも「あぁ」と何かを納得していた。

よくわからない…。


「…ロイ」

「はい?どうかしました?イレイナさん」

「…」

「…えーっと?」

「なんでもない」

「え?そうですか?」

「ん」


 どうしたのだろうか。何か悩み事か?しかし俺はただの薬屋。解決できるのはケガか病気だ。頼りなく思われているかもしれない。


「俺でダメならミャンかアルリアさんにご相談されては?」

「…?」


 あれ?めちゃくちゃイレイナの顔が「なぜ」という顔をしているし、アルリアさんなんて「て、店長殿…」と呆れ顔をしている?


「うーん。なるほど…なるほどにゃ…」


 なにが「なるほど」なのだろうか?


 そこへ一人の女性が入ってきた。

右目に眼帯をした女性で、一応、何回かうちに来ている常連客である。


「あ、ルミナさん。こんにちは。いつもの薬ですか?」

「えぇ、お願い」


 ルミナ、隻眼の氷術師。ヒロインの一人な上に勇者の幼馴染でもある。

幼い頃、とある喧嘩がきっかけで勇者のそばを離れた。

今は一人冒険者として活動している。正確には右目を失っているわけではなく、眼帯の下には魔眼がある。普段は隠している。

そしてまだ隠しているということは…勇者め、まだ仲直りしてないな?やれやれ。ルミナはとあるボス攻略の難易度を大きく下げられるのに…。


「いつもありがとうございます。お大事に」

「えぇ」


 ルミナがいつもの痛み止めを買って帰ると、アルリアが何かに気づいたようだった。


「今の者、相当無理をしているように見受けられたが、大丈夫なのか?店長殿」

「彼女のは特殊な原因なので…。俺にはお手上げなんですよね。せいぜい、体への負担が少ない痛み止めを渡すのが限界です」


 魔眼のことを言いふらすわけにもいかず、ぼかしてアルリアに伝えた。

まぁ…解決策は…ないわけではないが。俺がやってしまっていいことなのかどうかは分からない。だって俺はモブですらない。


「ロイ?」


 急にイレイナに袖を引っ張られた。やめてほしい!そういう可愛い行動は!


「ん?どうかしましたか?」

「悩み事」

「え、何か悩み事ですか?」

「ロイが」

「あ、あぁ。大したことではないので大丈夫ですよ」


 なんて優しい子なんだ…。さすがヒロインだ。


「客も途切れましたし、お茶にしますか?ミャンも休憩しましょう」

「ん」

「休憩にゃ!」

「アルリアさんもいかがですか?」

「ああ、では馳走になるとしよう」


 ルミナの魔眼は年々彼女を蝕み、激しい痛みをもたらしている。その進行を止めるには、特殊な素材を使った薬が必要なのだが…。さて、どうするか。


 と、そんなことを考えていた数日後。悩み事が吹っ飛ぶことになる。


「…ロイ」

「ん?こんばんはイレイナさん。ここ数日はお忙しかったのですか?」

「ん」


 ミャンに奥で洗い物を任せて、店内で閉店作業をしているところにイレイナが来た。そしてなんだかじっと目を合わせてくる。なんだ?どうした?


「家、なくなった」


 は?そ、それは…イレイナ第二イベント!

え?いつの間にイベント進行したの?


俺は勇者じゃないし、


うちは普通の薬屋のはず。

薬屋   ロイ   悩み事

召喚術師 イレイナ 最近なにか不満

獣人奴隷 ミャン  なるほど

王国騎士 アルリア なるほど

氷術師  ルミナ  仲直りまだ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ