44.高野連突撃!
報道陣わんさかの中を、他校の部員たちが突撃!
ん-、ニュースネタてんこ盛りですなぁ。
南洋第一の部員たちは、高校野球連盟の事務所に向かった。
事務所のある、教育委員会の建物の前には、すでに報道陣が詰めかけていた。
「凄い騒ぎですね」
「まあな。地区大会優勝校が不正投球で優勝辞退なんて、ありがちな暴力事件で出場停止とかいうより、ずっと面白いだろう」
「面白いとかいう問題じゃないと思うんですけど」
「しかも、提訴したのがあの準優勝の昭和の監督だ。一番利益を得る立場にあり、しかも高野連に絶大な影響力を持っている奴が、ろくな説明もさせないまま無理押ししたんだぞ。マスコミが突っ込まないわけに行かないだろう」
「…で、俺たちは何しにきたんですか。まさか、その解説を聞くために?」
「バカ。抗議に来たに決まってるだろう」
「イヌイたち海浜のために?」
能口は、見直した思いでキャプテンを見る。
「つくづくお前も野球バカだな。なんで俺たちが、あいつらの為に抗議しなきゃならないんだ」
「だって、あんなに応援してたのに…」
能口も、他の部員もちょっと不信気味に文句を垂れた。
「俺たちは、ほとんどイヌイ一人に負かされたようなものだ。アイツの投球が不正なものなら、俺たちとの試合は、勝ち負けはともかく、少なくとも不成立ということになるだろ?」
「あっ…」
「だから、よその高校のために抗議にいっても理由が無いから門前払いだ。
しかし、自分たちの権利を主張するためなら、迂闊に追い払えない。少なくとも正当な理由を聞けるだろう」
「そ、そうですね」
「それが、表向きの理由だ。結果として、イヌイの不正投球が認められなくて、海浜の甲子園行きが認められても、それは仕方がないがな…」
「…キャプテン」
そこまで考えてのことか…
改めて、能口はキャプテンの事を見直した思いだった。
「ただし、学校として公にそれをやっちゃうと、部員たちの進路に影響するかも知れないから、監督にもみんなにも言わなかったんだ。俺の単独責任と言うことにしとけよ」
「そんなっ!」
「キャプテンっ!」
「いいんだ」
キャプテンは、さわやかな笑みを浮かべた。
「言ったろ。俺は野球を辞めるってな。ただし…」
建物を見上げて、厳しい目を見せる。
「野球の勝負は、グラウンドの中だけでつけるべきだ」
あれが不正なら、一回戦から不正じゃん?やり直せー
と言える、かなぁ。
じゃあ、最初から言えよ、となりませんか?
だからあれほど、見逃しはイケナイ、最初から振りに行けと言ったのに…(ep1.参照)




